昔の映画『酒とバラの日々』ではないですが、
「本と映画とのんの日々」です
『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』より
皆さん「月が綺麗ですね」
二年生の夏休み前に同じクラスで凄く好きな子が出来て、
『早く夏休みが終わらんかなァ』と毎日思っていた。
休みが終わって初めて君と教室で会った時は目が眩んだ
彼女は歩く時いつもペタペタと足音がした。
「ペタペタ」です。
そやから寄って来たら良く分かる
応援団に入ってとしつこく勧誘をされたが、
あんな目立つ部にはようはいらん
と、よう言わんと固まってしまった意気地のないぼくなんやな。
有る時駅のホームで向かいのホームで佇む君を見たんやけど、
何にもよういわんかった。
白いワンピースが眩しかった。
そんな君を題材にして「ショート・ショート」を書いた。
君の名はリアルな名前にしたんや。
ぼくは勿論、架空の名前にした物語。
「いつも二人」~前編
何の捻りもないショート・ショート
「君の足音はいつもペタペタ」
ぼくが高校入学の時に一番カルチャーショックを受けたのが、
三年生の女生徒がおばちゃんに見えたことだ。今でもその時の記憶は鮮明に残っている。
色々とても複雑な気持ちだった。
ぼくはK市まで列車通学をした。
何の自慢にもならないが、この頃のぼくはまだ心の純粋さを持っていた。
但し、何も知らないと云うことがそうであるならばだ。
そんなぼくが2年生の夏休み前に恋をした。
生まれて初めて夏休みが早く終われと思った。マジにジュン、君に会いたかった。
アッ、その子はジュンと云うのだ。
夏休みが終わり学校へ。
教室に入り君を見たときはとても嬉しかった。こんな気持ちにさせてくれたことを君に感謝した。それでも中々進展が無かった。告白をするなどと云うことは1%も持ち合せていなかった。
そんなある日、突然「松葉クン!応援部に入ってよう?」と君から。
「えー、そんなんようせんわ」とぼく。
「一緒にやろかよー」
「なんで、ぼくなんよぅ?・・・」
君とは今まで挨拶以外で言葉を交わした記憶が無かった。なので???の連続だった。
「ネー、やろかよー」ともう一人の女子。
あっもう一人いたんだ。君はその子といつもニコイチでつるんでいた。
この応援団の話は結果的」にはぼくが断った体になっている。断らなかったらなし崩し的に入部させられたと思う。クワバラクワバラ逃げるが勝ちである。
一つ触れておくと、2年生になった時に君と同じクラスになった訳だが、君が歩くとペタペタと音がした。これが物凄く気になった。多分、ぼく以外の生徒も全てそう思ったと思う。あっでも何時もではない。少し足早になるとそうなったのである。
そんなこんなでぼくの高校生活は、女性絡みの話を除いては健全な日々は過ぎていった。
ある日、下校の駅のプラットフォームで白いワンピースを着た君が列車を待っていた。ショートヘアが似合っていて凄く可愛いかった。見つめるだけで何も云えなかったのは何時ものことだ。そんなに親しくもないので、君は何処に行くのかも聞けなかった。
結局、君とは卒業まで何の進展もなく過ごした。
でも最初の頃にあったチグハグさは無くなったかなと思った。
3学期の最後の試験が済むと殆ど学校に行かなくなる。
久しぶりに学校に行った時、後ろからペタペタと足音がするので振り向くと君が迫って来ていた。「ひえー」と思わず声を上げそうになった。
君はペタペタと足音を鳴らしツカツカとやってきた。そして・・・
「松葉クンは何処に就職すんの?教えて」と、とても怖い顔で怖い声で聞いてきた。
ぼくはその時違うことを思っていた。君はやっぱり歩くのが少し早くなると、ペタペタと足音がするのだ。改めて確認をした。そして思わず苦笑いをした。
そんな顔をしたぼくを見て君は怒って「なによーお別れが近いんやから、
勇気出して聞いたんやのに」。
「ちがうんや、鬼塚さんの歩く音が可笑しかったからや」と、消え入りそうな声で答えた(多分ジュンには届いていない)。
そんなこんなで卒業式までと当日は何の事件も起きず別れた。
あれから40年が過ぎた。廊下からペタペタとスリッパで歩く音がする。
そして、「健ちゃん、ご飯できたでー」とジュンの声が今日も聞こえる。
ぼくとジュンは卒業してから1年目に行われた同級会で再会して付き合うようになった。そして25歳で結婚をした。
と云うことですw。
前編「君の足音はいつもペタペタ」
おわり後編に続く。
後編は次回に続くんだ