さて宿題の続きです。
下地が完成し、いよいよハンドペイントに入ります。
最初に描いたのは「牡丹の花」。
二つの能面の背景となるものです。後で能面をよけながら描くより、先に描いておいた方が生き生きした感じが出せます。
田賀の絵の具と筆セット「爪職工房」の中の「白露」と「艶紅」、「向日葵」、「千歳草」等の色を使っています。
ちなみに、物語は右から左に進んでいく感じで描いてみました。
そして2番目に描いたのは、緑のラインの上の紺色のドット。
ジェルで描いたラインの上に、細かい点々を描いています。能の舞台には、松の絵がありますが、その緑をイメージしました。
ハンドペイントがメインになると、どうしてもジェルは印象が弱いので、上から点々を描き足すことでそれを補っています。同じく「爪職工房」の「古藍」、深い藍色を使っています。
3番目にやっと能面を描きます。
能面は、若い女性を表す「小面」(こおもて)と、嫉妬に狂った女性や鬼を表す「般若」の2種類です。
今回、私が持っている「帯留」の本の中に、小面と般若のモチーフがあったので、定規で測ったりして顔の上下と左右、眉と花と口の距離など、大体の比率を出し、何回か紙に描いて練習しました。
能面は、目、鼻、口などの長さや間隔が「黄金比」に合致していると言われているのも、今回、能楽をリサーチしていて初めて知りました。
髪の毛や輪郭は墨を使って描いています。墨は水で滲むので、影をつけるのにも最適です。
般若の牙はゴールドの絵の具で塗っています。
小物は、逆さに描いても斜めに描いても、あまりそのものの雰囲気が変化しないので、うまく使いたいアイテムです。
扇は骨の数を調べて(全部は描けませんでしたけどね)、小鼓は組み立て図をネットで探して描きました・・・だって、写真を見ても、紐でぐるぐる巻きで、作りがどうなっているのか分かりませんでしたからね。
同じくリサーチ中に、役によって扇の絵柄も細かく使い分けているということを知りました。般若が持つ「鬼扇」は、朱の中に鮮やかな牡丹が描かれていてとても印象的でした。
菊は、チップに統一感と動きを出すため、黄色い円は小鼓(こづつみ)の、「ポン、ポン」という音のイメージです。
軽やかな感じにしたかったので、菊は薄紫、円にはパールカラーの絵の具を使いました。
そんなこんなで、なんとかできた作品です。
とても良いお勉強になりました。
青山のMOGA・BROOKのShopにしばらく置いておくので、宜しければ見てやってくださいね。