[将棋]マイナビ第2局の感想 | 福間香奈さんを応援するブログ!

福間香奈さんを応援するブログ!

女流棋士の福間(旧姓里見)香奈さんを応援しています。その他将棋や自分の日常のことなど。

 昨日行われたマイナビ五番勝負の第2局は、対抗形の将棋から先手挑戦者の大島女流二段が中盤まで優勢を築きましたが、先に3時間の持ち時間を使い切って1分将棋となり、終盤戦に入って後手の西山女王が狙いすましたかのように鮮やかに一瞬の機を捉えて逆転勝ちとなりました。

 

 競馬の世界では、人気馬に乗ったジョッキーが後ろから行き過ぎて勝ちを逃すと「脚を余した」と言われて酷評されるのに対し、前に行ってバテて負けてしまうのは仕方ないとされることがあります。この風潮に対して、トップジョッキーの武豊さんが、脚を溜めるから最後に伸びるのであって、オーバーペースで行ってバテるのはそれこそ脚を使うチャンスを失くしている、というように反論していたことがありました。

 

 昨日の西山さんは、序中盤で徐々に作戦負けの様相で苦しげでしたが、モバイル中継のコメントでも、まさに辛抱ということで、中途半端に暴れて誤魔化しにいこうとせず、じっくり溜めて、終盤の攻防戦で一気の逆転でした。大島さんが秒読みになった時点で西山さんはまだ1時間残してましたし、両者の初対局での逆転勝ちもあったように(女流王位戦リーグ)、こうなってしまったら終盤の叩き合いで勝つ(or勝てる)という冷静な対応だったかと。

 評価値のグラフを見てると、大島さんは秒読みになってからの2手で優勢から互角、互角から敗勢へと一直線に転落してしまったようです。競馬なら、逃げ馬がゴール板100m手前で一気にバテて脚が上がってずるずる後退するかのように...。このあたりは、太地はじめチャンネルで指摘されていた、終盤戦でのスピード力の課題が出てしまったのかと。

 ただ終盤力は、ある意味その人の強さそのものだし、秒読みで最善を指し続けるのは困難を極めるかと。だったら、終盤に備えてもっと時間を残して戦っていたらという考え方もありますが、勝負を壊さないためにも惜しみなく時間を投入し、行けるところまで行くというのも立派な戦い方ではないかと。五分以上か4対6くらいで戦えるなら、勝つための時間配分を考慮する方がベターかもしれませんが、初のタイトル戦登場で気持ち的には3対7かそれ以下くらいで、まずはきちんと戦って学び取ったことを次に繋げるという意味では正しい選択ではなかったかと。人にも依るし展開次第で変わるということもあるでしょうが、やっぱり持ち時間をきっちり使い切って戦うのは大事なんじゃないかなぁと思うし、基本的にはそういう人の方が好感を持てます。特にこれからの成長を期待されている若い人は。