朝の対局直前の様子。私は囲碁将棋チャンネルで見てましたが、里見さんはいつもと同じように黙想して精神集中を図っていました。お昼前に仕事(大学で非常勤講師の授業)のため外出し、夕方授業が終わった時にモバイル中継で進行を確認すると、里見さんの方が消費時間を多く使い、局面的にも追い詰められ最後は持ち時間7分を全て使い切って静かに投了されました。家に帰ってきてから一部だけ録画した放送内容を見ましたが、解説の木村九段は、この将棋自体は勝った狩山四段が独特のセンスの将棋で上手く戦った。里見さんは女流棋戦などで数々の大きな舞台を戦ってきたはずだが、いつもより緊張しているようだったとのこと。木村九段は棋士編入試験の第2局の時も御自身の対局があって将棋会館で里見さんとすれ違ったそうですが、いつもより少し緊張されていたように感じたそうです。
今回の結果は残念ですが、次の二つの理由から里見さんのベストのパフォーマンスではなかったと思っています。一つは対局過多で、脳の働きを含めて身体的疲労の蓄積があったであろうし、序盤研究に割く時間が思うように取れなかったのではないかと思われます。その中でバランスよく研究と生活を成り立たせること自体が難しいでしょうし。もう一つは、木村九段の指摘にもあった「緊張」感がややマイナスに働いたのかなと。今回の棋士編入試験に臨むにあたり、襟を正してきちんと取り組まなければいけないという気持ちが強く出過ぎていたのかもしれません。女性初という期待も大きかったですし。最近は少し違うかもしれませんが、昭和頃までの日本のオリンピック選手は日の丸を背負って日本の為にという気負いが過ぎて、自分自身のために戦うんだ、楽しく戦うんだという欧米選手を相手に実力を発揮できずに負けるというケースが多かった気がします。それとやや似ているのかなと。女性初云々は抜きにしても、里見さん自身の将棋に対する真摯な気持ちが強すぎて自分自身で十字架を背負ってしまったかのように。ただ、だからと言ってリラックスしてとか気楽にとかいうこととは違うのでしょうから、それは里見香奈という魂の背負った根本命題のようにも思われます。いずれにしても、棋士編入試験の資格を得る過程で見せてきた強さを今回は見せられなかったことになりますが、インタビューではその辺りのことを言われていたのかなと。しかしながら、今日このタイミングで前向きに努力をする気持ちを振り絞って言葉にした里見さんには、人間として尊敬しかありません。
村)過去の受験者と違い、女流棋戦を戦いながら臨んだ五番勝負でした→「対局が多いのは間違いないと思うが、どういう状況でも変わらず普段の力を発揮できないと本当の強さではないのかな、と思っている」
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) October 13, 2022
再挑戦「今のところない」 里見女流五冠、棋士編入試験合格ならず https://t.co/YF8XocXYIJ
棋士編入試験
— 里見香奈 (@Satomi432) October 13, 2022
応援して頂いた皆様、本当にありがとうございました。励みになりました。
弱さを見つめ直して、これから先も変化し続けられる人生を歩んでいけたらと思います。
里見さん、お疲れ様でした!また勝ち星を積み重ねて挑戦してくれる事、期待しています。
— 中井広恵 (@HIROE624) October 13, 2022
お疲れ様でした。
— 上田初美 (@ueda823) October 13, 2022
周りからもいろいろな声や思いがあると思いますが、まずはここまでたどり着いたことと、挑戦する事を選んだことに敬意を。 https://t.co/xwfRq5uKVJ
里見さん勇気ある挑戦ありがとうございました。今はただゆっくり休んで頂きたいです。試験官の棋士の方々も大変な役目お疲れ様でした!
— 瀬川晶司 (@ShojiSegawa) October 13, 2022
----朝知新聞のYouTubeもありました。(10/14追加)