[将棋]里見女流四冠、清麗に復位 | 福間香奈さんを応援するブログ!

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 本日行われた第4期清麗戦五番勝負第3局は、後手番の里見女流四冠が中飛車とし対抗形の将棋で加藤清麗を108手で下し、通算3勝0敗で見事にタイトル奪回を果たされました。

 
中盤の折衝から一気に後手ペースに。
対局の様子はYouTube放送で見ることが出来ます。上の画像は対局開始直後。
 
 午後2時過ぎ。既に里見女流四冠優勢となっていたようです。加藤清麗のこの一番に掛ける強い思いが伝わってくるようで、終始緊張感がピークにあったような感じに思えました。逆に緊張感が強過ぎて本来の実力が発揮できなかったのではないかとも思われますが、現状ではリラックスして平常心で戦って勝てる相手ではなく、自分自身をぎりぎりまで追い込んで、それが吉と出るか凶と出るかはさておき、そうするしかなかった。そんな感じもします。それで負けたのなら次に繋がりますでしょうし...。
 ちょうど今私の手元に中島敦の文庫本があるのですが、里見さんを見ていると、その中の『名人伝』という短編エピソードが思い起こされます。弓の名人を志した紀昌という男が、晩年には弓矢そのものを忘れてしまう。古典を題材にした物語ですから、究極の心境をデフォルメして描いたのでしょう。流石に里見さんも、この名人の域には及ばないまでも、何かその入り口に一歩足を踏み入れた人の様相をなしているかのよう。誰かに勝つためとか何かの目的のために戦っているのでもなく、朝起きて歯を磨いて人に会ったらおはようございますと挨拶するかのごとく、対局がつけばそれを喜びに感じ自分の力が十分発揮できることだけに集中し一局を指す。対戦相手からすれば、闘志むき出しで向かってくるでもなく、淡々と自分自身を表現する人と対峙する不気味さがあるのではないかと。
 まぁ、これは私の妄想であって、御本人は冗談ではない、一局一局それこそ全身全霊を込めて100%以上の気力体力の全てを注ぎ込んで戦っているのだと。そういうことかもしれませんが...。
 これまでの番勝負だと、1局目と3局目は、里見さんもそうですが加藤さんも同じ戦形とすることが多かったと思うので、今日の後手中飛車は若干意外な感じはしました。ただ策を練って相手の思惑を外すために選んだというのでもなく、その時の(つまり今日の)気分とか思いとか考えとか、そういうことのバランスの中での自然な選択の結果ということかと思います。今後、後手番でもやっぱり中飛車が軸になっていて、多少散らすために(研究が枯渇しにくいように)四間飛車等を織り交ぜるのか、或いは主軸を一つに絞らずいろいろ採用するのか、その辺は注目されるところです。

 

 
 ところで、今日の和服は色からすると霧島酒造さん※からのプレゼントの一着ですかね?
(※訂正:記憶違いで、囲碁将棋チャンネルさんからでした...。すいません。)