[将棋]棋譜の価値 | 福間香奈さんを応援するブログ!

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 少し前に片上六段と千田六段の間で、掲題に関してネット上で意見交換のようなことが有りましたが、その後、兄弟弟子で直接話をされたとのことなので、論争ということでもないでしょう(ここ参照)。

 真面目に書くと長くなりそうなのですが、簡単に行きます。現在の優秀なソフトは既にプロ棋士の棋力を上回っているという前提で、ではソフト同士の対局の棋譜をファンが観るかというと、かなり限定的だと思ってます。その気になれば、私でも自分のPCにあるelmoでソフト自己対局をやらせれば、技術的には高い棋譜を無料で簡単に見られることになりますが、敢えてそのようなことをやろうという気にはなりません。第一に見ても意味が分からないからです。むしろプロ棋士の方たちこそ、様々な形態でのソフト同士の対局の棋譜を見て、それの理解に努め棋力向上の手段として用い、そのエッセンスがご自身の対局の棋譜の中に現れる。そうなると、プロ棋士の対局をニコ生とかネットなりTVなりで見て、解説を聞いて、直接分からなくても間接的にソフトの指し手なり戦術なりの要素を普通のレベルのファンも楽しめることになります。第二に、対局を見て楽しめるかどうかにはドラマが必要なのです。先に行われたコンピューター将棋ソフト選手権(将棋電王トーナメントでした;)などは、ドワンゴさんが?煽りにあおって、Ponanza対やねうら軍団みたいな構図を描き、そういう背景があってこそ対決というのは面白いのです。結果は予想外な感じもしましたが、弟子のたぬきさんがやね師匠の面目を保つことになったというのも一興でした。ただし、一手一手の指し手がどうかという話にはあんまりならないのですね。プロ棋士の解説(二日目は西尾さんだったか)を聞いて雰囲気だけ分かるとしても、あまりに進行が早いということも有りますし。

 それで、片上さんが提起した問題の本質はプロ棋士対局の棋譜の価値の維持ということだと理解しています。その昔、ネットが無い時代は、プロの将棋を新聞、雑誌、TVなどで知るしかなく、初期の頃?は将棋を観たいから新聞を買うという動機に繋がることも有ったと聞きます。今ははっきり言ってそれは無いでしょう。ただ将棋が盛り上がっていれば、スポンサーとして名前が出る訳ですから、そこに意味が有るのかと。文化的な支援という視点の高い意義も有るでしょうし。いずれにせよ、将棋連盟の事業報告を見れば分かることですが、なんせ年間事業収益の約2/3がタイトル棋戦等のスポンサー契約で成り立っている訳です。一義的には新聞社にはプロ棋戦の棋譜を買ってもらっていることにはなるのでしょうから、プロ棋士自身がその価値を貶めないように注意するのは当然だと思われます。例えて言えば、客先訪問で菓子折りなどの手土産持って、「つまらないものですが」とは言うでしょうが、自分達の製品を紹介するのに、「まだまだ完全ではありませんが、今後も改善していきます」と言うのは普通に有りですが、「つまらないものなので買わない方がいいですよ」と言うのなら商売を止めた方が良いです。もちろん千田さんにそういう意図は無いと思いますが。

 一ファンとしての私の結論は、プロ棋士はソフト対局の棋譜を存分に研究に取り入れて、そのエッセンスを自身の対局の中に生かすことによって、より高度な技術を駆使した人間同士の棋譜を作り上げ、同時に気合の入った対決の姿と意気込みが秘められている棋譜を立派な商品として売ることに努められたいと思います。

 もっと簡単に言えば、ソフト同士の棋譜は分からんでしょ?プロが研究に使って、理解して皆さんに教えてあげますよ。だから皆さんは面白いし、どんどん進化するプロ棋士同士の対局の棋譜を楽しみにしてください。で、いいんじゃないかと。そうすれば片上さんの言い分も、千田さんの言い分も通って両立すると思いますが。。。

 

(最後慌てて書いたので、後で手を入れるかも。。。。)