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Vol.12「あんぽ柿出荷自粛、そして来年に期待を寄せて」
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「悔しい・・・90年の歴史を振り返っても、出荷自粛などなかった。
何も悪いことしていないのに。。悔しくて」
近所の生産者が涙しながら語った言葉。
こんな形で涙を見たくなかった。
でもこれが今の現実。
私の家はあんぽ柿を加工している農家。
地域は福島北部にある伊達市。
伊達市の特産品で県ブランド認証商品でもある。
平成20年からは献上品として宮家にも届けていた。
本来なら、今年もあんぽ柿を加工するはずであったが、
3.11の原発事故の影響で、県から出荷自粛の報告を受け、
熟成した生柿を見届けることしかできない。
これまで色々と品種改良を重ね、
手塩をかけて育ててきたものが一瞬にして崩壊してしまった。
今年の柿は、昨年と比べ豊作で、実が大きく、
色づきが良いから甚だ悔しい思いが募る。
生産者の暮らしを保障するため過去3年間遡り、
売上が良かった年の金額を東電から賠償金としていただけることになっている。
だけど賠償金をいただいても素直に喜べない生産者は少なくはないと思う。
伊達のあんぽ柿は、硫黄薫蒸で乾燥加工し、
より一層甘みを引き出すドライフルーツであるが、
県の調査で乾燥させる際、生柿の放射性セシウムが凝縮され、
食品衛生法の暫定基準値を超える(1キロ当たり500ベクレル)放射性物質が
検出されることで、 出荷自粛に紐づく。
これを時機に、断腸の思いで、あんぽ柿加工に幕を閉じる農家もあり
何だか切ない気持ちになる。
(生きている生柿を廃棄している。)
来年出荷に期待を寄せて、12月始めから総ぐるみで、
果樹除染作業を行っている。
高圧洗浄機で柿の木1本ずつ皮を剥ぐ。
数千本ある柿の木を、日割で除染できる本数の目標を立て、
来年3月当りまでを目処に。
気が遠くなる思いで対応している。
除染作業者はみんな若い人だけではない。
その作業たるや、足腰が曲がっている高齢者が、
柿の木に登って除染する人や、
三脚台に登りながら慣れない状況下で対応している。
当然この時期、外気が乾燥し体調を崩す方や、
木から落ちて骨折した方もいるようで、
辛い思いをしての作業となっている。
除染作業を手伝いたいところだが、
毎日除染作業が可能な人を採用条件としているため、
見守っていることしか出来ない。
なんでそこまでして、がんばってやらなきゃいけないのか。
それは、みんなの思いは共通で、3.11以前の環境を1秒でも早く取り戻し、
生産においても、家族のため、伊達のため、福島のため、そして国、
専門家の調査・分析をしっかり保証した上で、食べてもらう人の笑顔を見たいため、
こうしてあきらめず、がんばっているのだと思う。
(除染された柿の木。綺麗に皮が剥がれている。)
今年のあんぽ柿は出荷自粛となったが、
来年はどうなるのか、矢先が不透明である。
出荷できたとしても”風評被害”という壁に当たり、
商品として売れない可能性もある。
今、裏方で除染作業をがんばっている方々を敬意し、
安心・安全な伊達のあんぽ柿ブランドを取り戻し、
そしてこれからもずっと伝統を守っていきたい。
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