【心構え編 武道テコンドーでは一つの技の精度と練度を上げ、深めていくことを重視します。】
まずは余談からですが、テコンドー団体の中には、
「テコンドーは足技1200種、手技2000種、計3200種の技からなる武道」
という説を唱える所があります。
私自身はどのような基準で種類を数えたのかなどその詳細は分かりません。
ただ、例えば、
立ち方を10種類
蹴り技を10種類
覚えたらその時点で10×10で100種類となります。
そして蹴る高さを中段、上段と変えることで別の技と数えれば、
10×10×2で200種類
また蹴り足を前足なのか、後ろ足なのかで別の技と数えれば
10×10×2×2で400種類
さらに蹴り技によっては足の当てる部位を足の甲、母指球、踵など使い分けますので、一つ蹴りの攻撃部位が2か所だと仮定すると、
10×10×2×2×2で800種類となります。
個人的にはこんな感じの数え方をして足技1200種類という数になったのではないのかなぁ、と推測しています。
※もし違いますよ、種類はこうやって数えていますよ、と正しい内容をご存知の方はコメントにて教えてください。
さて、ここから話の本題に入っていきます。
WTテコンドーでは黒帯になるまでに受ける昇級審査の中で最低限覚える必要のある蹴り技の種類は
前蹴り:アプチャギ
押し蹴り:ミロチャギ
踵落とし:ネリョチャギ(チッキ)
回し蹴り:トリョチャギ
スライドステップの前回し蹴り:プッチョ
半月蹴り:パンダルチャギ
外回し蹴り:フリョチャギ
両足交互蹴り:ヤンバル(ナレチャギ)
回転蹴り:ターンチャギ ※韓国英語の発音だとトンチャギ
横蹴り:ヨプチャギ
後ろ蹴り:ティッチャギ
横回し蹴り:ヨプリギ
上段回し蹴り:オルグルトリョチャギ ※オルグルは顔
後ろ回し蹴り:ティフリギ(モントリョフリョチャギ)
14種類です。
※補足その1
韓国語の名称は複数あります。
これはもともとテコンドーが韓国伝統9大道場が統合して生まれた武道であり、その道場毎に同じ技でも別の名称が使われていたからです。
またフリョチャギは振り蹴りなのですが、教室によっては外回し蹴り、内回し蹴り、横回し蹴りにも使われていることがありますので、どの蹴りを指すのか分かりにくかったりします。(^▽^;)
さらにテコンドーでも北朝鮮ITFテコンドーの場合、表現も北朝鮮独自のものがあり、例えば後ろ回し蹴りはパンデトリョチャギ(逆回し蹴り)と言ったりします。
※補足その2
前足回し蹴り、上段回し蹴りを回し蹴りと別にしてカウントしているのは、体の使い方が別の技というぐらい異なるからです。
特に上段回し蹴りについては、中段回し蹴りを高めに蹴ったものとは別物で、型用の正しいフォームで蹴るためにはかなりの柔軟性が必要となり、体が硬い人にとっては難易度が跳ね上がります。
なお、どの色帯の時にどの蹴り技が必要になるのか、どの順番で蹴り技を覚えるのか、については、道場や教室によって多少異なります。
なぜなら韓国の国家機関である韓国国技院が全世界共通で統一しているのは段位、つまり黒帯(初段=1段)の取得時、そしてそれ以降の2段から10段(最高位)までであり、色帯については細かく規定していないからです。
但し、考え方として、現在の色帯になるまでに覚えた蹴り技はそれ以降も審査の対象になります。
例えば、最初10級(=無級=白帯)から9級の時には前蹴りが審査課題になるのですが、この前蹴りはそれ以降、黒帯への昇段審査までずっと審査課題の蹴り技となります。
つまり前述の14種類の蹴り技は覚える順番や課題となる級は教室によって多少違いがありますが、すべて継続的に審査課題となります。
ちなみに昇級審査や昇段審査には型動作も必須です。
型動作は黒帯までに太極1章から8章まで8種類を順番にマスターする必要があります。
そしてこの型動作は一度覚えたら終わりではないのです。
例えば9級から8級に昇級するのに必要な太極1章は、それ以降もずっと審査課題となります。
そのため、3級から2級への昇級審査の際に太極7章が必須なのですが、この時に、太極1章から6章までも全てできる必要があります。
実際の審査では、必須課題である型動作とともに過去に覚えた型動作がどれか一つでランダムで出され、それもできるようにしておかなければならないのです。
これは黒帯取得後の2段、3段、4段への昇段審査も同様で、必須課題である段位毎の型動作1つに加え、太極1章から8章がランダムで課題となりますので、すべてできるようにしておく必要があります。
ということで、蹴り技も型動作も同じものが継続的に審査課題となることがご理解いただけたと思います。
そして、ここからが本題の中でのポイントですが、同じ蹴りや型動作が継続的に審査課題となる場合、その審査基準は同じではありません。
例えば9級課題の前蹴りを9級の人が蹴るのと黒帯の人が蹴るのでは違いがあります。
それは
精度=精密さ、細かなコントロール
と
練度=熟達度、熟練度、習得具合
が異なるからです。
これは簡単な話で、今まで前蹴りを1000回蹴ってきた人と1万回、10万回と蹴ってきた人とでは違いがあるのは当然のことです。
また、ただただ回数だけ1万回蹴ってきた人と、1回1回集中して蹴ってきた人、自分の課題を明確にして改善に取り組みながら蹴ってきた人では天地の差が生まれます。
これこそが武道の深みです。
ということで同じ技だからと油断していたり、さらなる向上を目指して練習をしていないと途中で伸び悩むことになりますし、なかなか次の級に昇級できず停滞してしまうということがあります。
ご注意ください。
なお、この記事を早くから読まれた方は、意識や心構えも変わると思いますので、そういう停滞を避けることができるようになると思います。
是非、一緒に頑張っていきましょう♪
追伸
黒帯以降の段位については、次の昇段審査を受けることができるまで、現在の段位の年数の修行期間が必要になります。
例えば1段の人が2段の審査を受けるには1年、2段から3段は2年、3段から4段には3年、4段から5段には4年ということです。
各段位に専用の型動作があることは本文でもお伝えしましたが、その1つの型動作を覚えるのにその年数をかけるというのではないです。
この修行期間の間には、今までの全ての技、型の精度と練度を上げる必要があります。
また各段位には修行期間だけでなく何歳以上という年齢制限があります。
例えば5段の人が6段への審査を受けるには30歳以上である必要があります。
これは高段位にはそれに伴う人生経験、人格、品格が求められるからでもあります。
すみません、ここまで書いておいて何ですが、私自身はこの修行期間の意味と最低年齢の理由についてはこうです、と聞いたわけではなく、私の独自の解釈です。
ただ、この高段位における一定年数の修行期間の設定は剣道、空手、柔道など他武道にもあり、その理由は技術だけでなく、修行した年数自体も合わせて評価するからだそうです。
参考記事
やはり、武道は道は異なれど、一つの道を歩き続け極めていくわけですので、その考え方が似ているのだと思います。
またはテコンドーは後発の近代の武道ですので、兄弟武道である空手のシステムを参考にしていたとしても不思議ではないと思います。
追伸2
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