*岡田麿里監督作品『アリスとテレスのまぼろし工場』 9月15日より公開中。*
副監督で参加しています。
(旧車や鉄道ファンにも楽しんでいただけますよ、きっと♪)
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11月3日文化の日。
秋晴れで気持ちが良かったので、「江口寿史展 ノット・コンプリーテッド」へ出かけることにしました。
写真を挟んでいくので縦に長いです。
展示場の世田谷文学館は京王線芦花公園駅から歩いて5分ほどですが、自宅からの距離は荻窪の会社へ行くのとそう変わらないので、自転車で行くことにしました。お天気良いしね。
せっかくなので、東京武蔵野の歴史遺構を訪ねながら文化の日を満喫しよう。
自宅からこの方角には東京都水道局堺浄水場がありまして、その東側から現在堀合遊歩道になっている廃線跡があります。
戦後に神宮球場が占領軍に接収されて野球場が不足したため、返還された中島飛行機多摩製作所の跡地に代替の野球場を作り、中央線から支線を延ばして観客を運んでいたのです。
代替と言っても5万人収容の立派な球場だったらしい。
浄水場あたりの橋の上には、かつての姿を保存するようにレールが埋め込まれています。
中央線へ合流するようにカーブを描く遊歩道を通っていくと三鷹車両センターが見えてきます。
そこから三鷹駅の方へ少し進むと、太宰治がよく佇んだとして有名な跨線橋があります。
老朽化のため撤去が決まっており、12月ごろには姿を消してしまうそう。保存の要望もあり検討したようだけど、一部を残す特殊な工事費用だけでなく保存にも費用がかかるため断念。撤去が決まった。家康が築いたインフラで東京は日本一になったのに、現代の政治家はケチばかりですね。
気を取り直して、しばらくは跨線橋の威容を見ていきましょう。
電車庫通りをよく通ったし何度も渡ったことがある。「彼氏彼女の事情」のエンディングや、「フリクリ」のエンデングも近くで撮影されてます。仕事でも縁のある跨線橋でした。
動画も撮ったのでYoutubeで公開しています。
ここから三鷹駅の方へ進むと、中央線をくぐる地下歩道があります。これはかつての用水路を利用して作られたのだそう。
玉川上水から取水して品川方面へと流し込む「品川用水」がありました。今の中央線を渡り、堀合道路、さくら通りと名付けられた緩やかなカーブを描く道がかつての用水路だった。
まっすぐで直角に交差する道路のなかに、ところどころにゅ〜〜っとカーブしてるところがあります。地図を見ているとおや?と思うこういう道は、かつての用水路だったりします。江戸時代に作られた水路は想像以上に張り巡らされていて驚きます。徳川家康は、江戸を天下一の都市にするためインフラ整備を活発に行いました。
江戸時代の初期、品川領の農民から灌漑用水を引いて欲しいとの要望があり、庭園用に引いて使わなくなった戸越上水を活用、拡幅して品川まで水を運んだのだそう。江戸幕府は民のためにちゃんと働いてたんですね。現代のケチな政治家は見習って欲しい。
品川用水は戦後まで使われましたが、三鷹地区の人口増で汚染が進み使われなくなり、地下歩道や道路になったわけです。
こちらのブログに詳しく書かれています。
杏林大学に出たあたりで痕跡を追いにくくなり、部分的に流路と一致する変に斜めな路地や曲がりくねった道をわざわざ選んでくねくね走ると東八道路へ、そこから烏山通りを南下して京王線千歳烏山駅を越えていく。
烏山神社へお参りして一休み。
駅の南で品川用水跡とお別れ。東に向かって立派な団地内の遊歩道を通ると、ちょうど目の前に世田谷文学館がありました。
用水跡はそのまま品川方面へ、小田急線千歳船橋駅、東急田園都市線駒澤大学駅、東急目黒線武蔵小山駅、そして戸越を経て品川へ。都心西部の主な私鉄をどんどんぶち抜いて海の方へと流れていた品川用水は、見えないのに何か豪快な感じがしました。
遺構の旅が長すぎましたが、ようやく江口寿史原画展。
世田谷文学館は緑に囲まれたきれいな建物でした。中に入ると、売店の向かいにゆったりしたイベントルーム(?)があって、江口さんがライブドローイングしています。今日は男性の部。
小さめのテーブルに、チェックのシャツを着た男性とチノパンにジージャンという見慣れた感じの江口さんが向かい合っている。はじまったばかりのようですが、左下に腕の辺りから描きはじめていた! 顔からじゃないんだね。しーーんと静まり返った会場、ペンを動かすわずかな動き。音は聞こえない。まるで将棋のような緊張感。
時間が押し気味だったので先に売店で図録やグッズを買ってから展示室へ向かいました。2階へ上がる途中で笑い声が聞こえたので、時々会話しながら描いているんだろうね。
展示はたくさんの漫画原稿が壁にかけられていました。テンション上がりますね!
ホワイトで直したあとや、印刷時の注意書きなど生々しい。描かれているのはギャグ漫画だけど、戦いですね。
「ストップ‼️ひばりくん!」はどのページも扉絵も馴染み深い感じ。
「すすめ‼️パイレーツ」はあまり読んでなかった気がしてたんだけど、原稿を見てたら記憶からどんどん出てきた。なんだよ、ちゃんと読んでたんじゃん。
「前ばりなのだろーーかっ」好き。トーマス兄弟も懐かしい。
時代が新しくなると、アニメーターになって漫画を読まなくなったせいか初めて見る原稿やイラストが増えてくる。どれもイイですね。
COMIC CUEの頃は余裕ができてきたのでかなり読んでると思う。
イラストの仕事が増えてからの絵柄はかなり影響を受けてます。少しツンとして大きめの鼻、下まつ毛、髪の毛のシルエット、絶妙な足し算と引き算。でも、昔の漫画を見るとギャグの表情とかもろに影響受けてますね。無意識に影響受けてたようです。あるあるですね。
展示を見終わってライブドローイング会場に戻ると、胸から上辺りに進んでいました。ついに顔へ。そして服のチェック柄も網状に描いていく。仕上げに入って何かスイッチが入った? 描きはじめと同じ姿勢だったのがぐいっと動き出す。そして網の濃さで立体感も出していく。早い。
いいですねえ。
なるほど、顔を最後にしたのは見ているお客さんがクライマックスを楽しめるように考えたのかもしれない。きっとそうだ。さすがだ。
以前吉祥寺「創」で見たライブドローイングより規模が大きくなってるせいか、醍醐味も増していた。
確か来年2月くらいまでやっています。展示内容が変わるかもしれないので、また行きたいな。
なんてったって、ノット・コンプリーテッドですからね。
いやー、良い文化の日でした〜〜!
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