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第5波は未曾有の感染拡大となりました。

東アジア地域では7日移動平均が第3位。世界では直近28日が17位になっている。

トップクラスの感染拡大国です。

 

東京都では、疫学的検査の縮小でクラスターや感染経路の追跡が不足するため、発表される数字は状況を正確に示さないものになる。すでに検査不足で陽性率が20%を超えるなど状況が把握できていなかったが、さらに「どうなってるのかわからない」事態に突っ込むわけです。

 

先週後半から本日月曜日までの傾向を見ると、東京都はやや減少傾向になり、ピークアウトが近付いてるように見えますが、明言できない。今週末は都心の人出が増えています。それ以外の地域では、大都市圏から波紋のように拡大域が広がっているので、全国的にはまだまだ拡大傾向がつづいています。

 

政府は緊急事態宣言の延長、蔓延防止策の拡大を検討しているようですが、これまでのやり方では、苦境が長くなるだけでしょう。

 

 

去年2月の段階で、感染拡大を防ぐには行動制限・移動制限をせざるを得ないと(かなり直感的に)考えましたが、去年中は状況の検証と財政拡大で被害を最小化することを中心に書いてきました。しかしそれでは不十分で、間違いだったと言わざるを得ない。今年からは感染対策についても強く書くように改めたし、楽観論を振りまく藤井聡教授への批判も繰り返しおこなっている。楽観姿勢からは、いかなる改善策も出てこないからです。

 

 

さて。

なぜ感染拡大は起こるのか。

去年から書いていることで、一般的にも知られていることですが、改めて基本から書いておきます。

 

まず、ウイルスが伝播する原理です。

ウイルスは、人と人の接近による飛沫・接触・エアロゾルで伝播する。

エアロゾル感染はマスクをしていても完全に防げません。

ウイルスは、場所や年齢や防疫の有無を選ぶわけではないし、人との交渉には応じませんし、忖度もしてくれません。人と人の接近が増えれば大増殖のチャンスなのです。

 

したがって、ウイルスの伝播を止める最も効果的な方法は、人々が外出しないこと、です。

 

人流と感染動向は遅延相関する。

上記ウイルスが伝播する原理に基づき、人流(人出)と感染動向の相関性は去年から研究され、遅延相関がある、と認められています。人出が増えはじめて2週から3週で(遅延して)感染者数が増える。減る場合も同じで、遅延相関します。

このような先行研究に基づき、あるいは常識的判断として、諸外国はロックダウン戦略をおこなっている。

 

これが基本的な大原則です。

繰り返しますが、ウイルスは高齢者だけ狙うのではないし、ある時間だけ活動するわけではないし、ある場所に瞬間移動して人を感染させるわけではありません。人の都合は一切通用しません。人が外出して移動することによって運ばれ伝播し、感染拡大を引き起こすのです。シンプルな話です。

「個々人の防疫で大丈夫」「高齢者だけ守れば良い」「リスクの高い時間や場所に対策すれば良い」、人の都合で考えた手法は全て失敗しましたが、当然のことです。

リスク評価を複雑化させ、リスク管理を縮小すれば、事態は悪化するのです。

 

人出が継続的に増えてくると、毎回感染者数の増加…新たな波の発生…を懸念してきましたが、残念ながらたいてい懸念した通りになっています

 

感染者数増加に伴い、重症者数と死亡者数の増加も遅延相関します。

重症者数は2〜3週間、死亡者数は1ヶ月前後、遅れて推移します。

懸念した通り、死亡者数が増えはじめています。

 

感染者数の増加を防ぐこと。これが経済的被害抑止を含む対策の大前提です。

 

 

状況との関連性。

 

ロックダウンをおこなってもなかなか抑制できない国が多いです。

イギリスや欧米も、ロックダウンだけでは感染状況を改善できていない。

なぜかと言えば、対策が遅れて感染爆発を起こしてしまってからでは、ロックダウンで外出制限をしても効果が表れるのに長い時間を要し、その間に関連被害をどんどん起こしてしまうからです。心理的抑圧感が長期化すると、ロックダウンに従わない人が増えてしまい効果を相殺してしまう。

早期にロックダウンをおこなった台湾・オーストラリア・ニュージーランドなどでは大きな効果を出し、世界中がパニクってる間のほとんどを平時に近い生活にできていた。

台湾では5月頭から感染者数が増えはじめると、拡大してしまう前にロックダウンを実行しました。その結果、1日の感染者数は最多でも500人程度に抑え、死者数も多くて20数人に抑えた。100万人あたりの感染者数も、日本と比べれば本当に「見えないくらい」のレベルで抑え込み、平時に近い生活に戻りつつある。

 

ロックダウンは、増えはじめた初期に実行しなければ効果を発揮できない。

 

対策は「早く・強く」、その結果「短く」済ませることが出来るのです。

 

感染動向とロックダウンの関係を見てみましょう。

他の諸外国はページ下部から選べます。

 

 

経済的被害の抑制。

 

これはコロナ禍前からのデフレ禍への対処と基本は同じです。方法は、感染拡大リスクのある経済活動に任せてはダメで、直接の給付と補償を軸にすること。

政府支出や国債発行を「借金」と捉える基本的な大間違いを払拭し、財政拡大路線への転換をおこなうことによって、継続的な財政支援…一律10万円以上の給付と粗利益の8割以上を補償する…政策が、大前提で必須です。

 

金銭面の余力をつくるため。打撃の大きい飲食店やアパレル、旅行業などは、従業員を確保したまま休業できるようにするため。ロックダウンなど強い対策をおこなうには、徹底的な給付と補償が大前提で必須です。

 

 

議論の順序。

 

日本は特殊な国です。

欧米先進国は、未曾有の非常事態に直面すると、平時の財政均衡思考を捨てて、政府が赤字を引き受ける方向に転換しました。当然の判断です。

日本政府は感染被害が拡大してきても、国民の命より財政均衡を強く頑迷に守っている。こんな非常識な国は他にないでしょう。

学者や言論人は、この状況を知らないで論じたり、藤井聡教授のように知っていてもあきらめてしまい、経済を回してどうにかしようとしてかえって被害の拡大に加担しています。過去の失敗を忘れてしまう便利な脳をお持ちなのだろうか。

 

日本の問題は、議論の順序が狂っていること、楽観論に逃げること、です。

 

経済財政の政策転換を嫌がり。

非常時の行動変容を嫌がる。

平時の生活を確保しながら個々人の防疫で感染拡大を防ぐ、という論理は、この1年7ヶ月で完全に否定されています。

 

対策とは言えない「自粛丸投げ」に固執し、「遅い・弱い・長い」で状況を悪化させつづけているのに認めない。毎回、今回の波が最後になるに違いないと根拠のない楽観論に逃げる。

都合の悪いことはすぐに忘れる楽観論は百害あって一利なしです。

 

 

感染症から国民の命を守るには、まずウイルスの伝播を止めること(ロックダウン)、かかる経済的被害を財政支援で徹底的に縮小すること、です。

 

感染状況に関わらずずっと被害の最小化を書いているのはそのためです。

常に、むしろ拡大していない時にこそ、次の災害を最小化する議論が必要なのです。

 

 

重要なのは以下の3点

  1. 生活や経営を守る徹底的な財政支援
  2. ウイルス伝播を断つにはロックダウン戦略
  3. ワクチン接種の拡大。しかしワクチンは万能ではない

こまかな議論は横におきますが、基本的に1と2を同時におこない、3を推進することです。

1と2は大前提でやらねばならない。

それを怠れば、第5波がなんとなく収束しても、秋に冬に来春にと、過去最多の感染拡大がやってきます。ワクチン接種が進んでも有効期限が切れる頃に同じことを繰り返すでしょう。

前もって準備する意識が欠如した政治がつづけば、巨大台風や豪雨災害、大地震大津波の大災害も、発災した瞬間に人災となり増大する一方になるでしょう。これまでそうでしたからね。

 

重要なのは、第5波が収束してきた時に、「徹底的な財政支援+ロックダウン」を議論し、次に備えて実行できるよう法整備すること、です。やらなければ最悪が悪化するだけです。

ロックダウンの議論は難航するでしょう。第5波に間には合わない。しかし、財政支援は第5波中にやるべきだし、やればできることなのです。国会を休んでる場合ではありません。

 

 

感染拡大中の日本はロックダウン戦略に転換しにくい時期にあります。

ただでさえ、対策とは言えない「自粛丸投げ」で心身ともに疲弊しまくっている状況では、ロックダウンは受け入れにくい。給付と補償もやる前から諦めたり、財政破綻論のデマを信じて嫌がる人も多々。藤井教授のようなコロナ禍を無いことにする「ゼロコロナ論」者が賛同される末期的状況がある。

 

正直言って、絶望する要素ばかり山積みなのが日本だ。

 

日本は底のない絶望に転落していると自覚した上で、土台を再構築し上昇する考え方に転換する必要があるのです。

 

 

 

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