直接・関連の被害増加を止めるには「財政支援の拡大・継続を実行せよ!」です。 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ


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10月2日より放送開始。

 TVアニメ『呪術廻戦』にキャラクターデザインなどで参加しております。

第1弾PV  演出を担当いたしました。

お楽しみに!

 

 

                                                     

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 ニュースをいろいろ読んでいると、長期化したコロナ禍による倒産や事業縮小、希望退職などのニュースが増えています。企業経営は規模に関係なく苦境に瀕している。

 電通が社員230人を「個人事業主」化するニュースでは、記事中で「リストラ策ではない」と企業の弁を載せ、兼業や複数部所兼務で「新規事業創出ねらう」としているのは日本経済新聞らしいところだ。

 

 

 だが、露骨な人件費削減策であることは疑う余地がないだろう。

 

 大企業とて、超長期デフレに追い打ちをかけたコロナ禍で苦境に瀕しているのだ。

 

 信用調査会社の景気動向レポートは、6月以降は持ち直しに転じている。

 10月最新の帝国データバンクのレポートでは、菅内閣発足もあってか「期待上げ」も含んでいるように思われる。

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/202011_jp.pdf

 

 最新の経済ニュースからは、とても持ち直しとは言えない状況がうかがわれるだけに、空虚なものさえ感じざるを得ません。

 

 政治家や経済学系の論者は、平常時の如き競争原理でものを言いますが、10年以上前からの非常事態が悪化しているのだと認識すべきです。そんな時に競わせれば、落ちこぼれる人がどんどん増えていくのです。

 競わせるより、守ることを最優先にすべきです。

 

わかるぞ、アヒルちゃん。

 

 

 新型コロナの被害は、感染すると軽症でも仕事が1〜2週間できなくなり、後遺症が残った例もある。重症になった場合には死亡するリスクが高まります。

 このような直接被害の他に、経済的な影響や、そこから生じる様々な関連被害がすでに起きています。 感染したために、軽症でも職を失うケースだってあるでしょう。

 ボクにしても、1週間入院することになったら、お金で計れない被害を出すことになります。

 

 自殺も深刻な関連被害のひとつです。

 10月はまた増加しました。

 

 繰り返し書いているように、自殺の動向については努めて慎重に書くよう注意します。

 「〇〇万人に増えてしまう!」たぐいのアオリは絶対に禁物です。

 

 

 10月は男女計で39.9%増えました。

 夏以降の増え方で顕著なのは、女性の増加が著しいことです。82.6%も増えている。

 通常、自殺者数は男性の方が倍以上多いのですが、1302/851人に迫っている。

 なぜ男性の方が多くなるかと言えば、自殺の動機別で見た場合、病気と経済的理由が男性の方に重くなるからだと考えられます。医療の発達と失業率の低下で、喜ばしいことに2010年以来自殺者数はずっと減少傾向でした。それが、女性の方に顕著に増えているのは、なぜなのか。動機別や年齢別の内訳が出る来年まで、はっきりしたことは言えそうにありません。

 

 しかしあえて、経済状況が及ぼす心理的影響を考察してみると、ある程度のパターンが見えてきます。(年に1回程度このような考察を試みていますが、今年は夏頃にもおこなっています。)

 

 長期的にみてみましょう。

 グラフは人口動態の影響を取り除いた自殺率(10万人あたりの自殺者数)の推移です。

 それに、経済における大きな出来事をポイントしてます。

グラフはこちらからお借りしました。

 

 継続的に動向を見ていくと、自殺率の上昇は、一度の景気悪化では起きていないことがわかってきます。

 二度のオイルショックで物価が高騰する時期に自殺率が上がっていますが、最初のオイルショックではそれほど大きな変化がない。80年頃の第二次オイルショックで急上昇するまでの7年間は「忍耐期」があったことが伺えます。

 つづいて、91年からのバブル崩壊期です。この時も景気が悪化し失業率が上昇しましたが、自殺率は緩やかにしか上昇せず。97年に消費税が5%に上げられたのを機に史上最大の急上昇となります。この間、6年は「忍耐期」があったことが伺えます。

 完全失業率は次のグラフのような山状の変化になっており、自殺率の動向は大きく見れば相関するものの、ところどころ一致しない時があります。

特に、リーマンショックによる失業率は2009年に急上昇していますが、この時の自殺率は下がっており、11年の東日本大震災でも数カ月間は不安心理で増えたものの、年間では減っているのです。自殺率で見ると、まるでリーマンショックなどなかったように見えるのが、失業率だけで自殺者の増加を断定できない理由です。2010年以降の減少については後述します。

 

 

 さて、このように一度目の景気悪化から「忍耐期」を経て二度目の悪化で上昇する現象が二度確認できます。リーマンショック以降の三度目はどうなのか。

 リーマンショックと東日本大震災にもかかわらず自殺率は下降しつづけ、デフレの長期化にもかかわらず下降しつづけていた。この時期は、実態は非正規雇用など低賃金・不安定雇用とは言え、就業者数が増えて失業率も下がっていた。景気回復は見込めず、だからといって失業者が増えるわけでもない。貧困化・格差拡大化がじわじわと深まった結果、もはや好景気を知らない世代が多数となり、成長を期待しない人々が増えた。デフレ脱却、経済成長をあきらめてしまっていると考えられます。そのため、自殺に踏み切るほどの動機にならなくなったと推測します。

 2010年から2020年上半期までの10年間を「忍耐+あきらめ期」と名付けました。

 コロナ禍が起きなければ「忍耐+あきらめ期」つづいた可能性があります。自殺者が減るのは良いことですが、貧困化・格差拡大化が深まって良いわけがありません。

 

 夏以降、コロナ禍の長期化による生活不安・企業経営不安の累積でしょう、忍耐の限度を超え、7月からついにプラス域に入ってしまったと推測します。まだわかりませんが、女性の場合非正規雇用の割合が高いので、企業が切りやすい非正規から減らした(これは事実)影響が考えられます。年齢別統計が出ないとわかりませんが、高齢の夫をコロナで失ったショック、ということも考えられます。

 このように、ここ数ヶ月の自殺者の増加は、長期的な経済衰退や雇用環境の脆弱化など複数の要因が土台にあって起きていることだと推測します。

 

 

 ここ数ヶ月の自殺者数増加を、「過剰自粛による景気悪化のせいだ」と言う言論人がいます。

 大間違いだと思う。

 なぜなら、「8割自粛」が話題になり行動制限や緊急事態宣言がおこなわれていた5月まで自殺者数は大幅なマイナス域だったのです。「言ってしまった主張」に合わせてデータを見ると、こういう間違いをします。財政破綻派や増税派と同じです。

 

 そもそも、前述した通り、動機別や年齢別など内訳が出ていないので理由を特定できる状況にありません。傾向から推測するのがせいぜいです。特に女性の増加が著しい特異な状況が、今後の検証の中心になるでしょう。平常時ではないのです。

 

 

 では、「忍耐期」を経て上昇していくこれまでの特徴を踏まえて今後を考えてみましょう。

 

 財政支援との関係です。

 

  第一波の中、世間では「自粛をさせるなら金を出せ」と言われました。この世論を受けて、10万円給付や企業向けの融資補助等がおこなわれました。

 10万円給付には時間がかかり、約99%に行き届いたのが8月です。

 そして、一度だけの10万円給付は、納税や預貯金に回ることが多く、あっという間に効果が切れました。

 10万円給付の効果はせいぜい9月までだったと考えられます。

 

 

 企業向けの支援はどうでしょう。

 東京商工リサーチ、9月15日のレポートです。

 この時すでに

 《政府や自治体の各種支援策などに依存し、経営を維持している企業は少なくない。新型コロナの感染拡大から半年を経過、資金繰り緩和効果も薄まる時期を迎えている。コロナ前に売上が戻る見込みがなく、新たな支援策がない場合、脱落がさらに加速する可能性もある。

 とあり、給付金と同じく、企業も財政支援の効果はせいぜい9月までたった。

 支援は一度受ければそれで終わりです。調査報告は少し前の状況ですから、夏中に財政支援の効果が切れていたことが伺えます。

 

 

 財政支援でホッとしたのもつかの間だった。一度だけしかおこなわれないのでは、残酷な現実に再び直面せざるを得ないでしょう。痛みと安心を交互に与える拷問のようだ。

 企業の倒産廃業は9月以降増加傾向がつづいています。夏以降に自殺者が増えたのは、財政支援の効果が切れて息切れを起こしたからではないかと推測します。

 

 

 何度でも、こう言うしかないでしょう。

 

 自殺者数増加の理由を考察するのなら、財政支援が継続されていないことを第一にあげるべきだ。

 

 したがって、長期化するコロナ禍に対処するには、

 財政支援の拡大・継続を求めるのが最優先かつ最大でなければならない。

 

 しかも、「自粛緩和で経済を回せ」策で街の人出が増えれば感染者が増えるという客観的事実があり、感染者の増大が行動抑制を招いて経済被害をもたらすループがすでに起きている。

 

 生活不安・企業経営不安の解消には、財政支援の拡大・継続を実行しなければならない。

 

 …と。

 

 

 なぜ日本政府は、「自粛緩和で経済を回せ」策に傾くのか。

 

 この疑問にヒントをくれたのがNewsweekの記事でした。

 

 「優等生」とは、記者の皮肉でしょう。

 また、スイスは財政においても優等生と言われてきました。財政規律を厳しく遵守している国なのです。つまりは、緊縮財政だ。

 新自由主義と言い換えてもよい市場原理主義で小さな政府を実現している。

 別々な国が合わさった連邦制で言語も主に三種類。それぞれ山に隔てられている。

 第一波を小さく抑えたことに慢心して「経済」を優先した。

 記事をまとめるとこう言って良いでしょう。

 

 緊縮財政・新自由主義・小さな政府・個人主義・希薄な国家観

 こういった思想風土が、「自粛緩和で経済を回せ」の根底にあるのだ、と。

 

 もちろん、スイス連邦の歴史が欧州および世界における「中立国」の立場を形成したことを貶めるつもりはありません。しかし、常に良いことばかりではないのです。

 

 日本政府が財政支援に消極的で、「自粛緩和で経済を回せ」策に傾くのは、緊縮財政と自己責任の市場原理主義を前提にしてきたこれまでの政策の延長と言える。

 したがって「自粛緩和で経済を回せ」論は緊縮財政と自己責任論の追認だと言う所以です。

 

 

 感染者増加が明白になって以降、休日の繁華街で夜の人出が減ってきました。

 状況に応じて自主的な自粛をする日本人は賢いと、ボクは思います。。

 

 感染者数を抑えるには、平年より70%減らす必要があります。

 そこまで減らして…つまり経済を回さない状況で、生活と企業経営を守る政策が必要です。

 財政支援の拡大・継続です。

 

 コロナ禍よりずっと前から日本は非常事態です。

 

 特にこれからは発想を転換し、政策を転換しなければならない。

 

 悪化させた「緊縮財政・グローバル化・構造改革」をやめる。悪化させた方法を強化させれば、当然、悪化が強化されます。頭の悪いことはやめましょう。

 

 長期的財政拡大路線への転換。これが大前提なのです。

 

 自国通貨建て国債を発行している日本に財政問題はありません。

 

 第三次補正予算は、前回と同規模の100兆円を求め、最低でも30兆円を実現させれば悪化を止められる可能性が出てきます。

 

 国民が財政破綻を心配しようが、断行するのです。

 

 継続的な財政拡大によって、生活が企業が助かる当然のことに全国民が気がつき、財政破綻の心配がないことがわかれば、プライマリーバランス黒字化目標などというバカなものは撤廃できるでしょう。

 そうしてようやく、財政支出を増やして景気回復していく正常な経済政策ができます。消費税など廃止できます。

 

 明るい未来が開けてきて、少なくとも経済的理由による自殺は格段に減らせるでしょう。

 

 

 

 + + +

 

 三橋TVに出演した小野盛司さんの提言です。

 シミュレーションの結果、消費減税だけではコロナ禍を脱することはできず、景気回復へ持っていくには不十分と説明。

 そもそも、緊縮財政路線のままでは減税は必ず短期限定になり、再増税時には10%以上にあげられます。その上、感染防止策と相反してしまうため悪手になります。

 

 今は非常時です。消費を増やすことに固執すればコロナ状況を悪化させる。

 国民を守るには、給付と補償を徹底的に実行・継続させなければならない。

 

https://twitter.com/Hiramatz/status/1322837637376344064

 小野盛司氏の提言。

 

 これができてはじめて長期的財政拡大路線へ転換できる。

 消費税廃止へ持っていける。

 そして好景気へ。

 経済成長する(=所得が増える)正常な日本にすることができるのです。

 

 

 

 

 + + + 

 

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