「都構想」否決のカギは「コスト問題」だった。喜べない「勝利」。 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ


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10月2日より放送開始。

 TVアニメ『呪術廻戦』にキャラクターデザインなどで参加しております。

第1弾PV  演出を担当いたしました。

お楽しみに!

 

 

                                                     

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 維新が言う「大阪都構想」、正確には大阪市を廃止して特別区を設置する構想は5年前より多い17000票余りの差をつけて否決された。

 

 なぜ否決されたのか、新聞などで様々考察されていますが、前回と違って「大阪市が無くなる」「大阪都にならない」ことがメディアでも多くとりあげられて、吉村知事や松井市長の説明がウソであることが端的にバレていたこと。政令指定都市の権限の多くが府に奪われてしまうことも周知された。

 しかし、決定的だったのは、「都構想」が可決されると、余計なコストが200億円以上かかってしまうこと、だったと思う。

 

ヤフーニュースにあった解説でも「コスト問題」が逆転に導いた可能性を指摘しています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/yoneshigekatsuhiro/20201102-00205974

少し長めに引きましょう。

 

《毎日新聞の夕刊1面や電子版を通じて「大阪市を4分割する都構想で行政のコストが218億円増える試算がある」といった趣旨の報道が行われた。

この問題は、ここ数ヶ月の都構想論議の中で最も有権者の耳目を集めた可能性がある。NHKが1日の開票速報で公開した、期日前投票の出口調査のトレンドでも、報道の翌日の27日を境に反対票が増える様子が示されていた。同様に、同時期、同社のSNSビッグデータ分析でも「コスト」といった関連キーワードが注目されたことが示唆されている。》

 

 毎日新聞の報道が話題になると、吉村知事、松井市長、そして橋下徹氏が猛然と「デマだ」と言い出した。しかし、この試算そのものに間違いはなく、必死に否定しようとする維新上層部の姿勢がかえって「うさん臭さ」を強調してしまった。オウンゴールだ。

 

 結局のところ、事実を知れば知るほど、賛成できない代物だったということです。

 

 

 さて、「コスト問題」が最終的に否決を実現したとなると、喜べないものがあります。

 「大阪市が無くなる」と「大阪都にならない」、そして権限の弱体化は、もうずっと言われていた制度上の事実なので新鮮な話題ではなく、「二重行政の廃止」がいかに害のあることなのかという説明も同じく、ずっと説明されたことだった。経済を観察していれば、その事実だけでも大反対できますが、実際には、それだけでは可決に持ち込まれていた可能性があった。今回も「僅差」でどうにか否決できたわけですから、5年前から繰り返し説明されたことは、それほど広く強く理解されたと言えないのです。

 それが、「コスト問題」が出るや反対が増えていったわけです。

 

 つまり、大阪市民…敷衍して国民には…緊縮思考が根強いということになる。

 

 行政支出を減らすべきという維新の会の政治方針と、否決を決定的にした「コスト問題」は根が同じなのです。

 言い換えれば、

 政府支出を減らすべきという歴代政府の方針と、公共事業を「無駄な支出だ」と反対してきた国民の意識は根が同じ、という問題と、ほとんど一致します。

 「都構想」を否決させたのは緊縮財政思考であり、日本を衰退させた緊縮財政思考と同じだったと言えるのではないか。「都構想」が否決できても緊縮財政思考が変わらない…またはより強くなった…のでは大阪も日本の未来も真っ暗です。

 

 維新の会の説明がウソだった、という点で、ボクもこの「コスト問題」をとりあげましたが、同時に必ず言い添えねばならないと意識したのは、行政(政府)は国民を守るために支出を増やさねばならないのだ、ということでした。

 

 「何に使うか」は重大な論点です。しかし、財政支出を拡大するのは「悪」ではない。

 反対に、財政支出を緊縮して20年以上、悪い結果しか出していないのです。

 

 緊縮財政と緊縮財政を前提にした消費税や一連の改革で、日本経済は弱体化し、貧困化・格差拡大化、地方の衰弱、少子化など諸問題が悪化している事実があります。

 だから、長期的な財政拡大路線への転換を大前提に論じなければならない。

 

 緊縮思考を肯定する「コスト問題」に全面的に乗っかってはいけなかったのです。

 反対派に「コスト問題」を嬉々として追求する言論人が散見されたのは残念だった。

 

 経済の基本、投資してなんぼな健全な資本主義、コストを負い合う「おかげさま」の心。維新の会の姿勢が見せかけのウソまみれだとしても、行政(政府)支出を増やさねば庶民は守られないという基本は、横におけない重要なポイントだったのです。

 

 

 日本政府は自国通貨を発行できます。国債という負債は国民の資産です。

 給付金は、政府が赤字を増やしたから国民の黒字として巡ってきた。

 インフレ率が3%程度までなら、長期的に財政拡大して何も困ることはありません。

 

 

 このポイントをしっかり押さえていた人は極めて少ない。

 そのひとりは山本太郎氏だ。

 否決が決まってからこの演説を聞いたんですが、まさに本質を突いていた。

https://twitter.com/Hiramatz/status/1323538915140104192

 

 

 

 長期的な財政拡大路線への転換。

 プライマリーバランス黒字化目標の破棄。

 それができてこそ、消費税廃止が可能になります。

 

 もうひとりは三橋TVに出演した小野盛司さんです。

 消費減税だけではコロナ禍を脱することはできず、景気回復へ持っていくには不十分です。そもそも、緊縮財政路線のままでは減税は必ず短期限定になり、再増税時には10%以上にあげられます。

 

 今は非常時です。消費を増やすことに固執すればコロナ状況を悪化させる。

 国民を守るには、給付と補償を徹底的に実行・継続させなければならない。

 小野盛司氏の趣旨は山本太郎氏と大きく重なる。

 

 国民を動かしたのが「コスト問題」だとすれば全面的に喜べないし、暗澹たる気持ちにならざるを得ない。

 考え方を転換しましょう。

 

https://twitter.com/Hiramatz/status/1322837637376344064

 小野盛司氏の提言。

 

 これができてはじめて長期的財政拡大路線へ転換できる。

 消費税廃止へ持っていける。

 そして好景気へ。

 経済成長する(=所得が増える)正常な日本にすることができるのです。

 

 

 

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