消費税のこと | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ


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「ユーリ!!! on ICE 劇場版 : ICE ADOLESCENCE」 公開延期のお知らせ

https://yurionice.com/news/detail.php?id=1076218

 

“YURI!!! on ICE the movie : ICE ADOLESCENCE” Notice of release postponement

https://yurionice.com/en/news/detail.php?id=1076222

 

 

 

 

 

山本寛監督作品『薄暮』 6月21日より上映。

ボクは「朧月夜」を弾く場面を担当しました。

https://www.hakubo-movie.jp/

 

下北沢トリウッドでの舞台挨拶は「おかわり」があるかもしれません。情報をお待ち下さい。

 

10月4日より徳島県徳島市のufotableCINEMAにて公開決定!

https://twitter.com/Twilight_anime/status/1169946447476707328

 

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 10月1日から消費税が10%に上がります。

 

 「消費税は平等で安定的」な税制と言われます。改めてその正体を探ってみましょう。

 

 今回は標準課税10%に対する軽減税率が設けられているのが特徴です。

 何が「軽減」対象なのか改めて確認しておきましょう。

 

消費税の軽減税率制度 対象品目はどのようなもの? (政府広報)

https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/keigen_zeiritsu/taisyohinmoku/naniga.html

 

 大雑把に言って、生活必需な飲食料品で付加価値が提供されないもの。と考えて良いと思います。

 

 軽減税率は、欧州などの税制「付加価値税」に則ったものです。

 付加価値の提供されるものに税を課す、というのが基本です。

 なので、付加価値に対して20%課税でも、生活必需な飲食料品は5%や無税になっているのです。

 

 ということなので、日本の消費税は欧州などの付加価値税とは似ているようで違います。

 

 

 税の歴史を振り返えれば、なぜ消費税なのか?も見えてきます。

 

 そもそも古代欧州では、税は神に授かった富を再配分することを目的としたそうです。それが、都市国家から帝国建設へと時代が降るに従って変わっていったようです。

 

 代表的な税には、法人税や所得税の直接税と、消費税やたばこ税の間接税があります。

 消費にかかる税は、1989年まで物品税でした。これをモデルに欧州などの付加価値税ができたのだそう。日本では、オイルショックで高度経済成長が腰折れした後、「財政問題」が叫ばれるようになり、税収を増やすために「直間比率の是正」ということばが現れました。

 直接税に頼るのを改め、消費にかかる間接税を引き上げようとするものです。分厚い内需を中心とした経済で、一億総中流と言われた景気の良い時代であればこそ、消費にかかる税を拡大する議論ができたわけです。間違っていましたけどね。

 

 そもそも、物品税は贅沢品に課せられていました。所得低い人、生活が苦しい人が困らないよう考えられていたのです。

 このような税制は、所得が増えるほど税が重くなる累進課税に近いもの。逆に、所得の低い人にほど優しい税制だった。

 つまり、物品税には、インフレ率の調整と再分配の機能があったのです。この機能が、社会保障を手厚くおこなう欧州で評価され、採用された理由なのでしょう。

 

 しかし、高度経済成長で商品が多様化するとともに「何が贅沢品なのか?」というややこしい問題が増加した。対象品を選定し周知するコストが増加してしまったのだ。折しも「財政問題」が起きていた80年代、消費全体に「薄く広くかければ良い」という議論が強まって、1989年、現在の消費税が生まれたわけです。

 

 

 政治家がよく言ってきたように、「消費税は平等で安定的」な税制です。

 その意味は

 富裕者からも貧困者からも同じ税率で税を取る。

 景気が良くても悪くても同じ税率で税を取る。

 …ということ。

 

 欧州などの付加価値税と並べて議論されますが、根本的な違いがあるのです。

 

 消費税が必要になったのは「財政問題」の解消と、社会保障費の確保と少子化対策です。オイルショック以降日本経済の成長が止まり、かつてのような税収確保が難しくなった。加えて1989年当時から将来少子化になることが懸念されていました。つまり、直接の累進課税に頼っていては税収不足が確実なため、人頭税と同じように平等に安定的に税を取る方向に舵を切ったのです。

 

 このような税制の考え方は、古代ローマ帝国や封建制時代の考え方です。

 日本では、江戸初期から明治三十六年まで約260年間おこなわれた琉球など先島諸島への「正頭(しょうづ)」が人頭税に近いものでした。

 ざっくり言って、人民を税で縛り戦争の費用を取り立てる税があり、消費税もそのひとつだったわけです。

 日本でも、第一次二次世界大戦の時、消費税、清涼飲料税、物品税ほか様々な間接税が創設されています。戦費を稼ぐには、国民全員から平等かつ安定的に税を取る必要があったのです。

 欧州でも王侯貴族の時代から近代にかけ、国家を保持する戦費調達に様々な課税がおこなわれました。これに反発して起こったのがアメリカ独立です。

 

今でこそ、消費税は社会保障や子育て教育財源だと平和的な目的に語られますが、本当なのか怪しくなってきます。

 

 戦後税制も戦争と密接な関係があります。1945年の日本敗戦後、GHQの要請により「シャウプ勧告」ななされ、税制の簡素化がおこなわれました。

 シャウプ勧告の大まかな趣旨は、富裕層や財閥を弱体化させて再び戦争準備を行えないようにすること、でしょう。今でも、日本の法人税率は高いと言われますが、大企業・財閥弱体化戦略の名残なのです。

 直接税を重くし、消費税のような間接税を抑えるのは、「戦争する国にしない税制」だったと言えます。

 加えて、ガリオア・エロア資金で、外貨建て負債を負って戦後復興に努めた。この頃の日本は外貨建て負債による財政破綻の危機的状況にあったのだ。しかし、日本国民の懸命な努力によって高度経済成長を実現し破綻することはなかった。その背景にはアメリカ発の「戦争する国にしない税制」も一役買っていたわけです。

 

 さあ、消費税の歴史をたどってみるとおもしろいことがわかってきますね。

 

 元来、租税は富の再配分の思想から出てきたものだが、帝国主義時代を経て国家を保つ戦費調達のためという側面が強まった。戦争が始まると臨時課税をして戦費を稼いだ。その一つが消費税だった、と。

 したがって、消費税導入も増税もシャウプ勧告に反する行為なのだ。

 

 確かに、平和的な北欧諸国が消費税ではなく付加価値税で富裕層ほど多く取る税制を採用しているのはうなづけますね。富の再配分機能も果たしています。

 

 では、1989年以降の日本は戦争準備をしているのだろうか!??

 

 違います。

 

 税制から見えるのは、国家が戦争をすることも、社会保障や子育て教育を手厚くしようとすることも、本質的には同じことなのだ、ということです。

 

 前回書いたように、欧米諸外国では、国家とは国民が作ったものです。だから、戦争も社会保障も国家を守る意味で、裏表の存在なのだ。

 欧米諸外国は、数多の戦争経験を通じて、戦争より社会福祉に活用する税制へと移ってきたわけです。そのような歴史と経験を自覚しているからこその税制だと言えます。

 

 ほとんどの日本人には、国民が国家を作るという意識がない。そうなると、税がなんのためにあるのかも理解できない。消費税導入も、その増税も「財政問題があるからやむを得ない」とあきらめてしまう。

 

 平和主義を一面的にしか見ないため、社会福祉をも弱体化させ、貧困化に導いているのです。

 

 左派リベラルの人達にとっては消費税や法人税など税制は、国家と政府を混同して攻撃する都合の良いネタになっている(「わたしたちの血税」)。だから、本質的な消費税廃止論を展開できず、結局は緊縮と増税を後押ししてしまうのだ。

 

 

 もう一度書きましょう。

 

 「消費税は平等で安定的」な税制です。

 その意味は

 富裕者からも貧困者からも同じ税率で税を取る。

 景気が良くても悪くても同じ税率で税を取る。

 …ということ。

 

 1万歩譲って消費税を徴収して良い時があるとすればこんな時でしょう。

 

 景気が良くて良くてウハウハな時。

 国民の平均年収が1000万あって税など怖くないぜ!ってな時。

 所得格差も地方格差もない夢のような平等社会な時。

 景気が良すぎてインフレ率の上昇が止まらず困ったなぁ〜〜テヘ♡…な時。

 または

 世界征服戦争を仕掛ける時。

 

 現実の景気がどうなっているかは繰り返しません。もちろん悪い。

 

 日本は戦争する気なんてないはずでしょう?

 したくたってできませんものね。

 「わかった!だから安倍首相は憲法改正したがってるんだ!」…そうだとしても自衛隊明記じゃ何も変わりません。竹島も北方領土も尖閣も守る気がありません。拉致被害者奪還もポーズだけだ。

 左派リベラルがいう「軍事独裁政権を目論む安倍晋三」は空想の産物です。

 そんな度胸あるわけないでしょう。

 

 ならどうしてわざわざ庶民を苦しめる代わりに法人税を下げるような税制をやるんでしょう?

 

 その答えははっきりしています。

 

 賃金水準が低くて、物価が安いほうが、得をする人達がいるのです。

 グローバル化、観光立国化、貿易依存、アメリカ追従・・・これで得をする人達がいる。

 空想でも陰謀論でもなく、実際やってることですよ。

 きれいに説明できるでしょ?

 

 安倍首相は、軽くて中身のない首相だからこそタチが悪いのです。

 そのあとに小泉進次郎氏というポエマーがつづいている。絶望国家ですね…(T_T)

 

 

 そもそものそもそも…

 財源は税収ではないのです。

 

 やむを得ないから増税、なんてあり得ません。

 

 本当に、国民が政治家に「国民のための政治」をやらせたいのなら

 財源は税収ではない。政府支出拡大・国債発行で国民に投資せよ!

 その上で、消費税は廃止せよ!

 

 と訴えるべきです。

 

 (政府支出拡大・国債発行を欠いた消費税廃止論は必ず頓挫します。これまで頓挫してきたでしょう?)

 

 

中野剛志さんの新刊 経済の基本と税制の本質がわかる本。

 

 

藤井聡教授の新刊 成長するための土壌を再創造しよう。

 

佐藤健志さんの近著 日本の平和主義が貧困化をもたらすのは、戦争と社会福祉が裏表の存在だと自覚しないからなのだ、とわかる本。

 

 

 

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