『さよならの朝に約束の花をかざろう』 http://sayoasa.jp/
岡田麿里監督 P.A.WORKS制作の長編アニメーション映画。
ボクはコア・ディレクター/作画監督で参加しています。
2月24日より上映中。
現在 4劇場で上映中!
劇場情報(5月16日更新)をチェックしておいでくださいね。
現在まで通算で125劇場で上映していただきました。
海外でも上映がはじまります。
北米を拠点とするELEVEN ARTSさんのツイートによれば、7月20日から公開予定。
https://twitter.com/ELEVEN_ARTS/status/983819936555401216
最新予告「巡り合う世界篇」
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P.A.WORKS発刊『さよならの朝に約束の花をかざろう』
井上俊之原画集 6月下旬発売
《原画集には1カットずつコメント書きました。 購入特典として私と平松さん堀川Pのコメンタリー付きの原画を撮影した動画を見ることができますよ! よろしくお願いします。》
井上さんのツイッターより https://twitter.com/181ino/status/1001495100088664064
P.A.WORKSサイト http://paworksshop.jp/shopbrand/ct36/
https://twitter.com/Paworks_shop/status/1007507729697550336
井上さんが参加しているトークイベントに来たことがある人はわかると思いますが、井上さんは作画について話し出すと湯水が湧き出るようにことばがあふれ出てきます。
情報量が凄まじいので、自分の頭が飽和してぼけ〜〜っとお地蔵さん化してしまう(笑)のですが、今回は実際に作画されたカットを映像で示しながら話すスタイルで、かなり的がはっきりしたものになっていると思います。
聞き手役のボクのテーマは「なぜ、こう描こう(動かそう)と考えたか」でした。
井上さんを相手にデッサンやパースについて聞いても(それはそれで勉強になるけども)それほど意味はない。
「何を」「どのように」描きたいのか…に、話を持っていこうとがんばりました。
子供の頃絵を描きはじめる時は、まず好きな漫画などの好きなコマを取り出して模写をします。
目的は、この絵を自分の手で再現したい、です。
なので、「何を」「どのように」が明確で迷いません。
本質的に絵がうまくなっていく分岐点は、模写をしながらでも自分なりの描きたいもの、描き方に興味が行くかどうかです。
小中学校時代にボクより絵のうまいヤツは何人もいましたが、高校時代くらいに追い抜いていた。…というのは、彼らは勉強や部活や恋愛の方に興味が行った…てことですが、模写力は高くても、(絵に関して)自分なりの「何を」「どのように」へと進まなかったとも言えます。
また、模写やデッサンが達者でなくとも、「何を」「どのように」が明確な人は独特なイラストを描くようになるのです。
模写や実景のスケッチを繰り返しながら、自分は「何を」描きたいと思ってるのか、「どのように」描きたいと思っているのか興味が出てくると、最初は楽しいけど次第に苦しくなってくる。
お手本や、景色を見たまま写すだけで良い状態なら、迷わない。器用ならほどなく上達します。
でも、自分なりの「何を」「どのように」の意識が出てくると、描いたものが自分のイメージとズレてきて疑問が湧いてきます。
疑問が解消されないと苦痛が増えてしまいます。
ズレてしまうのは、自分なりの「何を」「どのように」描きたいのか、が明確になっていないからです。
井上さんは、実際の人間や火や煙など自然物(「何を」)を観察して、アニメーションに昇華する方法(「どのように」)に疑問をぶつけ、その適切な解消方法を導き出せる人なのだと思う。
この意識。
ボクの場合は、動画時代に「歩き」の中割をマニュアル通りに行うと実際の歩いてる人のイメージとズレてしまう疑問を持ったことから始まります。
「人」こんな風に両足が地面についたポーズが原画に書かれていて、中割は原画にツメる(速度を落とす)よう指示されるの一般的でした。
どのアニメもそうなっていたと思いますが、いざアニメ制作に関わってみると、出来上がりが不自然に見えるようになった。現実の歩いてる人を見ても両足が地面につくポイントで減速していないし、自分でやってみてもそうならない。むしろ、足を交差させる中間地点でゆっくりになる。
これに気がついた時に、重心位置や重心移動が重要なのだとわかりはじめたのです。
「どのように」描きたいか、と、実際に描くもののズレが解消されていく。
そうすると、歩き以外の人間の動作を動かしやすくなってきます。
「歩き」ひとつでも、様々な人格や感情を表現できると気がついてきます。
サンプル動画はちょうどその話です。
アニメ的なパターンで描こうとすると、状況や人格や感情など無数にある動かし方に対応できなくなってズレてしまうのです。
もっと良くないのは、無数にある動かし方に気が付かず、パターン化した動きしか作れなくなってしまうことですが。
井上さんやボクに共通しているのは、定形のない現実を観察してアニメーション化する無数の方法を模索するのが楽しい、てことだと思う。
ボクの場合は、アニメ的な「ウソ」を多めに入れることがありますけどね。
現実を観察し、「何を」「どのように」に描きたいか、を明確にしていくことが、アニメの楽しさにつながっているのです。
聞き手として、できるだけそういう話を引き出そうと試みましたが、話自体がおもしろいので、あちこち話がそれてますけども、それもまたよしで、楽しんでもらえれば良いなと。
若いアニメーター諸君には、井上さんがどんな意識で描いているのか、注目して画集を見て、コメンタリーを聴いていただきたい。
アニメファンの皆さんにもきっと楽しいものになっていると思います。
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