放送開始から一ヶ月 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ

「寄生獣 セイの格率」は放送開始から1ヶ月経って東京ではstage:5まで放送されています。

ツイッターにもたくさんコメントを頂きました。
ひとつひとつにお返事したかったんですがとても追いつかず、失礼しました。

今更ですが、この場で改めて御礼申し上げます。

観てくださいましてありがとうございます。


stage:5では、新一がパラサイトと個人的に対峙していた段階から家族を巻き込む展開へと広がりました。

「寄生獣」は新一の成長物語としてみると、正しく丁寧に少年の成長過程を描いていることに気が付きます。

自分の異変に対する戸惑い。
友達との関係性の変化。
母親との関係性の変化。
父親との関係性の変化。
社会とのつながりの変化。

その都度、自問自答を繰り返し様々な選択を迫られ、変化が深化となって大人へと成長していきます。

自分が(年をとった、程度の意味で)大人になって痛感したのは、経験を積めば物事上手く処理できたり迷いや悩みが減っていく、なんてこたぁないんだ、ということでした。
むしろ逆で、子供の頃は見えなかったことが見えるようになって上手くいかないし迷うし悩むし、めんどうなことこの上ないわけです。
この歳になるとさすがに意識できますが10代の頃はまったく意識できませんでした。

ミギーは遠くて近い自分の分身のように機能しているんですね。
現実世界では意識しないまま過ぎ去っていきがちなことがミギーという存在によって意識化され凝縮されているのだな、と。


アニメ版で時代を現代に移したことで、知っているけど初めて観る感じ、になっていれば幸いです。

アニメーション・キャラクターデザイナーとしてどこまで原作の良さを抽出できてるか、自分では評価できません。
賛否両論あるとは思いますが、最後までお付き合い下さいね。