季節は6月に入り、梅雨入りももうすぐという今日この頃…
九重連山ではミヤマキリシマが見頃だという情報もあって「それじゃ九重に行ってみるか」と考えはしたものの、ただでさえ人の多い九重にミヤマキリシマを足算するとトンでもない人の数になるのは火を見るより明らかである。
やっぱりこのご時世「密」は避けたい。
人が少ないマイナーな山にしようとも考えたが、とはいえ梅雨入り前の貴重な晴れた休日、高い山に行ってみたいという思いもあり…
と、そういうわけで…
〜国見岳〜
国見岳は、九州山地中央部の向霧立山地に属する山である。標高は1,739mであり、熊本県最高峰。九州本土では祖母山および市房山と並ぶ屈指の高峰であるが、交通の便が悪い地域に位置する。日本三百名山、一等三角点百名山の一つに数えられる。
さて久しぶりの国見岳、せっかくなので前回と同じく「五勇山」と「烏帽子岳」に縦走する周回コースで行ってみよう。
朝5時に自宅を出発、詳しい道順は初めて登った時の記事を参照していただくとして、とにかく恐しく狭い国道や県道などを進んで登山口のある五勇橋ゲートに到着。
いつもならゲート手前まで車で行けるのだが、この時は道の一部が崩れており、ゲート100mほど手前から侵入禁止となっていた。
そんなことよりビックリしたのが人の多さだ。
九州のほとんどのハイカーは九重のミヤマキリシマに吸い寄せられており、いくらメジャーとはいえ、この時期の国見岳にわざわざ来てるのは私くらいだろうと勝手に想像していたのだが、スットコドッコイ五勇橋ゲート近辺は駐車もままならないほどの車の数であるっ
(と言っても、10数台ほどであるが…)
まぁ…天気の良い休日、私と同じ考えの人もこれくらいはいるよな…(笑)
ということで数少ない駐車スペースになんとか隙間を見つけて車を駐車し、さっそく準備開始。
すでに日は昇っているが、ここ五勇橋ゲートは木に覆われて日陰となっており寒いくらいだ。
そんな中、準備を済ませたら…
さぁ3年ぶりの国見岳に出発〜っ
…と、今回も前回と同じで、まずは国見岳に登るコースを予定していたのだが、周りの登山客…どうも同じ方向に歩いていってる。
みんな国見岳に登るんだなぁ…。
まぁ…当然といえば当然なのだが、私の場合は周回だし、ここは「密」を避けるために急遽ではあるが逆ルートで烏帽子岳側から周回することにするっ(急)
元々どちらから登っても同じ山と同じ登山道を歩くワケなので問題はないが、逆ルートに変更することによる心配事がないわけではない。
登りで使う予定だった国見岳への急登の尾根登りが最後の下りとなるために膝への負担が大きくなるのだ。
まぁしかし、景色の見え具合も「朝に烏帽子岳、昼から国見岳」が良さそうだし、前回と同じルートと違った方が新鮮で楽しめそうだし…。
最後の下りはゆっくりを心がければ大丈夫だろ…(楽)
ということで私の足はすでに烏帽子岳登山口に入っていった。
まずは人工林を登る。
登山道は前に烏帽子岳のみを登った時に詳しく説明したので今回はサラッと…。
山の斜面はかなり急斜面になっているが、登山道はジグザグに登っており、なだらかな道である。
杉の人工林の中では花とかも少ないし、珍しいものもあまりないのでなるべく速度を上げて進もう。
そうこうしているうちに林道跨ぎゾーンに入る。
ここは直登りが多いのでけっこうキツい。
緩やかな勾配箇所もないではないが、前に登った時は「楽」なイメージだったので余計にキツく感じてしまう(汗)
林道跨ぎゾーンが終わると、次は尾根登りとなる。
途中の岩場で一旦休憩、朝ごはんとする。
おにぎりで塩分と栄養の補給が終わったら先に進む。
次に現れたのはポール広場だ。私が勝手に付けた名前だが、相変わらずここだけポツンと開けてる。
さてこの先からは原生林となる。
緑一色の気持ちのいい尾根道だ。
バイケイソウの群落を進む。いつも見るより育っているけどバイケイソウって花は咲くのだろうか…。そういえば見たことないなぁ…。
尾根がだんだんと痩せてくる。山頂は近いぞっ
頂上近くになると空が開けて遠くの景色も見えだして最高の登山道だ。
ここ烏帽子岳山頂付近一帯はシャクナゲの群落地。
私の予想では今の時期に満開だと思っていたのだが、すでに花は枯れ落ちており残念な光景となっている。
そんなシャクナゲの木を掻き分けながら、なだらかな道を進む。
最後の登りも緩やかに進み…
烏帽子岳山頂に到着〜っ
おぉ
緑一色の景色…と思いきや、ヤマツツジが咲いてる(美)
山々の眺めも、少し霞んでるとはいえ上福根山と茶臼山がド〜ンと横たわる壮大な風景だ。
さて、ここ烏帽子岳でも充分山頂を楽しめるのだが、最終目的地の国見岳はまだまだ先であるため次に進もう。
次の目的地は五勇山。
烏帽子岳から五勇山へは、アップダウンはあるものの、稜線道なので比較的楽チンな行程である。
ただ気温の上昇に伴って虫が多くてウザい(嫌)
一応虫除けは付けてるが、果たして効いているのかどうかは分からない。
まぁ、全ての虫に効果がある訳ではないので、過度の期待は虫除けにとっても酷ってもんだろう。
この稜線もシャクナゲの木に囲まれている道だ。
シャクナゲの花が咲き誇る中を優雅に歩く自分の姿を想像していただけに残念無念な稜線道…。
しかし残念なことばかりではない。
途中に美しい景色とキレイなツツジの花とご一緒できるスポットや、展望がステキな岩場ではガッツポーズを決めれるし、ほどよく痩せてきた稜線は緑のシャワーでマイナスイオンが降り注いでいる。
相変わらず虫もまとわりつくけれども…(汗)
本家の展望岩はホントに最高ばいっ
痩せた稜線を進む道は続くのだが、しっかりと整備されていてとても歩きやすい…ありがたや…(謝)
お? コレまた途中の岩場でツツジが咲いてて嬉しい風景だ。
稜線もなだらかになってきて極めて歩きやすくなってくる。
そんな道をのほほ〜んと歩き進むと…
見覚えのある分岐が現れた。国見岳への分岐点であり…つまり五勇山に到着であるっ
五勇山の山頂付近は森に囲まれているため頂上感や眺望はないが、自然林で居心地は極めてグッドっ。ということでちょっと休憩することにしよう(疲)
ここから最終目的地の国見岳へ向かうワケだが、途中に「小国見岳」というピークがある。
すでにここまでで8km以上も歩いているために疲労も蓄積されてきた。
とりあえずこの小国見岳に着いたら昼ごはんにすることにして、それを励みにもう少し頑張ろうっ
五勇山から国見岳へと続くこの道は、稜線とはいえ200mほどを登ることになる。
登りが多いはずなのに何故か下ってばかりな気がする(怪)
登り返しが怖いところであるが、やっぱり稜線道は歩きやすくていいねっ(楽)
メジャーな山だけあって道もはっきりしていて安心だし、途中の景色も最高だし(嬉)
橅木が立ち並ぶ稜線、バイケイソウが群落した中を通り過ぎ、空の青さで緑が眩しい登り道…
素晴らし過ぎじゃないかっ(感)
大きなピークをひとつ越えたら次のピークが小国見岳である。
登山道はピーク南側に伸びているため間違えないように山頂を目指そう。
踏み跡は弱いが、頂上目指して進めば大丈夫だ。
すると程なく小国見岳山頂に到着〜っ
ここは山頂というより小ピークといった方が適切だろう。
とはいえこの稜線上では一番高いし開けた場所なので眺望は極めて良好だ。
なんか前回より眺めが良くなっているような気がする(嬉)
烏帽子岳から歩いてきた稜線、向かいに見えるのは五家宮岳を最高峰とする樅木脊梁の山々だ。
そんな景色の良い山頂から少し国見岳方向へ進んだところで大休止とする。
ここからの眺めも素晴らしく気持ち良く休めそうな広場だ。
ということでまずは暑い時期の私の定番「炭酸飲料」で体力回復っ
ふぅ…心も体も落ち着いたところで昼食にしよう。
さて本日のメニューは…
前回のソバに代わってうどんとおいなりさんのセット、デザートはコーヒーゼリーにカフェラテ(冷)。
でゎ いただきまぁす♪
デザートも美味しく頂いたら、山座同定で楽しもう。
九州山地のほぼ真ん中にある国見岳山系から見える山々は、ほとんど登ったことのある山なので、その時の事を思い出しながら眺めれるため楽しい。
そんな素敵な時間を過ごしながらも、体力が回復したら出発することにしよう。
いよいよメインイベントの国見岳山頂へ向かうっ
まずは一旦下ってバイケイソウ畑が広がる平らな稜線まで進む。
…っと!
ここで花を咲かせたバイケイソウを発見っ
おおぉぉ バイケイソウの花〜っ
初めて見たっ
ムチャクチャ綺麗ってわけではないが、まさかのオハツに感動である(嬉)
こんな花なんだねぇ…いやぁ来てよかったなぁ(感)
さて、そんな思いがけない出逢いに感動しつつも、進む道はなだらかに登り始める。
岩が多くなった道はだんだんと空が開けてきて、青空に映えた白い木や岩が眩しい(美)
そして最後にシャクナゲの木を掻き分けて進むと…
国見岳山頂に到着〜っ
うおぉぉ〜っ
天気も良くて最高じゃんっ
眺めはさすが九州山地最高峰だけあって四方の山々を見下ろす壮大な景色だ。
先ほどの小国見岳からの眺めに加えて北側の山々が広がる。
空気が澄んでいれば北に熊本市内も見えるらしいが、本日は甲佐岳までくらいか…。
とにかく何度来ても感動する景色である(感)
国見岳 最高だ〜っ!
山頂には他の登山客もいたが、午後2時を過ぎたこの時間には人も少なく、ゆっくりと山頂を楽しむことができた。
さて、久しぶりの国見岳にもっと居たい気もするが、時間も時間なのでそろそろ下山することにしよう。
ルートは国見岳から五勇橋ゲートに下りる国見岳登山道だ。
コチラの道も登りで記事にしているのだが、下りはあまり紹介していなかったので、サラッとではあるが書いていくことにする…もう少々お付き合い願いたい…。
下り始めは少し急だが、程なく緩やかになる。コチラもバイケイソウがわんさか生えているぞ。
途中の岩場ではこれまた美しく咲いているツツジの花にうっとり…(癒)
橅木が勇壮なここ付近の道は極めてなだらかで分かりやすく安心して歩いていける。
雨宿りの木(?)は、たまには入ってみようかと思ったが、もし出れなくなったりしたら大変なことになるのでやめておいた(汗)
しばらくすると急な下りが現れ出す。ゆっくりと滑らないように進んでいこう。
油断大敵 滑落注意 だっ
コチラの登山道も烏帽子岳と同じく森の中を歩き続けるのだが、今は下山ということに加えて天気も曇ってきたせいか少し寂しい道である。
下りの勾配も少しずつ急になってくる。
命の危険を感じるほどではないのだが、これまでの疲労で下半身(特に膝)への負担が大きい。ゆっくりと下っていこう…(汗)
道は最後の最後で急勾配になり、私の膝をこれでもかと痛めつけてくる…(涙)
それでもストックの助けも借りながら、なんとか頑張って国見岳新登山口に無事着地っ
疲れたなぁ…(憊)
ここからは作業道をゲートに向かって進む。道は歩きやすいなだらかな下りなので安心してゆったりと歩いていく。
そして五勇橋とその先のゲートを通過して、車の駐車位置まで戻って…
今回の山旅はこれにて終了〜
いやぁ〜かなり疲れた〜
けど久しぶりに山を満喫できた〜♪
お疲れ様でした〜
今回は3年ぶりとなる国見岳と烏帽子岳の縦走だったが、道は相変わらず歩きやすい登山道で、また以前に比べて展望箇所も増えたような気がする。
国見岳と烏帽子岳は単座で登っても充分楽しめる山であるし、ちょっと頑張れば縦走もできるステキな山々だ。
もっとたくさんの人にも楽しんでもらいたいが、やはり登山口までのアクセスに少々難ありなので悩ましいところでもある。
駐車するスペースもそう広くはないので秋の紅葉時期には混雑が予想されるため注意も必要だ。
とはいえ、登山道はしっかりと整備されていて迷う心配はほとんどないし、危険箇所もほとんどないので初心者でも安心して登れる山である。
山頂からの景色も壮大で美しいので是非登っていただきたい山である。
最後に、縦走する場合は膝への負担を考えて国見岳から登ることをオススメする。
〜今回のルート(クリックで拡大)〜
<今回の動植物たち>
〜Epilogue〜
今の時期であれば普通はミヤマキリシマを観に行くのが普通だろう。
九重は人が多いと思って今回は国見岳を選択したわけだが、烏帽子岳と国見岳の縦走路にもたくさんのキレイな花が咲いていた。
その中でもやっぱりバイケイソウの花を見れたのはラッキーだった。ある意味、ミヤマキリシマの群落を見るより良かったとさえ思える。
そして何より、やっぱり国見岳は「いつ来ても良い山」だった。
歩いた距離は18kmに及んだが、下山した瞬間に「また違う季節に来たい」と思わせてくれる…やっぱり国見岳は私にとって「イチバン」の山である(嬉)
…と、そんな感慨深い思いをしながらも、これからまた恐ろしく細くて狭い道を運転して帰らなければならないのでこれにて失礼する…。
おわり