暑さも峠を越えたと思っていたら、ぶり返しの残暑が…
そんな暑い都会を離れて、今回は山都町にある「目丸山」と美里町にある「千間山」に登ろう。
〜目丸山〜
山都町の町花ともなっているカタクリ咲く山として有名。早春の時期多くの登山者が訪れる。山容はその名のとおり丸っこく目立たないが、尾根はブナ、モミ、ヒメシャラ、ハリギリ、カエデ等の巨木が茂る自然林で、快適な山歩きを堪能できる。冬の樹氷も楽しめる。
目丸山の登山口は、山都町の内大臣と呼ばれる地域にあり、青石という集落の山奥にある。事前の調査ではその青石登山口まで林道を使って車で行けるらしい。
これは楽そうだ(楽)などと安心してはいけない。熊本地震の影響で道が使えないことが考えられるからだ。よ~く調べておかないと…。
ネットで調べてみると、特に通行止めの箇所はなさそうなので、最短の美里町から内大臣橋を通って青石集落に向かうルートを選択。一応、予備として他のルートも調べてみたが、やはり最短のルートが安全で時間も早そうだ。
朝、5時起床し、準備を終えて近くのコンビニで買い物し、5時半に熊本を出発する。
ナビによると7時くらいに到着予定。
朝は車も少ないのでスムーズに進み、この調子だと7時前には到着しそうだ。
…と、長くなるので結果だけ言っておくと、現在のここ付近の状態は内大臣橋には熊本方向からはどのルートからも行けず、青石集落に行くには通潤橋方面(旧矢部町)から県道180号を通って県道153号に入り、津留集落の方から青石集落に向かうルートしかない。
狭い県道180号を下っていく。対向車でも来ようものなら大変なめにあいそうな狭さだ。
県道153号に入っても道の狭さは変わらない。
一ツ葉高等学校入り口を過ぎて50mほど進むと目丸山看板がある交差点を左折。
…ちょっとだけ道が悪くなる。
2kmほど進むと右に登る道に同じく目丸山へ誘う看板がある。その方向へ進む。
…もうちょっとだけ道が悪くなる。
さらに2kmほどで青石集落が見えてくる。奥へと進むと「青石林道」に入る。
…ここからは道が極端に悪くなる。
恐る恐る進むが、道に転がり落ちている石(岩)があまりにも多くて、これ以上普通車で進むのは困難だと判断し、途中の広いスペースで無理矢理Uターンしてそこに駐車する。登山口まではかなりあるが、致し方ない。
ということで、ここをスタート地点とするっ!
準備を終えて、まずは登山口へ出発。
林道は進むほど崩壊が酷く、ジープでもない限り登山口までは行けそうにない。途中に駐車した私の判断は正しかったようだ。
15分ほどで登山口に到着。看板などしっかりしていて、意外と整備されてる感はあるね。ここまでいろんな想定外の出来事があり、時間を費やしてしまったのでサッサと登り始めることにする。
登山口からしばらくは人工林(杉林)を歩く。道はロープで表示されているので迷うことはない。
木材集積場を横目にしばらく進むと自然林に。道は極めて良好、緑が鮮やかで気持ちがいい。
再度、人工林に入る。テープなどの道の表示はないが、道ははっきりしているので迷うことはない。
またまた自然林に進入。緑に囲まれて日差しが当たらないので涼しく、道も良いので気持ちよく歩くことができる。
しばらく進むといよいよ本格的な登りが始まるが、まだまだ大した勾配ではない。
その登りが終わるとしばらくなだらかな平道になる。どうやら尾根の背に乗ったらしい。
さらに進むとまた登り始めるが、これまたたいした登りではない。
緩やかな登りが続き、途中に夥しいほどの苔の生えた倒木の間を過ぎ、最後の急勾配を登り終わると、山頂まで緩やかにアップダウンを繰り返す稜線になる。ここは両サイドがロープで道が表示されている。カタクリの花の群生地であるため、登山者が立ち入らないための施策のようだ。もちろん今はシーズンではないので全く花は咲いていない。
その咲いてもいないカタクリを保護するように張ってあるロープの間を進むと目丸山の山頂に到着する。
この目丸山は、形が丸いので尖った山頂ではなく、ホント平べったい場所にぽつんと山頂看板と三角点がある。周りは木に囲まれていて眺望は全くない。
とりあえず山頂なので休憩する。
さて、ここからが本番だ。ここから千間山を目指す。
ほぼ1年前に洞ヶ岳~茂見山に登ったことがあるが、この時に千間山にも登る予定だったのだが、途中出会った登山者から「目丸山には行けなかった。途中歩いてきたがこの先には千間山の登山口らしきものはなかった」と情報をもらい、違うルートを探してみたがうまくいかず、断念したのだった。
その登山者は目丸山へは登れなかったようだが、目丸山山頂からなら道も分かるかもしれないし、今回の私は前回よりレベルアップしているので、なんとか行けそうな気がする!
そんな説得力のない理由であるが、時間もあるし、わからなくなったら戻ればいいわけだし…。
目丸山山頂を後にし、とりあえず柏川林道まで降ろう。
山頂からしばらく進むと急な降りとなる。けっこう険しいなぁ。
岩場にはロープも張ってあり、安全ではあるが、さっきの目丸山への登りとは違ってレベルがぐっと上がる感じだ。
急な降りが終わると次は登りだ。コルになっているここあたりは木があるが、眺望は目丸山山頂よりいい。
ちなみに柏川林道までのルートはこのピークには登りきらずに右側を迂回すように進む。ピークに登ってしまうと違う尾根に進んでしまうので間違わないようにしよう。なぜって…私は間違って200mほどこの尾根を無駄に進んでしまったからだ。
迂回が終わると、ここからしばらく稜線を進む。右側は崖のように切り立っているが、左側は広々としており、また木が閑散としていて歩きやすい。
次は緩やかに降りとなる。ここは広い森林の中で道らしき道はないし、テープの表示も見つけにくいので注意してテープ表示を見失わないように進む。テープは右に左に現れるので、なんだか彷徨うように進む感じだ。
右往左往しながら進むと突然視界が開ける。
柏川林道だ。
1年前もこの林道を茂見山の方向から歩いたのだ。今回は反対方向の目丸山方向から歩くことになる。
途中、林道は崩壊している箇所があり、危険極まりない場所もあるので注意しよう。
5分ほど進むと道の谷側に何やらケルンらしき石積みがある。赤テープで印のようなものもついてる。
なんだ?この目印は?
ふと谷側を見てみると何やら小さな板に書いてある。
「千間山登山口」
おぉっ ここだっ!
っていうか、この前出会った登山者の方っ、こんなわかりやすい表示があったのに何故気づかなかったんだ!
まぁ、とりあえず千間山への道は探し出すことができた。
さて…谷側の下りを見てみるとすごい勾配だ。そしてその先に千間山と思われる山がズンっとそびえ立っている。
この斜面を降っていくのかぃ…(汗)でも他に道は無さそうだし…。
よしっ 行くかっ
意を決して急勾配を降っていく。とんでもない斜面なのでゆっくりと進む。足首が変な方向に曲がるくらいの勾配だ(汗)。
目印テープなどはなく、降っていく方向と場所ははっきりわかっているので迷う心配はないが、いかんせん勾配がキツすぎて足が痛い。
意識してトラバース気味に降っていく。
やっとの思いで下まで着いたら、次は登りだ。ここから先はテープ表示があるのでその通りに進んでいく。
千間山の登りは急勾配でまっすぐに登っている。見た目は大変そうだが、この前登った女鞍岳に比べたが「へ」みたいなもんである。
距離も然程ないのですぐに山頂付近に到着。山頂付近は岩場となっており、足場が悪いが、それほど危険ということでもない。
そして難なく山頂に到着。
眺望は目丸山よりは良いが、北~西方向が少し見える程度だ。ただ、洞ヶ岳と茂見山が目の前に見えて懐かしい。
ということは近くに京丈山も見えるはずだが、木々が邪魔して見えない。
まぁ、とりあえずお昼にしよう。
山頂は狭いので、あまり広々と物を置けないのでコンパクトに休憩する。今日は登山口までに時間を費やしてしまい、予定より1時間ほど遅れている。千間山の出発をなるべく早めにしたい…という理由もあったのだ。
休憩を終え、帰路につく。計算では千間山から柏川林道までに30分、そこから目丸山まで1時間、目丸山下山に1時間で、休憩も含めて3時間ほどで駐車位置まで帰れる予定だ。
降る途中に南方向が開けた場所から京丈山が目の前に見えた。
千間山の降りは楽勝だったが、そこから柏川林道までの登りがハードだった。
当たり前だ、降る時に足首が痛いほどの勾配を今度は登るわけだがら…。
道や目印がないので方向を確認しながら登る。まっすぐ登れるなら問題ないのだが、ひどい勾配なので、トラバースして登らないと滑って進まないのである。
やっとの思いで柏川林道に到着。いやぁきつかった…と、千間山をマジマジと見てみると…山頂がこの林道と同じ高さと同じじゃん。登りと降りでプラマイ0ってことか…。
疲れた体を引きずりながら林道を進み、目印をつけておいた目丸山への登山口から目丸山山頂を目指して登るわけだが、ほとんどが登りばかりなので体力をかなり消耗する。特に最後の目丸山山頂手前の急勾配の登りはそうとうキツい。これまでの疲労も相まって全然進まない。
何度も立ち止まって汗を拭きながら呼吸を整えて…また少しずつ進んで行く…。まさに人生だね…(悟)
疲労困憊の中、やっとの思いで山頂付近まで来た。
ふと、前方から人の声が…。
久しぶりの登山者と遭遇する。二人組の男性パーティーだ。
情報交換として、お互いの無事を祈念しつつ別れる。
今日の山登りも獣や虫と会うことはあっても人と会うことはないと思っていたので、嬉しさもあってか、気分が良くなって幾分体力も回復した。
目丸山山頂に到着。なんだか一回目の登頂より達成感がある。
休憩をして最後の行程に備える。ここまで予定通りに進んできている。ただ体力はけっこう消耗しているけど。
とは言え下山だ。ここからは道の良さも手伝って、予定より早く登山口まで降ってきた。あとは青石林道を降っていくだけ。鼻歌も快調に駐車位置まで無事到着。
今回も楽しい山登りだった。
今回登った目丸山は登山初心者でも気軽に登れる山らしく、近くの小学生なども登っているとウェブサイトなどに紹介されているような山なので安心して登れる。ただし、登山口までのアクセスが現時点では困難であり、そういう意味ではオススメとまではいかないので、登る場合は時間に余裕のある計画を立ててもらいたい。
千間山はどの方向からも行けるが、達成感と眺望がイマイチなので、できれば他の山とセット(おまけ)で登るのがオススメである。
あと、この一帯の山に登る時は、登山口までの道があまり良くないので、できれば軽自動車かオフロードタイプの車を利用したほうがいいと思う。普通車では限界があるので…。
ルート図(クリックして拡大)
本日のキノコたち…
おわり