2014年1月11日の早朝に
我が家の第二子が産声を上げた。
お腹の中にいる時、
腎臓に水が溜まっている、
と医者に指摘されていたその小さい命。
もしかしたら水腎症というものを持った
状態かもしれない、と心配があった。
水腎症は、腎臓で作られた尿が
なんらかの理由で
堰き止められてしまって、
尿が腎臓に溜まってしまう病気とのこと。
軽いもので自然治癒するものもあれば、
日常生活の中で、導尿が必要になる
重症のものまであるといわれている。
産まれてから検査をしないと
どれほどのものか分からない。
でも、自然治癒する程度のもので
あって欲しいと強く願って
奥さんの出産までの期間を過ごしていた。
もし重いものであったとしても、
まあ、なんとかやっていけるさ、
と必死に前向きに捉えようともしていた。
そんな気持ちが揺れ動いていた時期、
これから分娩室に入る、と
奥さんから連絡が入った。
2歳の娘を実家に預けて、
奥さんは急遽入院になったとのこと。
自分は夜勤中で、
すぐには駆けつけられない状況。
しかも、出産は1ヶ月後だったはず。
予定外の事態になんだかよくないことが
起きているようで不安が強まる。
元々気持ちが揺れている時の突然の連絡に
ものすごく動揺して、
その後の仕事はしんどかった。
夜勤を終えてまずは実家に寄り、
娘としばし時間を過ごす。
両親ともにいない時間を
初めて過ごした彼女は
流石に寂しかったのか、
実家に着いて目があった途端、
泣き出した。誰も悪くないんだけど、
ごめんね、と何度も謝った。
頑張ったんだね。と何度も励ました。
その後、病院へ急いで向かった。
まずは奥さんに会いに。
色々聞きたいけど、
奥さんが無事なのが何よりでホッとする。
急にお腹が痛くなって
病院を受診してそのまま分娩室に
入ることになった経緯を話してもらう。
その後、生まれてきた子に会いに行く。
1ヶ月早く出てきているから、
少し小さめの男の子。
なんだか大袈裟な保育器に入れられてる。
何故保育器に入っているのか?
あと、なんだか
手の指がくっついているように見える。
それと、顔つきがなんとなく…。
生まれたばかりだからかな、と
あまり気にしないことにする。
奥さんのところに戻っても
何から聞いていいのか
分からず困っていると、
奥さんから話してくれた。
保育器に入っているのは
うまく酸素を取り込めていないから。
血中の酸素濃度が低いようだ。
検査をしないと分からないけど、
もしかしたら心臓に
何かあるかもしれないこと。
手の指は、合指症という状態で
生まれてきているから。
両手とも合指症があって、
中指薬指小指とくっついているけど、
骨は独立している。
今後手術が必要になりそうなこと。
腎臓の方は軽い水腎症があること。
他にもあるかもしれなくて、
検査をいくつかしないといけないこと。
そして、これだけのことを
抱えてきている背景には
染色体異常の可能性があること。
奥さんも色々と気がついたみたいで、
多分ダウン症を持って
生まれてきたんだと思う、
と話してくれた。
彼女の思いの根拠は、
足の裏の特徴。
足の裏の親指と
人差し指の間から踵へ向かう皺。
ダウン症児の特徴の一つらしい。
早く産まれてきてくれたから、
お産は拍子抜けするぐらい
楽だったんだよ、と明るく
話してくれている奥さん。
でもさ、奥さんは出産後、
疲れてる中、一人で色々
調べてたんだよなー。
不安だったよなー。
心細かったよなー。
そんな事を思ったら
涙が出そうになったけど、
きっと奥さんも
辛いのではないかと思って
頑張って涙を堪える。
自分は泣いてはいけない。
奥さんの前では絶対に
涙を見せてはならない。
とこの時強く思った。
これ以降、奥さんの前で
息子の障害について
涙を流したことは一度もない。
そっか。検査を色々受けて、
結果が出てからだね。
とにかく奥さんが無事で良かったよ。
っていう言葉を絞り出すのがやっとだった。
実家にいる娘の様子を奥さんに話して、
退院の予定と自分の仕事の予定を共有して、
この日は娘が待っている実家に帰った。
この日から自分のこれまでの人生の中で
最も苦しい時期が始まった。