ヘリオステクノにTOB! | 投資家リプリーの気まぐれブログ

投資家リプリーの気まぐれブログ

株式投資に関して気になった事、調べた事などを気まぐれにアップしていきます。

5/31、再生半導体大手のRS Technologiesがヘリオステクノへの

株式公開買付(TOB) を発表しました。

 

ヘリオステクノと言えば一時は某有名インフルエンサーの銘柄として

話題になり、いなごタワーをぶち建てた事で知られていますが、

その後はあまり話題に上らなくなったものの、実は高配当株として

一部の投資家には注目を浴びていたような、いないような…

(一部 = 筆者です)

 

TOBの内容、株価の推移、そして業績と財務の状況を纏めてみました。

 

(1) TOBの内容;

 ・TOB価格; 825円 (5/31終値 473円の74%増し)

 ・買付期間; 6/3〜7/12   

 ・目標  ; 全株取得し完全子会社化

 ・買付数下限; 66.67%(ここまで買えなかったら買収中止)

 

 買収に至る経緯;

 ・2023/2   両者で協業すべく、協議開始

 ・2023/8  単なる協業でなく買収して完全子会社した方が良い考え、

      買収の交渉を開始

 ・本年1月 RS Techno側から買収意思の正式表明

 ・2〜4月 DD (デューディリ = 企業価値評価)の作業実施

 ・4/16      第一回価格提案(675円)

      → ヘリオス側が安過ぎると却下

 ・5/2        第二回価格提案(760円)

      → まだ安いと却下

 ・5/15      第三回価格提案(825円)

      → まだ安いと却下

 ・5/21      RS Technoが、825円が上限、これ以上は無理と回答

 ・5/24     ヘリオスが「買収は賛同、だが株主に推奨はしない」と回答

 ・5/31     ヘリオス取締役会で上記を決議、両社で公表

 

 DD結果の企業価値はDCF法で 797〜971円で、買収価格は

 この下限に近く安過ぎる感はあるが、現在の株価より74%も高く

 6ヶ月の終値平均 522円より58%も高いのでまあ仕方ないか、

 という感じのようです。

 

 因みに最近の35件のTOB事例によれば、

 買付価格の中央値は公表直前終値の43%増し、平均値は57%増し、

 過去6ヶ月の終値平均の、中央値で45%増し、平均値は61%増し、

 だそうで、今回の値付けはまあ妥当と言えそうです。

 

 尚、3月の確定日時点の株主には予定通り 35 円の配当がありそうです。 

 (これ以上の配当を提案したり決議したりしたらTOBはキャンセル見込み)

 

 

(2) 株価の推移;

 日足です;

 

 正確には覚えてませんが、昨年4月頃に某インフルエンサーが

 この銘柄を持っており同社公式ツイッターのフォローをした事が

 広く知れ渡り株価が急騰したと記憶します。

 

 情報サイト「株探」記載の上昇理由が傑作で、連日

 「先週末から急動意、なにも材料なし」

 「材料なし、需給思惑など台頭」

 「先週末からの急動意に追随買い」

 「需給思惑から上値追いの動きが継続」

 という感じでした。

 

 5/8には好決算を発表し買いに拍車がついたが、その後は

 手仕舞い売り優勢となって一旦下落。

 

 しかし、6/16から突然連続のストップ高。

 理由は;
 「売り方の買い戻し余地など意識」

 「売り方の踏み上げを意識する動き」

 「 売り方の踏み上げを意識する動きが続く」

 

 その後、売り買いの攻防の後、7月に入って強烈に下落し
 イナゴタワーを形成しました。
 株探によれば、下げた理由は;
 「上げ過ぎの反動」

 「マネーゲームも終了か」

 「材料なしに上げ過ぎの反動まだ続く」

 

 …でしたが、私の記憶では某インフルエンサーがツイッターで

 この会社の公式アカウントのフォローを外したからだったように思います。

 → 記憶違いかもしれませんが、いずれにせよ株探も認める

  「マネーゲーム」だったようですね。

 

 その後は(私の個人的意見では)順当な価格に落ち着き、

 11月には増益・増配を発表して一段レンジ上げ、

 後は比較的安定した動き、但し3月頃からは少し下げ傾向でした。

 

 今回のTOB価格 825円は上図の緑の線の辺りで、

 つまり昨年6〜7月のイナゴタワーに乗った人は損する事に

 なりますが、それでも損失を大きく減らすチャンス。

 

 それ以降に買った人は結構な利益を得る事になります。

 3月27日以前に買った人は35円の配当も得られる可能性大で、

 一粒で2度美味しい結果になりそうです。

 

 

(3) 業績・財務状況;

 

  (a) 2024/3期 決算実績; 大幅な増収増益と増配。

 

  2024/3期決算は 売上は前年比 36%増、

  営業利益は前年度の約 3.5倍に達し、大幅な増収増益。

  加えて期中に政策保有株式を売却して16億円超の売却益があり

  最終利益は前年度の約 8.5倍に達した。

 

  この結果を踏まえ、配当を前年の 8円、直近見通しの 25円から 

  35円に増額。

 

  四半期別の売上・営業利益率の推移は下図の通り;

  

  売上・営業利益率 共に2024/3期Q4に大きく伸びている。

  Q1~3累計での売上・営業利益は前年同期比 各々 6%減・22%減

  だったので、通年での増収増益は Q4の好業績によるもの。

 

 (b) 2025/3期 決算見通し; 増収減益、減配予定

 

  5/7に発表した2025/3期見通しは、売上は 9%増だが

  営業利益は 33%減に留まる見込み。

 

  過去からの推移は下図の通り;

  

  2025/3期の営業利益率は直前の2024/3期よりは低く

  このために営業減益の見通しだが、これは 2024/3期が

  良すぎた為と言え、その前の期からの流れでみると

  増収増益のトレンドにあるようにも見える。

 

  尚、同社は売上の約7割を中国・アジアで稼いでいる。

  2025/3期の利益率が前期より低いのは為替を堅く見積もっている為、

  または 2024/3 Q4のような絶好調が来ない前提で見通しを立てた為、

  と推察され、今後の為替や業績推移次第では後々上方修正する可能性は

  十分あり得る。

 

  最終損益については、2025/3期見通しには投資有価証券売却益を

  念頭に入れてないと推察され 69%の減益を見込んでいる。

  しかし 2024/3末時点で簿価 13億円の投資有価証券を抱えており

  その含み益が8億円近くあると(BSのその他有価証券評価差額)

  推察され、これを売却すれば相応の売却益が期待できる。

  だが計画上はそんなものは入れないだろうから上記のような

  減益見通しとなり、配当も 35円から 12円に減配予定となっている。

 

  注; 2024/3期も期初は 8円の予定。

      これを決算進捗に合わせ 25円、そして 35円に上方修正した。

 

  という事で、2025/3期見通しは決算・配当 共にパッとしないが、

  今後上方修正される可能性は十分にあると思われる。

 

 (c) 財務の健全性; 非常に健全

 

  流動比率は 438と一般に「余裕あり」と言われる 200を大幅に

  上回り、総負債の 2.5倍もの現預金を抱えており、しかも

  営業キャッシュフローは過去4年は常にプラス。

  資金は潤沢で、資金繰りでの不安は全くなさそう。

 

  売掛金は 2.9カ月分と常識的な範囲。

  在庫は 4.4カ月分と多めに見えるが、その殆どは

  仕掛け品や原材料なので(つまり不良在庫はなさそう)

  全く問題ない。

 

  以上より財務状況は非常に健全と思われる。

 

 (d) 収益性; まあまあ。だが売上が伸びれば改善しそう。

 

  売上総利益率は 38%と非常に高いが、

  営業利益率は 2023/3期までは 6%前後と低めだった。

  それが、2024/3期に 13%台へと大きく改善。

 

  2025/3期見通しは 8%台に下がってしまったが、

  これは上述の通り堅い為替見通しや2024/3Q4のような絶好調を

  折り込まなかった事によると推察され、今後の為替や業績推移

  次第では改善するかと思われる。

  

  また、この会社のように売上総利益率が高くて営業利益率が

  低めの所は、売上が伸びれば営業利益率も大きく伸びる傾向にある。

  (売上が伸びて売上総利益で固定費をカバーしたあとは、

  利益がどんどん積みあがって営業利益も伸びる為)

 

  今後、売上が伸びれば営業利益率も改善していくと思われる。

 

 

結論:

①売上上昇中、収益力は低めだが改善が期待できる、

 財務は健全、という事で、良い会社だと思います。

 

②堅い事業計画と株式市場の状況とから現在の株価は結構割安と

 思われ、RS Technologiesは結構良い買い物をしたのでは

 ないかと思います(個人的意見です)

 

③ 5/31の終値は 473円

 今後、TOB価格の 825円まで株価が上昇していくとすれば、

 値幅制限を考えると今後の株価の推移予想は;

 6/3 ストップ高で 553円 

 6/4 ストップ高で 653円 → 翌日は値幅制限拡大

 6/5 825円辺りで頭打ち

 (個人的な予想です)

 → 6/6追記

  結局、6/3-4の株価は上記の予想通りでしたが、

  6/5の最高値は 894円まで伸び、終値は 866円となりました。

  どういう人が 825円以上で買うんでしょうね?

  (信用売り残が多ければ別ですが、随分少なかったと思います)

  

 

以上です。

 

尚、この財務分析・評価は筆者個人の考え方に基づいて行ったもので、

別の見方をされる方もおられるかもしれません。

また、数字やグラフも含め、内容には筆者の書き間違いや

勘違いが含まれているかもしれません。

 

いずれにせよ、この記事は投資を推奨するものではありません。

数字はご自分で検証の上、投資は自己責任でお願い致します。

 

以上です。

 

追記;

↓これ、ビスコッティなのにクッキーみたいに食べやすく

 美味しかったです。しかもグルテンフリーで無添加!

 よろしければどうぞ!