エニーカラーが本日12月14日、2024年4月期 第2四半期(Q2)の
決算を発表しました。
Q1の売上は前年同期比 51%増、営業利益は 91%増と
非常に良かったが、Q2も好調を維持できているか?
中身を見る前に、まずは株価推移を見てみます。
(1) 株価;
週足です。
昨年6月に上場、話題のVTuberグループ「にじさんじ」の
運営会社だけあって当初から人気で、好決算だった事もあり
上場後約4ヶ月間は急騰。
だが急上昇に対する反動で下落し始めた矢先に、
ロックアップ期間(主要株主が株式を売却しないと約束した期間)が
終了する12月に主要株主が持株を売りに出すとの憶測が広がり、
更に業績拡大ペースが一時落ちたり実際に主要株主が持株を
売却したりなどあり、昨年10月から本年初めにかけ株価は急降下。
だが本年3月の2023/4期Q3決算発表を機に底を売って上昇開始。
以後は上下に揺れつつも緩やかな上昇トレンドに入っています。
では、決算の中身を見てみましょう。
(2) 2024年4月期(当年度) Q2決算;
① 当期決算; 大幅な増収増益。
売上は前年同期比 29%増。
営業利益は前年同期比 50%増。
四半期別では…
売上はQ1の前年同期比 51%増に対しQ2は8%増、
営業利益はQ1の91%増に対しQ2は11%増と
Q2はQ1より見劣りする結果に終わった。
これは「にじさんじフェス」というイベントを
昨年は10月(Q2)に実施したのを今年は12月(Q3)に
実施する事による売上時期のずれによる所が大きいらしく、
Q2の数字は計画通りとの事。
実際に通期見通しに対する進捗は、
売上 47%、営業利益 51%と順調。
セグメント別では…
前年度は全社売上の 82%を担う日本語サービスの
「にじさんじ」の売上の四半期毎の推移は以下の通りで、
Q2は前年同期比 16%増に終わったが、上述の
「にじさんじフェス」の売上分を調整すると43%増と好調。
一方、全社売上の 17%を担う英語サービス
「NIJISANJI EN」の売上推移は以下の通り低迷しており、
当年度Q2は前年同期比 13%減と苦戦。
何らかのテコ入れ策が必要。
② 安全性; 非常に良好。
流動比率は 521%で一般的に「余裕あり」と言われる200%を
大きく上回っている。現預金は流動負債(今後一年間で
払わねばならない負債額)の 3.9倍超もある。
営業キャッシュフローも前年度までは大幅な黒字で、
当年度上期も大幅な黒字。
売掛債権回収期間も1.2ヶ月と常識的な範囲内。
在庫期間も1.5ヶ月と常識的な範囲内。
これらより、資金繰りは余裕たっぷりと見られる。
③ 収益性; 非常に良好。
営業利益率は前年度も37%と非常に高かったが
当年度上期は 42%と更に上昇。
四半期別ではQ1の45%に対しQ2は37%と
前年のレベルに戻っているが、これでも非常に高く
Q1が良過ぎたと言うべきか。
ROEも前年度は 51%と非常に高く、当年度の
年率換算値も50%と同様に高い。
④ 成長性; 非常に良好
売上は、前年度は前々年度比 79%増。
当年度上期は前年度同期比 51%増。
当年度の通期見通しは 30%増の計画。
ペースが徐々に落ちてきてはいるが、それでも
非常に高い数値。
(3) 結論;
業績は好調、安全性の懸念も特になく、収益性も非常に高く、
成長性も十分、という状況で、申し分ない。
Q2の数値はQ1よりも見劣りするが、この主要因は
昨年は Q2に行った「にじさんじフェス」を今年は
Q3に行う事との事で、この分を調整すると
Q2も高成長を維持している。
逆に、このイベントが今年はQ3に実施されるという事は
来年3月発表のQ3決算はかなり良くなると期待できる。
唯一の懸念は英語サービスの低迷だが、そもそも全社売上の
17%に過ぎないセグメントであり、ここに経営資源を割いて
テコ入れを図るか、国内版の拡大に注力して英語版の落ち込みを
カバーするか、この辺りは経営判断かと思われる。
(あくまで個人的意見です)
さて、これらを踏まえて明日以降、株価がどう動くか?
興味深いですね。
以上です。
尚、この財務分析・評価は筆者個人の考え方に基づいて行ったもので、
別の見方をされる方もおられるかもしれません。
また、数字やグラフも含め、内容には筆者の書き間違いや
勘違いが含まれているかもしれません。
いずれにせよ、この記事は投資を推奨するものではありません。
数字はご自分で検証の上、投資は自己責任でお願い致します。