はじめに

前回の更新から1ヶ月近くが経ってしまいました。。。

やはり4月は忙しい(特に中1の担任なので)ですね。毎日バタバタしております。。。

 

ですが、これからはなんとか今まで同様週1ペースくらいで更新していきたいと思います。

 

今回の投稿では、「マイクロアグレッション」について書いていきたいと思います。これは英語学習・教育のみならず、現代においては日常生活でもとても大切なことであるとおもいます。

 

では早速書いていきます!

  マジョリティ・マイノリティ・特権

マイクロアグレッション」とは、「マイクロ」(=小さな)と「アグレッション」(=撃)を合わせた言葉です。その言葉の通り、大きくてわかりやすい形ではなく、小さくて見えづらい形で現れる攻撃のことを指します。そしてしばしば無自覚のうちにしてしまうものです。たとえばそれは、「差別」という形で現れます。

 

「差別」というと、とても大きな攻撃性のことではないか、という考え方もあると思います。確かに差別は、社会全体を巻き込んだ運動のように行われると、大きな攻撃性をもつものといえます。

 

しかし、「差別」はマイクロアグレッションとも大きな関係があります。

どういうことか説明していきます。

人は先天的であれ後天的であれ、周囲の環境によって気づかぬうちに「特権 (=privilege)」をもっています。このブログの内容に寄せて書くなら、人は「特権をもつidentity」を獲得することがあるともいえるでしょう。

 

そしてそれは、「マジョリティ」に属する者が得ることがしばしばあります。「特権」というと限られた少数派(マイノリティ)の人が持つものと思われるかもしれませんが、ここでいう特権は「社会において得を生み出すもの」ということなので、マイノリティよりもマジョリティに与えられることが多いです。

 

だからこそ、この特権にマジョリティに気づくことがとても大切なのですが、これに気づかないと「マイクロアグレッション」をしてしまうことがあります。

 

たとえば前回の投稿の内容である「帰国子女」への振る舞いです。日本では圧倒的に「純ジャパ」と呼ばれる人が多い中、帰国子女は語学力では優位性を持つ反面、社会的にはその特権が生かされないことがしばしばあり、identityを傷つけられてしまうことさえあります。

小笠原諸島の人々が自分たちの言葉を恥ずかしく思ってしまうのも、マイクロアグレッションによるものでしょう。また、私も指導者としてよく目にするのですが、英語の発音に精通している生徒が教室内ではカタカナの発音で英語を話すのも、マイクロアグレッションの結果だと思います。

 

  マイクロアグレッションを防ぐには

マイクロアグレッションを防ぐには、マジョリティにいる人自身が「自分がマジョリティにいること」をよく自覚することです。そうすることで、まず差別が他人事ではなくなり、社会へのインパクトがあることを自覚でき、そしてマジョリティとマイノリティの間の架け橋となることが期待できます(出口, 2020)。

 

また、これに加えて僕がとても大切だと思うことは、「マイクロアグレッション」はいつ、どこ、だれにでも起こりうるということを自覚しておくことです。マジョリティがしてしまうことが多いですが、マイノリティがマイクロアグレッションを起こしてしまうこともある。たとえば、海外生活が長い人が日本に帰国して、「これ海外ではこうだよ!」と強く主張することで、マジョリティ側が嫌な気持ちになることもあります。

 

また、マジョリティ側からしたら「褒めている」つもりでも、マイノリティからすればそれがマイクロアグレッションだったりもします。たとえば、帰国子女の人に「さすが発音いいね!」というのも、もしかしたら「別物」扱いされていると感じるかもしれない。

 

このように、いつ、どこ、だれでも、マイクロアグレッションに関与してしまう可能性があります。このことを知っておくだけで、自分の言動にもっと責任を持つことができるようになると思います。

 

  おわりに

今回の記事を書いていながら、あることに僕は気づきました。

それは、ぼくが目指す「誰も傷つかない英語学習・教育」というのは、「マイクロアグレッションをも含めた暴力性をなるべく取り除いた英語学習・教育」と同義だということです。

 

もちろん「大きな」誹謗中傷といった暴力性はあってはいけませんが、この「普通」という垣根があやふやになってきた現代においては、僕たちはもっとマイクロアグレッションに自覚的になる必要があると思います。

それを実体験に基づいて感じ、考えさせることができるのが、英語学習・教育ではないかと思います。引き続きその責任感を持って、英語学習・教育に取り組んでいきたいと思います。

 

 

参考文献