ことしも。金木犀(キンモクセイ)が咲きだした。

あの心地よい香りを漂わせて。

 

「君の瞳は1万ボルト」。

いい匂いとともに、堀内孝雄の歌が、半世紀近く前の、

上京してきた秋の頃に、連れ去ってくれる。

 

本郷の家から近くの金木犀どころ巡ってゆく。

 

本妙寺坂男女平等センターの生垣。

毎年、ここが一番最初にその香りの到来を報せてくれる。

その南裏手の、近代小説の始祖と言われる坪内逍遥宅から、

横溝正史ミステリーのモデルとなったアイヌ研究の金田一京介宅あたりまでの、

崖上に立つマンション沿いの生垣。

神田川、というか江戸城外堀の生垣。

毎年、この時期の、心安らぐ素になっている金木犀に感謝。