30年ぶりの「生」ジョン・ウィリアムズ | たっちゃんの鉄楽切り抜き帳

たっちゃんの鉄楽切り抜き帳

「鉄道」を趣味の対象として、さまざまに楽しむ活動を記録するブログです。


 あのジョン・ウィリアムズ(以下JW)が30年ぶりに来日する!という発表があった時、誰もが耳を疑ったはずだ。何せ、マエストロは91歳というご高齢。是非、来ていただきたいという期待と、あまりご無理をなさらぬようにという心配。二つのファン心理が交錯するなか、チケット争奪戦に参戦。しかし、結果は惨敗。それでもこの手の公演は直前に関係者席を開放することが多いので諦めずにウォッチングを続けたところ、ひっそりと行われた追加販売があり、ようやくチケットをGetした。
 そして遂にその日がやってきた。2日に行われた松本公演に続く東京公演が昨夜(5日)だった。サントリーホールには全国から熱いJWファンが参集。ホール前には「チケット求む」のボードをもった人が結構いたが、大きな荷物を持った人も多い。おそらくチケットを入手できないまま、とりあえず来てしまった熱心なファンだろう。ネット・オークションではとんでもない高額での落札も見かけた。
 今回の演奏はサイトウ・キネン・オーケストラで、前半をステファン・ドゥネーヴが振り、後半にJWが登場する。JWが初めて日本公演を行ったのは1987年。ボストンポップスを率いての来日公演で、オープンして間もないサントリーホールへ聴きに行った。以後、同オケと1990年と1993年に来日しており、これらも聴いている。
 1993年は皇太子殿下(当時)ご成婚の年で、JWはお祝いの新曲を披露。その曲が今年のプログラムのトップを飾った。
 サイトウ・キネン・オーケストラを聴くのは久しぶりだが、すっかりメンバーも代替わりし、オザワ人脈の強力な助っ人もあって、各パートのソロも優秀。相当な実力を感じさせる。
 後半、JWが指揮台に立つと音色が変わった。ちょっと誤解を生む表現かも知れないが「上質の管弦楽曲の演奏」から「最上級の劇伴音楽の演奏」に変わったのだ。JWの指揮は、大振りはせず最小限の動きで最大級の指示を出すスタイル。時折見せる鋭い眼光が雄弁に語るあたりも変わっていない。
 オケも全力で応じ、ホールを揺るがすJWサウンドに聴衆のボルテージも上がる一方で、あまりの盛り上がりに少々引いてしまったほどだ。
 それにしてもマエストロはお元気だ。歩くスピードこそゆっくりだが、時折ユーモアを交えたトークを織り込みながら立ったまま指揮、背面の手すりに寄りかかることもほとんどなかった。
 予定のプログラムを終了。総立ちで熱狂的な拍手が送られるなか、お楽しみのアンコール・タイムへ。マエストロ自ら曲を紹介しながら進行。「ヨーダ」「インディ・ジョーンズ」そして締めはやっぱり「ダース・ベイダー」。
 帰路、ずっとアタマのなかで「ダース・ベイダー」が鳴っており、マーチのリズムで歩いていたが、そんな人が多かったのではないだろうか。とにもかくにも、あの空間に居られたことが幸せで、いい時間が過ごせたコンサートだった。
 来月には20年ぶりにボストンポップスもやってくる。コロナ禍でストップしていた演奏会が一気に押し寄せ、この秋はとんでもないコンサート・ラッシュだ。おかげで鉄道模型の予算が大幅に削減された。