ウィーン チェロ・アンサンブル5+1 | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。

 ウィーンで活動する演奏家で結成されたチェロ・アンサンブルが初お目見え。

 チェロのアンサンブルといえば「ベルリン・フィル12人のチェリストたち」が有名だが、こちらウィーンの方は半分の6人編成。規模だけでなく、音楽性の違いもあって、おそらくは奏でられる音色も全く異なるであろうことは容易に想像出来る。

 2月24日のサントリーホール。LA、RA、Pブロックの席は販売されていなかったため、久しぶりに正面席に陣取る。何故か、この日の観客は中高年の女性層が目立つ。

 前半は、通常のコンサート・スタイルでの演奏で、スメタナの“売られた花嫁~道化師の踊り”でスタート。最初の音が出た瞬間、ふくよかで芳醇な響きに感心。これぞ、ウィーンの音だ。その後、一曲毎にソロをとる奏者が代わりながら演奏。椅子の移動も自分たちでてきぱきとやっていた。

面白かったのは、チャイコフスキーの“ロココの主題による変奏曲”。協奏曲スタイルの曲を、チェロだけで演奏してしまう技と編曲に感心してしまった。改めて、チェロという楽器の音域の広さを再認識。

後半は、真冬のウィーンから真夏のスペインに旅をしたという設定で、衣装や小道具を駆使してリラックス・モードのステージに。

ビゼーの“カルメン”やモンティの“チャルダッシュ”、ファリアの“スペイン舞曲”といった曲が並んだなか、最後はやはりウィーンに戻ってレハールの“微笑みの国”を。

そして、お楽しみのアンコールタイム。動画サイトで大人気の“ボレロ”だ。1台のチェロを4人で同時に弾くという神技の生披露に、客席は大いに沸いた。

大トリは、やはりシュトラウスかと予想したが外れ。ジーツィンスキーの“ウィーン、我が夢の街”がしっとりと奏でられた。

ベルリンのメンバーのような鉄壁の合わせ技ではなく、少し緩めのアンサンブルなのだが、ウィーンの魅惑の音色ではむしろその緩さが心地良く、実にいい時間を過ごせたコンサートだった。