ニコライ・アレクセーエフ指揮 サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団 | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。


ロシア最古の歴史をもつ名門オーケストラ、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団は、来日常連組の一つ。

ゴツゴツとしたコントラバスの重低音、ちょっとザラついた感触の弦、咆哮する金管など、古き良きロシア・オケの音色を残す貴重な存在で、毎回、必ず聴きに行っている。

伝説の指揮者、故ムラヴィンスキーの後を継ぎ、30年にわたって音楽監督を務めてきたユーリ・テミルカーノフも遂に80歳。2018年公演はそれを記念してのツアーの予定だったが、残念ながら健康上の理由でキャンセル。代わりに副監督のニコライ・アレクセーエフが指揮台に立った。

1112日、サントリーホール公演のプログラムは、シベリウスの“ヴァイオリン協奏曲”と、ラフマニノフの“交響曲第2番”。

シベリウスのソリストは庄司紗矢香。テミルカーノフに気に入られ、毎回共演を重ねてきただけに、今回の降板は残念だっただろう。女性ヴァイオリニストのなかでも特に小柄な庄司。大柄なオケのメンバーに囲まれると埋もれてしまいそうだが、その外見からは想像出来ないようなスケールの大きな音楽を紡ぎ出す。

この人の演奏は、10代のデビューの頃から聴いているが、今なお進化しているから凄い。このコンビでのシベリウスを聴くのは初めてだと思うが、パワフルなオケに対して一歩も引かない骨太かつ美しい音色を響かせた。

ラフマニノフの作品のなかでも、特に甘美な旋律で人気の交響曲第2番。近年、ロシアのオーケストラの来日公演で披露される機会が多くなったのは嬉しい限り。このオケで聴くのも3回めとなる。

指揮者が変わっても基本的な音色は全く変わらず、このオケらしい音色がサントリーホールに鳴り響いたが、やはり細部では差異も感じた。テミルカーノフの指揮は、小さく手を動かすだけで、より機敏にオケが反応していたし、さらにメリハリのある音だったと思う。それでも、ちょっと退廃的な匂いがする甘美な世界を堪能した。

 アンコールは、チャイコフスキーの“くるみ割り人形~トレバック”。