ホセ・カレーラス2018 | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。


 一年が過ぎるのは早いもので、またホセ・カレーラスの“神の声”を生で聴ける幸せな季節がやってきた。 

1110日のサントリーホール。ステージに登場したカレーラスは、ちょっと痩せたように見え、足どりもゆっくり。来月で72歳になるという年齢を感じさせるものがあったものの、品のある美声は健在だった。

前半からよく声が出ており、早くも客席のボルテージは上昇気味。当然ながら、後半はさらにヒートアップ。ご本人もとてもリラックスしているようで、ピアニストとのコントみたいなやりとりも交えて、気持ち良さそうに歌っていた。

もはや恒例となった総立ちアンコールタイムに突入。“帰れ、ソレントへ”が出て、客席が明るくなっても熱狂的な拍手は一向に収まらない。これに応えてさらに二曲。やっぱりトリは“グラナダ”だった。およそ1時間に及んだアンコールで、実に8曲を歌ってくれた。

毎回思うのだが、カレーラスのステージは、真摯にファンと向き合う誠実なお人柄が伝わってくる。隣に座っていた老婦人は、感激と感動のあまり、涙が止まらなくなったようで、ずっとハンカチで目頭を押さえていた。

決して、無理をしているという感じではなく、最後まで自然体で声が出ていたカレーラス、年齢を考えると驚異的なパワーに脱帽の夜だった。

例年通り、早くも来年のリサイタルの告知が。また元気に来日してくれることを祈ろう。