ベルリンフィル12人のチェリストたち | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。


 世界最高レベルのオーケストラの一つ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ・セクションを丸ごと独立させたアンサンブル。彼らの来日公演を聴くのは大いなる楽しみだ。 

 きっちり2年毎に来日公演を行っているが、2018年の東京公演は昼夜の二回。それもプログラム違いで開催された。平成天皇の即位にあたり、ドイツからお祝いの親善大使として派遣された時から定期的な公演が行われている。単独での来日が15回を数え、平成という時代と共に歩んできたラストを飾る来日となったことから、特別プログラムが組まれたようだ。

 7月8日のサントリーホール。毎回聴きに来ているリピーターがかなりいると思われ、客席はいい感じにリラックスした空気で満ちている。この30年間で、メンバーは全員入れ替わっているはず(公演チラシの写真からも替わっている)で、音色もすっかり変わった。当初の重戦車のようなゴツい音色から、しなやかで柔らかな音色に劇的変化を遂げている。昔の音しか知らない人が、軽やかにボサノヴァやタンゴを演奏するのを聴いたら仰天することだろう。

 チェロという楽器の表現力の豊かさと、驚異の合わせ技に浸っていると、アッと言う間に時が過ぎ去る。昼夜それぞれにバラエティに富んだプログラムは、まさに彼らの30年間の軌跡。昼夜別の無料配布プログラムが用意されていたのにも記念公演としての意気込みを感じさせられた。アンコールの締めは“荒城の月”。