アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮 フランクフルト放送交響楽団 | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。

  梅雨の中休みで快適な夜、聴きに行ったのはフランクフルト放送交響楽団。我々おじさん世代にとって、このオケは1980年代後半に起こったマーラー・ブームの立役者としての思い入れが強い。だから、今回も6月14日のマーラー・プログラムの方を選んだ。

 久しぶりにほぼ満席になったサントリーホール。披露されたプログラムは、ラフマニノフの“ピアノ協奏曲第2番”、そしてマーラーの“交響曲第5番”。

 ラフマニノフのソリストは、チョ・ソンジン。ショパン・コンクールに優勝した直後に、N響の定演で聴いて以来だ。最近の若手に多い、自己流を貫くタイプだが、オケの方が器用に合わせていく。さすがは放送局付きのオケだと感心。内面の読みより派手な外面が目立つ演奏で、同行の知人は「プチ・ランランみたい…」と洩らしていたが、当たっているかも。

 休憩の後はいよいよマーラー。このオケは、エリアフ・インバル時代以来の伝統が残っているようで、マーラーとなるとスイッチが入って演奏が一変する。

 冒頭のトランペットが渋く響く。ドイツのオケらしい、渋くて実直な音色だが、よく鳴るオーケストラだ。前の週にクリーヴランド管を聴いているだけに、時折アンサンブルの粗さが気になってしまったが、若い指揮者の元気な振りに引っ張られる形で、このオケ特有のDNAが開花して大熱演。オーケストラを聴く醍醐味を堪能した夜だった。