フランツ・ウェルザー=メスト指揮 クリーヴランド管弦楽団3 | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。

3日連続で通った、フランツ・ウェルザー=メスト指揮クリーヴランド管弦楽団によるベートーヴェン・チクルスもいよいよ最終日。

6月7日のサントリーホール。前日までとは違って、客席はほぼ埋まった。締めとなるプログラムは、“弦楽オーケストラのための大フーガ”、そして“交響曲第9番「合唱付」”。

前半の“弦楽オーケストラのための大フーガ”を聴くのは初めて。その名の通り、弦のみでの合奏で、大編成での合わせ技が際立つ。ただ、曲そのものは、例えば、チャイコフスキーの“弦楽セレナーデ”のような魅力を感じない。

休憩を挟んで、大トリとなる“第九”へ。冒頭から存在感抜群の音色にウルウル。何度も書いているように、全く隙のないアンサンブルが魅力のオケだが、要所要所をきちんと締める管の技量も第一級。とりわけ“第九”では、ホルンに拍手。

個人的に好きなのが第三楽章。ウィーン・フィルがやる と、まさに天上の響きになるのだが、クリーヴランド管の音色も悪くない。

演奏に浸りながら、初めてこのオケを聴いた時を思い出していた。もう30年以上前だと思うが、ドホナーニの指揮によるドボルザークの交響曲第8番だった。この時も完璧な合奏力に驚かされ、チェコ・フィルとは違った味わいに感動した覚えがある。

いよいよ第四楽章へ。メストの振りも大きくなり、グイグイとクライマックスへ引っ張っていく。この人のこんな情熱的な指揮を見たのは初めてだ。コーラスは新国立劇場合唱団。パワーはあるが、もう少しクリアさがほしい。

とにもかくにも大満足の3日間。やはり聴けなかった最初の2回を逃したことを後悔した演奏会だった。