フランツ・ウェルザー=メスト指揮 クリーヴランド管弦楽団2 | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。

前日に引き続き、フランツ・ウェルザー=メスト指揮クリーヴランド管弦楽団によるベートーヴェン・チクルスの第4夜。

東京地方の梅雨入りが発表された6月6日、雨のなかをサントリーホールへ。プログラムは当初の発表と演奏順が変わり、“交響曲第2番”、“交響曲第6番「田園」”、そして“「レオノーレ」序曲第3番”となった。

この日も冒頭から快演そのもの。一糸乱れぬ、完璧なアンサンブルは驚異的だ。もちろん、ベルリン・フィルなども同様の合わせ技を聴かせるが、クリーヴランド管は音色にも魅力がある。

後半の「田園」。やや早めのテンポをとった第一楽章の後、第二楽章へ。故朝比奈隆御大は、ベートーヴェンの全交響曲で一番指揮が難しいのが、この第二楽章だと語っていた。確かに、指揮者とオケの力量が試される曲かも。

朴訥とした田園の風景を描写した音楽で、鳥の囀りを表現する木管が絶妙な音を響かせる。弦も管もしなやかな響きなのだが、決してヘナヘナではなく、しっかりと芯のある響きが素晴らしい。

フランツ・ウェルザー=メストの日本デヴューは、まだ30代の頃。1992年のロンドン・フィルとの来日だった。クラウス・テンシュテットとの二人体制で来日したものの、病を抱えていたテンシュテットは指揮出来ず、全公演をメストが振ったのだ。この時、代行したプログラムが「運命」と「田園」だったが、実はほとんど指揮経験がない曲で、まさにぶっつけ本番だったそうだ。あれから26年、今年の名演は感慨深いものがある。

この日も美音に浸っていたら、アッという間に終わってしまった。大満足の演奏会だった。