孤狼の血 | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。

昭和末期の広島エリアを舞台に、縄張り争いを繰り広げるヤクザと、それを取り締まろうとする警察関係者との“仁義なき抗争”を描く。原作は、柚木裕子の同名小説だ。

冒頭からいささか悪趣味で、悪ノリ全開の描写が炸裂。その後もイケイケの推進力と過激な描写の連打、そしてブラックな笑いの小ネタで最後まで突っ走る。ラストで明かされる“秘密”も、日頃から映画をよく観ている人なら、大方の予想がつくことだろう。

主人公となる型破りな刑事を演じるのは役所広司。成り切り型役者の本領を発揮して、圧巻の怪演をみせる。嫌々バディを組まされる新人エリートには松坂桃李。役者として一皮むけた感じで、なかなかの成長ぶり。男たちの闘いの狭間で、逞しく生きる女性に真木よう子。ハマリ役なのだが、げっそりとやつれた雰囲気が痛々しく、演技も空回りして見えてしまう。

その他、邦画界ではお馴染みの役者たちが多数出演。登場人物が多いが、役者の使い方や人物描写にメリハリがなく、キャラ立てにもうひと工夫ほしい。

まだバブルの熱気が残っていた時代の空気感はまあまあ再現されているし、今の時代、これだけの尖がった作品は貴重かも。エンディングで、ヘンテコな主題歌が流れないのもいい。

テレビ放送(地上波)はまず無理な作品なので、スクリーンで堪能したい一本。(20185月鑑賞)