さよなら、僕のマンハッタン | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。

 好きなタイプの作品ではなかったが、異色のラヴ・ストーリーだった「(500)日のサマー」の監督、マーク・ウェブの新作。興味をそそられて、上映館へ向かった。

  長~い予告編が終わり、いよいよ本編開始…という時、スクリーンに映されたのは Amazonのロゴマーク。遂にアマゾンが映画事業にも進出してきたのだ。会員向けに映像配信も行っている同社、コンテンツの囲い込み戦略か。

  この監督は「純情な青年が自由奔放な女性に振り回される」というプロットがお好きなようだ。お話の舞台がニューヨークということで、ウディ・アレン作品とオーバーラップするところもあるが、アレン作品のような洒落っ気はない。多彩なキャラの登場人物が出て来るが、街の空気にすんなり溶け込んでしまうあたりは、さすが人種のるつぼ…と、NYの持つ懐の深さに感心。

 観ているうちに、ストーリーのトリックは何となく見えてくるが、着地点がどこになるかの予想が難しい。そして、この監督らしい結末へ。 

主演のカラム・ターナーは、イマドキの草食男子をはじめ、いくつかの顔を演じ分けて好演。お話の鍵となる女性には、ケイト・ベッキンゼール。このところ、SF作品での印象が強かった人だが、人間味ある役柄に挑んでいる。その他、元007のピアース・ブロスナン(やっぱり顔がデカい)や、SATCのシンシア・ニクソンらが脇を固めている。

問題に直面した主人公が、最終的に選んだ選択肢をどう考えるかで、さまざまな見方が出来る。意図的な演出かも知れないが、あまり円滑ではない語り口も、作品の味わいとなっている。音楽も含めて、大人の一本。(2018年5月鑑賞)