アメリカを代表する名門オーケストラの一つ、ニューヨーク・フィルを聴いた。
サントリーホールでは2公演が開催されたが、今回聴いたのは五嶋龍が出演する3月14日の方。プログラムは、メンデルスゾーンの“ヴァイオリン協奏曲”、そして3日前にもBBC響で聴いたばかりのマーラーの“交響曲第5番”。
初聴となる指揮者のヤープ・ヴァン・ズヴェーデンは、コンセルトヘボウ管のコンマス出身というキャリアを持つそうだ。欧州きっての名門オケとは全く異なるアメリカのオケをどう鳴らすのか、興味があるところ。
前半はメンコン。オケもソリストも、同じニューヨークが拠点なので、どんな演奏になるかと思ったのだが、きっちりプロとしての仕事をしますよ・・と言わんばかりの、クールでビジネスライクな演奏に感じた。五嶋のヴァイオリンも、いつもほどの情感を感じない淡々としたもの。
後半のマーラーは、アメリカのオケらしい力技で押し切った演奏。ズヴェーデンの指揮は、かなり大振りをする。コンセルトヘボウ管など、ヨーロッパの名門オケなら、指揮者が大振りしてもオケが丸く収めてしまうところだが、アメリカのオケはそのまま音になる。音の洪水に身を委ねるのも悪くないが、かつてのニューヨーク・フィルはもう少し違っていた記憶があるのだが…。
マーラーの後のアンコールは不要と思うのだが、この日もアンコール演奏があった。ワーグナーの“ローエングリン~第三幕への前奏曲”で、どこまでもド派手でパワフルなサウンドで押し切った。