

いつか自分の書いた小説が書籍化され、映像化されることを夢みて、AIに作ってもらいました(笑)


『ミヤノクサウト』
繁華街から少し離れたマンションの一室。ノートパソコンの画面を閉じた私は、ひとつ息をついた。日課であるWebサイトの更新を終えたところだ。
テレビをつけると、ちょうど夜のニュース番組が始まった。
「毎日、何かしら事件が起きているな⋯」
ぼんやりと画面を眺めながら、私は立ち上がって冷蔵庫へ向かった。ビールを取ろうと手を伸ばしたその時、玄関のチャイムが鳴る。
と、ほぼ同時。ガチャリという音と共にドアが開き、男がずかずかと入ってきた。
「よお、一杯やるか?」
男はコンビニの袋から、ビールとつまみを出しながら言う。こいつの名前は結城(ゆうき)正樹。中堅商社に勤めていたが、数年前に作家に転身。しばらくは鳴かず飛ばずの売れない作家だったが、最新作がヒットし、一躍人気作家の仲間入りを果たした。
「ちょうど飲みたいと思っていたところだ。しかし、いつも急にやってくるな⋯」
私はビールを取り出しながら、彼を見た。
結城はいつも唐突に現れては、くだらない話をして、酔い潰れて寝てしまい、明け方に帰っていく。今日もそのパターンになるだろう。
「いつぞやみたいに朝起きなかったら置いていくからな」
私が牽制すると、彼はバツ悪そうに笑った。かなり前だが、泥酔した彼を置いて出社したことがあったのだ。
翌朝、結城は帰っていき、私は出勤の準備を始めた。
いつもの満員電車に揺られ、少し残業して業務を片付け、帰りにスーパーに寄って帰宅する。平凡で、刺激のない毎日だ。かたや結城は、売れっ子作家として人生を謳歌している。
昨日のように頻繁にうちにやってくるが、正直、私は彼のことが好きではない。彼は私を学生時代からの親友だと言ってくれるが、むしろ学生時代から、嫌いな存在だった。
結城は、勉強もスポーツもコツを掴むのが早く、器用なのですぐに何でもこなしてしまう。私が先に始めた趣味でも、すぐに上達し、あっという間に抜き去られてしまう。
一方、私は不器用で、物覚えも悪い。利用サイトのパスワードが覚えられず、パソコンの画面の隅にいくつもメモを貼り付けているような、いわばポンコツだ。
結城とは対極にいるような人間なのに、なぜか話が合う部分もあり、嫉妬心にかられながらも、この腐れ縁は壊れることがなかった。友人の少ない私に、大人になっても変わらず接してくれる彼を、疎ましく思いながらも、完全に嫌いにはなれないでいる。
そんなこともあり、私は毎日秘密のWebサイトに、結城への悪口や、仕事、社会への愚痴をだらだらと書き綴っている。ネガティブの極致とも言える内容だが、問題ない。このサイトは会員制で、パスワードがなければログインできない。パスワードを知っているのは私だけだ。
自分しか見れない場所に投稿して何の意味があるか?
それは、昔読んだ「王様の耳はロバの耳」の童話と同じだ。王様の秘密を知って苦しんだ床屋が、森の穴に向かって叫ぶことで気分を晴らしたように、私にとって、このサイトへの投稿は唯一のストレスの捌け口なのだ。
もともと、私は物を書くことが好きで、小説サイトに作品を投稿したりしていた。それを知った結城が興味を示し、見様見真似で小説を書いてコンテストに応募したところ、賞を獲ってしまった。それが、彼が作家へ転身するきっかけとなったのだから、人生はわからない。この時、神様は本当に不平等だと痛感したものだ。
作家に転身した結城は、なかなかヒット作が出ず悩んでいた時期があったが、ある日突然、妙なことを言い出した。
「ミヤノクサウト、この名前を覚えておいてくれ。いつかこの名前を世の中のみんなが口にする日が来るから!」
私は意味が分からず聞き流していたが、それからしばらくして、彼の新作が話題になった。後から、彼はこのことを言っていたのか、と思い至った。
ある休日の昼間、テレビをつけると、結城が出ていた。ショッピングセンターの本屋で、最新作の販売イベントを行うようだ。私は、苛立ちを覚え、内容を見ずにすぐにテレビを消した。
会場では、人気作家となった結城正樹に、テレビ番組のインタビューが行われていた。
「ミヤノクサウト、すごい人気ですね。ヒットの要因は、この凄まじいネガティブな主人公のキャラクターにあると思うのですが、実際のモデルとかはいらっしゃるのでしょうか?」
アナウンサーがマイクを向ける。
「さぁ⋯どうでしょう、ご想像にお任せします」
結城は、意味深げに笑いながら答える。
「奇妙なタイトルですが、何か意味はあるのでしょうか?」
笑顔でアナウンサーが次の質問を投げかける。
「あはは⋯みなさんで考えてみて下さい」
結城は答えながらウインクしてみせた。
「最後にファンの方に何か伝えたいことはありますか?」
アナウンサーの締めの質問に結城が答える。
「この作品は、私ひとりの力では到底出来ませんでした。私に力を貸してくれる友人や、ファンの方の励ましがあってこそです。今、すでに次回作の取材も始めています。楽しみに待っていて下さい」
その頃、私はコーヒーを飲みながら、ノートパソコンを開き、例の秘密のサイトに書き込みを始めていた。
パスワードを入力し、サイトのタイトルが表示される。
【倒錯の闇】。
私の唯一のストレスの捌け口であり、そして、私の知らないところでライバルに栄光をもたらせているサイトだ。
その意味では【盗作の闇】とタイトルを変えてもいいくらいだが、私はその事実を知らない。






