最近、株高に沸いているが、景気回復の実感はないという。
なぜか考えてみた。
円安貧乏になっているのを覆い隠すためか、最近は「購買力平価で見れば日本は欧米、とりわけアメリカよりマシ」という理論をよく見るようになった。
本当か?
購買力平価とは国によって物の値段に差がある場合にその差を埋めるように為替が動き、最終的に価格は調整されるはずという理論である。
「日本は給料は安いが物価も安いのでアメリカと比べても生活しやすいのだ」今後価格差を是正するため自然に円高になるので心配ない。といいたいのだろう。
円高の頃「日本は給料が高くて羨ましい」と言われるのを「物価も高いから同じだよ」と慰めるように言っていたのと真逆だ。
これは番組「深夜特急」から
1:18:35あたり「日本人いいねえ、日本円高いもん」
実際1995年の円高よりグッと安くなっていたけど、まだ高いと思われていた頃の話。
しかし今の為替は金融緩和により人為的に低く抑えらているものなので、物価の差は為替では調整されない。
となると価格自体が上がることで調整せざるを得ない。
そのメカニズムはこうだ
日本のビックマックが約500円、アメリカが約1000円としたとき、最終的にはこの差を埋める為、1ドル150円から75円に調整させる。そうすれば双方の値段は同じになる。
ところが今は金融緩和をしているので、為替で調整はできない、だから日本のビックマックが1000円になる事で調整される。
そんなバカな、それでは生活できないというだろうが、世界標準価格に近づいているものはすでに見られる。
ニセコや株、最近の不動産、金、そして駅弁。
仕入れ先を変えたり、コストカットで対応したりして価格を抑える事が難しい業界から(あるいは値上げしやすい業界から)世界標準価格に近づく。
ニセコが高すぎる?
世界標準に近づいただけだ。
つまり為替で自然調整されるはずの価格差は物価高で調査されることになる。
物価高で調整される場合の恐ろしさは、上げやすいところは価格転嫁できるけど、競争の激しい業界は人件費を削るなどして対抗せざるを得ない。
行き着く先は「給料据え置きの物価高」になるだろう。