今回取材した安松神社は私的にエポックメイキングな神社でした。

 

■安松神社・・・埼玉県所沢市下安松486−1

 

 

柳瀬川の中流辺り。

 

支流・空堀川との合流点より少々上流。上図の通り、茶色部分は古多摩川が侵食した平地で、上図の左上部分は侵食され残された台地になっています。安松神社はその台地のヘリにあります。

 

鳥居は台地の下にあり参道を上ってゆく格好になります。

 

ちょっと変わった額ですね。

 

どんどん登っていきます。

 

途中の鳥居。

 

 

やっと登り切りました。

 

拝殿

神紋は豊玉彦。

 

 

本殿は策に囲われていて近づけません。

今思えば、この柵は出雲大社鷲宮神社のように本殿をかこっているのかもしれません。

 

千木は内削ぎ(女神)、鰹木は分かりません。

ここいら辺りで女神といえばクシナダ姫しか思いつきません。

 

拝殿右手に元宮があります。

元宮は、現在メインとなっている祭神が入ってくることにより主役の座を下ろされた祭神です。

 

日枝神社、氷川神社、八雲神社、神明神社、稲荷神社

 

日枝神社=松尾大神=大山咋=佐田大神

氷川神社=スサノオ、クシナダ姫

八雲神社=スサノオ

神明神社=天照

稲荷神社=豊受大神

 

日枝神社=大山咋ですが、大山咋は鹿島大神とイチキシマ姫の間の息子です。

鹿島大神は神沼河耳(多氏)と神俣姫(スサノオの姉)の息子です。イチキシマ姫は豊玉彦の姉・アカル姫の娘です。

こうやって見ると大山咋は異民族のハイブリッドであることが分かります。いろんな部族の支援を受ける立場です。

しかも大山咋の息子は崇神で、藤原のアイコンです。

本当なら大山咋は元宮に下ろされるような人ではないのですが、おそらく近畿大和政権の力が弱まり武蔵国に対する支配力が弱まった段階で元宮に下ろされたのではないでしょうか??

 

氷川神社が元宮に下ろされて、本殿の祭神がクシナダ姫ということはスサノオが下ろされたということですね。氷川神社はスサノオとクシナダ姫だったりその片方だけだったりします。

おそらく関東開発のためにやってきた兄多毛比(=武夷鳥)を助けた人々もスサノオ系とクシナダ姫系で別々のグループだったのかもしれません。※1 そのグループの違いによって神社にスサノオだけ、クシナダ姫だけが祀られているという状況になったのではないでしょうか?

 

神明神社、稲荷神社はまぁいいですよね。

 

冒頭「エポックメイキング」と申しましたのは、このような元宮として古い世代の祭神をちゃんと残しておくんだということをここ安松神社で初めて気づいたからです。

 

境内中央に小山が

 

古墳なのかな?? 古墳は何も語りません。

 

 

※1

ナガスネヒコが神武に対して反乱を起こし死んだあと、戦後収拾のためナガスネヒコの妹・オキツヨソタラシ姫は豊玉彦を頼り、その間に生まれたのが武夷鳥(=兄多毛比=えたけひ)。

武夷鳥はおそらく豊玉彦の命を受け関東開発に送り込まれたと想像します。

その際に武夷鳥を直接助けたのが祖父・スサノオの縁者、祖母・クシナダ姫の縁者だったんじゃないのかな? その縁者たちが関東で入り込んだ土地でそれぞれにスサノオ、クシナダ姫を祀る神社・氷川神社を立てたのだと想像しています。