シュコフヤ・ロカとカムニクの町を訪れたのちいよいよ「ヴェリカ プラニナ」という場所に向かいます。
そこは秋吉台みたいなカルスト台地の広大な高原でスロベニアの最大の牧草地です。
※ヴェルカプラ二ナの全体図 パンフレットより
ヨーロッパではかなり知られていますが、私はトリップアドバイザーで初めて知りました。
1666メートルの高地をケーブルカーとリフトで簡単にアプローチ出来ると書いてありました。
ただし、自力でリュブリアナから行くのは無理と判断し、ガイド付きのツアーで行くことにしたのです。
今回のツアーのメンバーは昨日キャンセルがあったとかで私たち2人だけでした。
ケーブルカーを降りて驚いた。リフトは工事中なので歩いて上るというのです。
歩くと1時間ほどかかるというので、車で高原の入り口まで送ってもらいました。
高原に入り口でみのを着た怖い顔のおじさんが座っています。
彼が着ていたのはこの高原に昔から暮らす牧夫の衣装でした。
そこから、高原の中心にある教会までの往復を2時間ほど歩きました。
トウヒで葺いた小屋が立ち、牛たちが好きなように草を食んでいるのどかな景色が続きます。
カルスト台地のくぼみは牛たちの水飲み場です。
なぜ、こんな素晴らしい景観が世界遺産にならなかったのかしら?
それは、ここがオーストリアとの国境近くにあり、第二次世界大戦のときにドイツ軍によりすべて焼かれてしまったからなのです。
それじゃ、いまあるのは?
カムニク生まれの建築家が戦前この地域の実態調査をしていました。
そして、戦後牧夫たちの家を昔ながらの形に再生するのを手伝いました。
今は100軒ほどの家が建っています。
実際に牛飼いを行っているのは20戸に満たないといいます。
窓がなく、牛と同じ家で暮らす生活は現代人には辛い。
若い人は行いたくないのです。
※「牧夫の小屋」のプランと断面図 中央部分が倉庫とその上に人の住まい、周りの部分は牛たちの小屋
牛飼いが使わないのなら 残りは?
実は中身は戸建ての貸し別荘なのです。
トウヒに覆われた小屋の外からは分かりません。
しかし、中は暖房付きの近代的な設備が揃った宿泊施設なのです。
記憶を再生し、現代のニーズに合わせた結果がこの景観なのです。
少し、がっかりしました。
近代的な建物も建てられたはずです。
そうしなかったのは、この美しい眺めを後の時代に残す意志と努力があったからでした。
板ふきの小屋と同じスタイルの教会からは丘全体が見えます。
牛たちはのんびり反芻をしています。
スキーリフトの支柱を利用したブランコを観光客の子供たちが楽しんでいます。
冬はスキー場となるこの高原。景観を生かした観光地だったんですね。
やれやれ
資料 Google Art&Culture
Velika Planina. July 2023. Slovenia
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