神戸、有馬で和紙を学ぶ。 | ゆるーい建築家のゆるーい日常。

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ストレスのない生き方を実践した結果。
物事に執着せず、形に執着せず、群れず、媚びず、礼すべき相手にはとことん尽くす。という生き方を日々過ごしています。
よかったら覗いていってくださいね。

定期的にお邪魔している有馬温泉。

今回は、Jetstarで成田空港から関西国際空港を経由しての出張です。
$Travel Cafe.

いつもは新幹線を使っているのですが、時間があまりにも素っ気なく過ぎて行くのが何とももったえなく、移動手段を変えました。
Jetstarは毎週金曜日になるとセールがあります。今回はなんと片道1900円。安い。
しかし安いだけが売りなのかというと、全然そんなことが無いのです。飛行機のインテリアはレザーにLEDのスポットライト。新幹線の無機的なインテリアに比べると、時間の質が高いように感じます。何よりも旅をしているという気分になれるのです。



今回の出張の目的のひとつは、美濃和紙の古川紙工さんが出しているブランド「St.Japonism」を実際に手に取ってみること。
お店は、気にしていないと通り過ぎてしまうほど(事実、私は通り過ぎていました、、、)小さなところ。

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一階は活版印刷の啓文社さんのショップ。その場で活版を刷らせてくれます。
素敵なイラストや装飾文字なんかが、自分でできてしまうのです。
出張ワークショップもあるようで、有馬の弟のお店「堂加亭」でもできたらいいな、と密かに盛り上がっていました。

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階段を上ると、二階はSt.Japonismのステーショナリーや祝い袋など、すてきでおしゃれな
それでいて日本らしい、まさにSt.Japonismなものな世界でした。

ぜひ、美濃の工場も見てみたい。と思いつつ、有馬へ。



有馬では、師匠でもある御所坊の金井さんと、息子の一篤さん、それからいろんな方たちにお話を伺うことができました。旅館の在り方、観光地の在り方、これからの観光、ブランド、、、

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そして宿自体が、私には教材でもあるのです。
綿貫先生の世界。そのなかで過ごす時間は、一秒たりとも無駄にはできない。
そんな思いで、夜の宿を徘徊していました。。。

$Travel Cafe.

氏の文字は、自分で書き写すと、込められている意味が感じ取れます。
生きている文字、そして訴えかけてくる文字。
自分の建築観にも影響を与えられています。



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翌日は、有馬から30分ほどのところにある、和紙の産地「名塩」へ。
名塩和紙学習館でビデオを見せてもらい、一通りの解説パネルを見るも、どうにも和紙の質感や素材がわからない。
やむなく町をまわっていると、一軒の職人さんの家を見つけました。
中に入って声をかけると、おじいちゃんが出てきてくれました。和紙の素材感を見たい旨を話すと、なんと工房で漉き始めてくれました。
名塩の和紙の歴史は古く、雁皮という天然の樹皮を原料として、これに泥を混ぜて漉く日本でもめずらしい和紙なのだそうです。江戸時代の藩札や金沢の金箔を打つときの紙、それから二条城や皇室の内装材として使われた「間似合い紙」。多くの画家の方も使っているのだそうです。
工房の後に、離れでさまざまな和紙や資料をみせてくれ、その中に「人間国宝、谷野剛惟さん」とあり、まさに目の前に居るおじいちゃんその方だったのです。
これにはびっくりしました。
そのさりげなさ、物腰の柔らかさ、飛び込みで来たような自分にも親切に接してくださる姿。こういう方だからこそ、人間国宝であり、伝統技術を継承できるのだなと感じた時間でした。


温泉地も、観光という側面だけでは消費されていく流れに組み込まれてしまいます。歴史や伝統、価値。そういうものを継承して、本当に継承させるものを考えていかなければ、日本の魅力を外に伝えることができなくなるのではないでしょうか。
建築家として、しっかりと考えて行きたいと思います。