いきなり糖尿病になってしまった私。
血糖値やHb1Acの急激な変化に、ふと嫌な予感が頭をもたげる。
1年前、私は父親を膵臓癌で亡くしていた。最初に癌が発覚したのが約4年前。その状況が今の自分の状況と似通っていた。
「お父さん、糖尿病になっちゃったよ」
ある日の午後、母親は電話でそう言った。
そうか、糖尿病か。歳だからなあ。
そんなことを最初は考えていたが、それから数週間後、事態は急変した。急激な糖尿病の悪化を怪しんだ医師からの勧めで精密検査したところ、膵臓に癌が見つかったのだ。
膵臓は糖を分解するために必要なインシュリンを分泌する。肥満や不摂生が続くと徐々に膵臓が弱り、インシュリンを分泌する量が減ってくる。
それが糖尿病につながるのだが、急に症状が進む時は、何かしら別の要因で膵臓に問題が出ているケースがあり、父の場合は膵臓に癌ができていたことが原因だったのだ。癌によって膵臓が機能しなくなり、突然糖尿病という形で現れたのだという。
父親はそれから手術を受け、膵臓をほとんど摘出。その後はインシュリン注射を打ちながら闘病生活を続けていたが1年が経った頃癌が再発した。
結果として5年近くと闘病生活の末、癌が背骨や肝臓に転移し、1年ほど前に他界した。
私の糖尿病は、たった1年で大きく進んでいた。ただの肥満からくる発症であればいいが、同じことが起きているのでは、という恐怖でいっぱいになった。
「お父さんのこともあるし、精密検査もしておいたら?」と妻。相変わらず落ち着いた口調が助かる。妻も父親を癌で亡くしている。恐らくあえて、不安を表に出さずにいてくれるのだろうと思った。
「そうだね、病院に行ったら相談するよ」
病院は健康診断からの帰り道にすでに見つけていた。家の最寄り駅からすぐの小さめな病院だ。
すぐに電話し、2日後に予約を取った。
その日の夜は眠れなかった。
父親のことが頭に浮かぶ。さまざまなことを止めどなく考えてしまう。
自分がもし数年で死んでしまったら、家族はどうなるのだろう。
保険はもう今からは入れないかなあ。
大学は奨学金で行ってもらうか。
などなど。
妻とは、子供が育ったら旅行に行きたいねといつも話していた。もう一度ハワイにも行きたいし、ヨーロッパにも行ってみたい。その時まで自分は生きているのだろうか。そう思うと涙が出てきた。
健康診断から始まった糖尿病患者としての1日はこうして過ぎて行った。
つづく
血糖値やHb1Acの急激な変化に、ふと嫌な予感が頭をもたげる。
1年前、私は父親を膵臓癌で亡くしていた。最初に癌が発覚したのが約4年前。その状況が今の自分の状況と似通っていた。
「お父さん、糖尿病になっちゃったよ」
ある日の午後、母親は電話でそう言った。
そうか、糖尿病か。歳だからなあ。
そんなことを最初は考えていたが、それから数週間後、事態は急変した。急激な糖尿病の悪化を怪しんだ医師からの勧めで精密検査したところ、膵臓に癌が見つかったのだ。
膵臓は糖を分解するために必要なインシュリンを分泌する。肥満や不摂生が続くと徐々に膵臓が弱り、インシュリンを分泌する量が減ってくる。
それが糖尿病につながるのだが、急に症状が進む時は、何かしら別の要因で膵臓に問題が出ているケースがあり、父の場合は膵臓に癌ができていたことが原因だったのだ。癌によって膵臓が機能しなくなり、突然糖尿病という形で現れたのだという。
父親はそれから手術を受け、膵臓をほとんど摘出。その後はインシュリン注射を打ちながら闘病生活を続けていたが1年が経った頃癌が再発した。
結果として5年近くと闘病生活の末、癌が背骨や肝臓に転移し、1年ほど前に他界した。
私の糖尿病は、たった1年で大きく進んでいた。ただの肥満からくる発症であればいいが、同じことが起きているのでは、という恐怖でいっぱいになった。
「お父さんのこともあるし、精密検査もしておいたら?」と妻。相変わらず落ち着いた口調が助かる。妻も父親を癌で亡くしている。恐らくあえて、不安を表に出さずにいてくれるのだろうと思った。
「そうだね、病院に行ったら相談するよ」
病院は健康診断からの帰り道にすでに見つけていた。家の最寄り駅からすぐの小さめな病院だ。
すぐに電話し、2日後に予約を取った。
その日の夜は眠れなかった。
父親のことが頭に浮かぶ。さまざまなことを止めどなく考えてしまう。
自分がもし数年で死んでしまったら、家族はどうなるのだろう。
保険はもう今からは入れないかなあ。
大学は奨学金で行ってもらうか。
などなど。
妻とは、子供が育ったら旅行に行きたいねといつも話していた。もう一度ハワイにも行きたいし、ヨーロッパにも行ってみたい。その時まで自分は生きているのだろうか。そう思うと涙が出てきた。
健康診断から始まった糖尿病患者としての1日はこうして過ぎて行った。
つづく