建築家 田口知子の日常をつづったブログ -21ページ目

ドイツ旅行にいってきました。

今日は、1週間で怒涛のようにコンペをやって、本日提出完了。ほっと一息ついています。昨日は10年ぶりの完徹で、今日はそろそろ電池が切れそう・・とおもったら、明日からもう12月!今月はブログを書くのをさぼっていたことを思いだしました。

今月の中旬10日間ほどドイツに旅行にいってきました。


ちょうどパリのテロがあった日はケルンにいましたが、ドイツは何も変化なく平和に過ごしていました。ヨーロッパは移民とテロの問題で、どの国も大変なことになっているようですね。今回も、駅で移民の方と思われる大量の荷物を持ったアラブ系の人たちに何人か遭遇しました。日本にいると他人事のように思うことも、ヨーロッパでは身近な切実な問題だと感じます。


今回行った先は、ケルン~シュツットガルト、ローテンブルク~バンベルク~ベルリン、と、ドイツを西から南、北へと鉄道で回る大移動の旅でした。

ケルンでは、ピーター・ツムトアのコロンバ司教座美術館がすばらしかった!


ローマ時代の教会の廃墟の上に、キリスト教に関する展示をする美術館をつくった、とても美しい美術館です。


素材のつかい方やディテールの美しさ、聖なる空間をつくるなら、今はこの人の右に出る人はいないと思います。古いものをそのまま残してつくる、現代の空間、ヨーロッパはそのような建築の作り方が成熟しています。

そして、近郊の村でゴッドフリート・ベームのネヴェゲスの巡礼教会とベンスベルク市庁舎。ブルータリズムと呼ばれる建築様式ですが、やわらかい、ロマンチックな感性を感じます。


この人の建築は、建築としての様式や時代を超えて、ひとつの自然の遺跡のように価値がかわらない強い存在感を放っていると思いました。特にネヴェゲスの教会は、キリストの教会というより巨大な洞窟のスケール。バラの花をデザインモチーフにした教会・・。こんなふうに、教会をつくることができた建築家の力量と、創ることを決意した教会側の担当の方の度量に感動しました。


同行した友人の希望で中世の街並みを観よう、ということになり、ロマンチック街道の中心でもあるローテンブルクに2日間滞在しました。
「歩み入るものに安らぎを。去りゆくものに幸せを」という言葉が城壁に刻まれている有名な町です。ほんとうに、町の中は丁寧に手入れされ、やさしい風景と人に出会いました。
美しい月が出たマルクト広場の夜景です。


みなさま良い年末をお迎えください。

歌舞伎の愉しみ~十月大歌舞伎で玉三郎を観る

先週、銀座歌舞伎座で十月大歌舞伎を見てきました。

今月は鎌倉薪能を見て、10月大歌舞伎、と、日本の伝統芸能にはまっている今日このごろ。文化の秋を満喫です。


演目の一つは坂東玉三郎の「阿古屋」。壇ノ浦の合戦で平家滅亡後、平家の大将景清が頼朝の暗殺を企てている、という時代背景。源頼朝は、行方をくらました景清を捉えるため、景清の恋人遊君阿古屋を捉え、拷問して景清の居場所を突き止めようとする裁判劇。

 阿古屋は、捉えられて拷問を受ける、という設定なのだが、その姿は優雅で美しいのだ。豪華な打掛、俎板帯という前垂れに大きなクジャクの絵が描かれた艶やかな帯を締め、伊達兵庫の髪を結った玉三郎の美しさは生で見るに、この世のものとは思えぬ美しさ。


そして、裁判官(代官)の重忠(尾上菊之助)の尋問が、これもまたこの時代の価値観を表現しているのか、なんとも優雅なのだ。居場所を知らぬと言い張る阿古屋に、拷問と称して、琴と三味線、胡弓を演奏させる。
 その音色が乱れなければ、嘘を言っていないとみなし、放免する、というイキなやり方で、乱暴や失礼は一切ない。玉三郎が、3つの楽器を演奏する姿がまた、指の先まで美しく、音色もまた、掛け値なく美しいのでした。特に胡弓の音色のすばらしさに感動します。


言葉もしぐさも価値観も、すべてが江戸時代の「ゆったりとした時間の流れ」とゆっくりとしたしゃべり方、ひとつひとつの感情表現を丁寧に「決め」てセリフと舞台を展開する歌舞伎の世界。なんとも充実した気分になるので、最近ちょっとはまっていて、これが2回目。
 江戸時代の庶民の楽しみだというけれど、平和な時代の空気を今の日本では想像もできないが、歌舞伎の舞台を見るとその時代にタイムスリップして、日本人の文化のレベルの高さに、幸せと喜びを感じる贅沢な時間です。

「桜の木のある住まい」着工しました。


昨日、世田谷区千歳台の住宅「桜の木のある住まい」が着工し、地鎮祭を執り行いました。




良いお天気に恵まれ、家族と会社の社員さんたちも多数出席され、皆で建物の建設の無事とご家族の末永い健康と発展をお祈りしました。


既存建物の解体にはアスベストの処理などもあり、ずいぶん時間がかかってしまいましたが、無事にこの日を迎えられて、ご家族の皆様をはじめ、自分も一安心しました。



建設会社は横浜の栄港建設です。84歳の会長がお越しくださり、今でも現役で現場を巡回されておられる話や、社員を育てる情熱を語ってくださり、会社としての信頼を感じす。社長、会長と2代続く中、数々の建築家の難易度の高い建築を施工してこられただけのことはあります。まだ始まったばかりですが、現場監督のコミュニケーション能力と責任感の強さに驚いています。

 会社としての信頼に加えて、現場監督の人間力、技術力が、建物の耐久性、「質」を左右すると実感します。見積もり金額や会社の実績だけでなく、現場監督の人を見て、面接で決める、という方法にこだわりましたが、やはり正解だったなと・・。


 現場監督の采配を期待し、確実丁寧な工事を進めてもらうよう、自分たちも力を尽くしてまいります。関係者のみなさん、どうぞよろしくお願いいたします。