『キャタピラー』

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監督　若松孝二
脚本　黒沢久子、出口出
音楽　サリー久保田、岡田ユミ
主題歌　死んだ女の子/元ちとせ

出演　寺島しのぶ、大西信満、粕谷佳五、河原さぶ、篠原勝之、吉澤健、増田恵美、石川真希、
飯島大介、ＡＲＡＴＡ、地曵豪、（声の出演）小倉一郎

（あらすじ）

１９４０年、
日中戦争で出征していたシゲ子（寺島）の夫・久蔵（大西）が
四股を失い帰って来た。
顔は焼けただれ、声も失った。

シゲ子は夫の姿に泣き叫んで家を飛び出すが、
舅（吉澤）や義妹（増田）は
国への奉公だと思って世話をするように言って帰っていく。

彼の姿は新聞にも報道され、勲章も与えられ、
村では「軍神」として崇められる存在になり、
そんな夫の世話をするシゲ子は
妻の鏡と言われるようになる。

シゲ子は無残な姿になりながらも
食欲・性欲を持つ久蔵にとまどう。
食う、寝る、やる、しか出来ない久蔵。
彼は勲章と新聞記事にすがっているのだが、
シゲ子は虚しさを感じる。

シゲ子は自分を誇示するように久蔵を連れ回すようになる。
久蔵の姿に敬意を表す村民たち。
久蔵はそんなシゲ子に抵抗する。

勇ましい勝利報道が続き、
シゲ子の心もそんな情勢に影響を受けてくるが、
食料も不足し、召集される人間も若年化してくる。
久蔵には中国で女性を犯して殺した記憶が戻ってきて
自責の念にかられ、不能気味になる。

苛立つシゲ子は
出征前は暴君だった久蔵の事を持ち出し、彼に辛く当たるようになるが、
苦しむ久蔵の姿に反省し、
国のために命を捧げる、ということに疑問を持つ。

体が弱く、召集されないことで周囲から白い目で見られていた久蔵の弟（粕谷）にも
赤紙が来て、出征していった。

１９４５年、広島・長崎に原爆が落とされ、敗戦。

うつけのクマ（篠塚）は戦争が終わったことを喜び、シゲ子も一緒にばんざいをしている中、
這って外に出た久蔵は水面に映った自分の姿を見て、そのまま水中に落ちて行った。

（感想）

字幕や当時の映像などを使い、
なおかつ、ストーリーも非常にわかりやすい作り。
極端に強烈な設定は、どの年代も感銘を受けやすいはず。
独立系作品臭がしつつ、ドキュメンタリーの教育映画のような・・・
まぁ、こんなにセックスが登場する教育映画はないか。

寺島しのぶは、凄く存在がリアルな人だと思う。
セックス・シーンも生々しさ-感触とか匂いとかまでが伝わって来る感じ。
それほど強烈なオーラを発散している人だから
別段脱がなくても強力なのだが、脱いでいるので、
観ているとむせて、へこたれそうになる（笑）
このクドさが海外で評価されて、ベルリン国際映画祭主演女優賞へと繫がったのかも。

夫役の大西が四股無し・ケロイド顔なのに
あっさりした感じを受けちゃうくらい。
彼は堺雅人系の俳優になりそう。

監督はバリバリの反戦映画を作りたかったようだけど、
しのぶの存在が強烈過ぎて、
更に思想的な作品にまでいった感じ。
この作品が海外で高い評価を受けたのはそのせいだと思う。
自分は反戦よりも、その印象のほうが強く残ってしまった。

大した女優だなぁ、と思った。

エンディング・テーマは
原爆をテーマにした歌で、その歌詞も画面に字幕で出て来る。
観ている人に本当にわかりやすくしようと思ったのだろうが、
あまりにやられると逆効果であることも教えてくれる作品だった。

オフィシャル・サイト
http://www.wakamatsukoji.org/

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主に映画レビュー。自分のために書いてます。

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