★本日、小説短編集新作の出版販売を開始しました。 | 《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

■好きな音楽、好きな映画、好きなサッカー、好きなモータースポーツなどをちりばめながら、気ままに小説(240作品)・作詞(506作品)を創作しています。ブログも創作も《Evergreen》な風景を描ければと思っています。

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★本日、小説短編集 【68】街角グラフィティ(原稿用紙30枚) の出版販売を開始しました。

4月6(土)と7日(日)の2日間、無料で読めるので、よかったら読んでみてください。

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※・悠人は今日も大学を出て真っすぐにアパートに帰らずに不忍池の周囲をぶらついていた。大学4年生になっていた悠人は1年生の時から考え事がある時は、必ずと言っていいほど不忍池に来ていた。周囲にはそれなりに人並みはあるのだが、考え事をしている悠人には気になることはなかった。
 
 4年前上野にある芸術大学の美術学部に入学して油画を学んできていた悠人には、早くもその大学の卒業が迫ってきていた。そんな悠人の現在地は極めて不安定な状態にあった。それというのも大学卒業後の居場所が定まっていなかったのだ。
 
 こんなはずではなかったと心の何処かで叫んでいる悠人がいた。それこそ真っ白のキャンバスを前にして、悠人には筆を手にすることができない状態が続いていた。この4年間何度も訪れたある意味見慣れたはずの風景だったが、何となく今回だけは何処か今までのそれとは違うように悠人には思われていた。
 
 俗にいうスランプ状態に陥っていたが、その期間が長すぎたのだ。今までなら他のことに集中することで、気が付いたらスランプ状態を消し去ることが出来ていた。それが今回だけは何かに集中しようとするのだが、それが出来ない悠人がいた。
 
 4年前芸術大学の美術学部に入学した時には悠人は大学卒業の頃には、それなりに画家として歩み始めている自分の姿を思い描いていた。勿論周囲から画家として注目されているとは思ってはいなかったが、少なくともこのまま画を描き続けて行けば、それなりの風景が待っているはずだと考えていた。
 
 ところが現実的には、悠人には確たる手ごたえなど全く無かった。そんな中で大学の同級生たちの姿が、最近の悠人には目についって仕方なかった。少なくても今までは周囲のことなど気になることもなく、マイペースで画を描き続けて来ていた・・・。


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