昭和の初めから映画や芝居で一世を風靡した「唐人お吉」(*解説)に因んだ芝居小唄です。
お吉の揺れ動く心を作曲者独特の細かい節回しで聞かせ処の多い佳曲です。
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解説:「唐人お吉」は、幕末に実在した「斎藤きち」をモデルに、昭和3年に十一谷義三郎が書いた小説で、その後、映画や芝居で採り上げられています。
幼馴染の船大工鶴松と夫婦の約束をした伊豆下田の芸者お吉が、お国の為と領事館のハリスに奉公を申し付けられる物語で、唄は今日も泣く泣く領事館に通うお吉の姿を唄っています。
史実とフィクションの違いもあるようです。詳細は「唐人お吉」で検索してください。
「コンシロ」は、consulate(領事館)のことです。「心の奥のあの人」は鶴松のことです。
昭和中期 小野金次郎作詞 本木寿以作曲
小唄備忘録500番―その184「恋を捨て(お吉椿)」(2分57秒)
お吉の写真は当時19歳とされています。写真(静岡県観光協会より)の宝福寺にはお吉役の初代水谷八重子が建立したお吉の墓があります。スティール写真は昭和5年日活制作溝口健二監督「唐人お吉」での梅村蓉子のお吉と山本嘉一のハリスです。