小唄備忘録500番ーその183「道は二筋(二筋道)」 | 江戸小唄と三味線のブログ

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昭和の始め、新派を復活させた「二筋道」という芝居に因む小唄です。

 

名残惜しい男女の別れの場面ですが、唄は場を和らげるような、文句と高低調子のよい曲調です。

 

★お聴き頂けます⇒

 


 

解説:芝居は、生糸商(阿久津謙三)の盛衰とそれを巡る妻(類子)・芸者仲間(喜代次、おすが、桂子)を描いた物語で、小唄は阿久津と喜代次の別れの場面に挿入されています。

 

「鯉の極楽 情けの地獄」の件は、阿久津謙三役の伊井蓉峰が気に入って、三度繰り返したようです。

 

「え~え ままよ・・・」は、二人の仲を取り持った桂子の芸者気質を表し、やや面倒がる気持ちが三味線の後弾きに繋がっていきます。

 

芝居は昭和六年十一月明治座初演で、瀬戸英一作。

小唄は昭和七年六月東京劇場「お名残り二筋道」を上演した時に、瀬戸の親友の森暁紅が作詞しました。作曲は吉田草紙庵です。

瀬戸英一の台本には、時は二月末ごろと記されています。

 

「二筋道」には、その他にも幾つかの小唄が採り入れられています。

 

近年この演目は所演されていません。芝居の梗概は「二筋道 新派」で検索してください。

 

小唄備忘録500番―その183「道は二筋(二筋道)」(1分42秒)

 

写真は、昭和十年歌舞伎座十二月「二筋道」で、左から桂子(花柳章太郎)、喜代次(喜多村緑郎)、おすが(河合武雄)です。建物は当時の明治座です。(松竹H/Pより引用)