イラン核攻撃のトランプ発言
アメリカは日本を守るか
米軍によるイランの核施設攻撃についてトランプ米大統領が6月25日、「戦争を終結させた」と述べ、「広島や長崎の例は使いたくないが、本質的には同じことだ」と言ったことが波紋を呼んでいる。被爆地では「許せない発言」だと怒りの声が上がっている。アメリカでは「広島、長崎への原爆投下が戦争を終わらせるためのベターな手段だった」との認識が多くのに共有されている。今回のトランプ発言もその延長線上のことと思えば、さもありなんということになる。
日米は太平洋戦争で激しく憎みあって戦っていたことは、このブログ(6.22)で指摘しているが、そのにっくき敵対国に日本の安全保障を委ねているのが実情で、日本人はなんてお人好しな人たちなのだろうか。先の戦争でアメリカは広島、長崎への原爆投下を含め日本の主要都市をほとんど壊滅状態にし、原爆被害者21万人を含め41万人もの民間人を虐殺した。これは非戦闘員を殺してはいけないという国際法違反だが、敗戦国日本はそれを不問に付した上、1951年に締結した対日講和条約を締結した1951年9月8日と同じ日に日米安全保障条約を締結して、「鬼畜米英」と言っていた米国に日本の安全保障を委ねた。これによって、日本人はいざというときにはアメリカが守ってくれると信じ込まされてきた。しかし、いざという時、アメリカは守ってくれるのだろうか。
米軍出動には米議会の承認が必須
安保条約第5条には「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」となっている。素直に読むとアメリカが日本を守ってくれるという期待がわくかもしれないが、「守らなければならない」とはどこにも書いてない。 しかも、条文には「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における」とあるから、日本の施政権下になかった場合、例えば、北方領土や竹島には米軍は出動しない。尖閣諸島ももし中国に占領されたら、「日本の施政権下」を離れるから米軍は出動できない。
その上、そのあとの条文には「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」とある。米軍が出動するには米議会の承認が必要で、ウクライナの例を見ても米軍が出動してくれるというのはかなりお人好しの解釈だ。日本の施政権下で事が起きたときは、当然当事国が対応し、その上で手に負えなくなった時はアメリカ議会承認を得たうえでないと米軍出動はない。
「台湾有事」は絵空事
「台湾有事は日本有事」なんてバカなことが喧伝されているが、このブログで何度も指摘しているように台湾領有は中国の内政問題で、他国が手出しない限り「有事」にはならない。台湾は「中華民国」を自称しており、「中国は1つ」と言っている。「中華人民共和国」である本土の政権も「中国は1つ」と言っているから、他国が干渉する必要がない。なぜ、「有事」に仕立てようとするのか。
日本には米軍が駐留しているから中国から攻撃されるという。米基地が攻撃されれば日本は巻き込まれ「日本有事」になる。だが、米軍が手出ししなければ攻撃されない。「日本有事」は絵空事に過ぎない。トランプさんが日本に対し防衛費をGDP比5%にしろと要求してくる根拠はその辺にある。日本の軍備を増強させて台湾有事に備えさせいたのだろう。そして日本にアメリカの軍備品を多量に買わせトランプさんの支持基盤であるアメリカの軍需産業にも貢献できるからだ。なぜ、こんな単純なことを日本国民は理解できないのか。
トランプと安倍晋三
戦争することが「平和」
トランプ米大統領は6月21日夜(日本時間22日午前)、イランのフォルドゥ、ナタンツ、イスファハンの3つの核施設に対して攻撃を行ったと発表した。中でも、山岳地帯の地下深くに核施設があるとされるフォルドゥについては「火薬を満載した爆弾が投下された」とした。地中まで約60㍍貫通してから爆発するように設計されたバンカーバスター14発を投下したという。バンカーバスターは全長約6㍍、重さ約13㌧と巨大で、米軍のB2ステルス戦略爆撃機だけが運搬できるとされる。フォルドゥのウラン濃縮施設は地下80~90㍍にあると言われるので、一発では到達できず、何発も投下したのではないかと推測される。
トランプさんは核施設攻撃に関し「今こそ和平を果たさなければならない」と演説した。しかし、もしかすると、これでアメリカ本土がイランによって攻撃され戦争が始まるかも知れない。あるいは世界の石油ルートの生命線とも言われるホルムズ海峡をイランが封鎖する危機を招くかもしれない。
戦争することが「平和」という言い分は、今は亡き日本の指導者も言っていた。2014年7月、「集団的自衛権を行使できるよう」憲法第9条の解釈を変更した時、「アメリカがやられたら、やった相手を同盟国の日本が攻撃できる」積極的平和主義だと説明した。こういうのは普通「積極的戦争主義」というのだか、威大な指導者は戦争することを「平和」と言うのだと理解した。
防衛費って
米国の侵略に備える費用
こんなに笑えることはない。米国防総省のパーネル報道官が6月21日、日本を含むアジアの同盟国が防衛費を国内総生産(GDP)比で5%に引き上げるべきだとの認識を示した。トランプさんは日本とアメリカが憎しみあって戦っていたことを忘れたのだろうか。大日本帝国の軍隊がアジアに進出しアメリカの権益を侵すのを恐れ、経済封鎖で日本を追い込んで戦端を開かせた。徹底的にやっつけた後は日本の軍隊が再び立ち上がれないように、陸海空その他の戦力を持たせず交戦権を放棄させた憲法(9条)を押し付けたのを忘れたのだろうか。日本人がいつまでも唯々諾々と従っているとでも思っているのだろうか。
国防費が3割に
トランプさんは同盟国がアメリカにおんぶしてきた防衛費の増額を同盟各国に要求。北大西洋条約機構(NATO)ではGDP比5%への引き上げの議論が進んでいるので、アジアでも「5%」にしろという。2025年度の日本の防衛費は8兆7000億円。22年度のGDP比約1・8%になっており、27年度に2%まで増額することを目指している。5%にすると30兆円を超え、国家予算の3割にもなるべらぼうなる要求だ。国民が納得するだろうか。
いつ牙を剥くか
防衛費というのは自国が他国から侵されないために使う費用だ。かつて日独伊の枢軸国と英米仏ソ中の連合国が対戦していた。第2次大戦後は英米仏と仇敵だった日独伊が連携して、かつて英米仏との同盟国だった中ロと北朝鮮を仮想敵国として防衛力を強化しているが、昨日の友は今日の敵。いつどうなるか分からない。独ソ不可侵条約も日ソ不可侵条約も無視されて戦闘に入った。アメリカが中ロと手を結んで日本を攻めてきたら、トランプさんが増額を要求している日本の軍事費がアメリカに対して牙を剥くことになる。
安全保障の究極は戦力を増強することではない。戦争をしないことだ。世界の指導者はなぜそんな根本的なことを忘れているのだろう。戦力を増強することに精力を注ぐより、戦争しないため仮想敵国と仲良くすることをなぜ考えないのか。その方がずっとお安くつくのに。そうすると、アメリカの軍需産業が持たないからだろう。軍需産業の支援を受けているから政治家としてはそうせざるを得ないかもしれない。
都議選
「書記局長がいらっしゃいます」
6月22日投開票の東京都議選の候補者陣営の電話攻勢が真っ盛り。最近の知らない電話番号はほとんど都議選の宣伝。きょう留守番電話に、ある政党の候補者の宣伝があった。その中で「あす、〇〇駅前にK 書記局長がいらっしゃいますので、ぜひお聞きに来てください」とあった。こいつ何を言ってやがんだ。自分の党のお偉いさんかしんないが、誰に対して「いらっしゃいます」と言ってんだ。国民に対して「書記局長がいらっしゃいます」と言わせているんだから、書記局長の方が国民より偉いと思ってるんだろう。誰がこんな奴がエラい党の候補者に投票するか。
この例のように、外部に対し内部のエラいさんに敬語を使うヤツがいる。社内で「ただいま社長がいらっしゃいます」と言っているのが、外部に対しても言ってしまうのか。普通は内部の偉い人でも外部に対しては「ただいま、社長の△△が参ります」と呼び捨てするのが礼儀だ。何年か前に内閣の広報官になったヤツが「ただいま総理がお見えになります」と言いやがった。誰かに注意されたのだろう、次回から「総理が参ります」と言っていた。当たり前だ。お前には上司か知らないが、総理より国民の方が偉いんだ。
コメはなぜ高い 別
国産米を安くすればいい
コメ問題は国家の根幹を問われる食糧安全保障の問題でもある。安全保障は軍事だけではない。食料の自給率がカロリーベースで38%しかなく、世界的な食糧危機が起きれば、食料が輸入できなくなって国民は餓死するから食糧安保は大事な要素だ。日本は80年間戦争で死んだ人はいないが、地震や不水害で毎年何万人も死んでいる。いつ起こるか分からない戦争に備えるより安全保障の費用を災害や食料へ回すべきだろう。
規模拡大が必要
政治家も行政もメディアもあまり取り上げていないが、アメリカのコメは安くできて日本のコメはなぜ高いのか。そういう根本的な問題をなぜ考えないのか。コメをアメリカ並みに安く生産させればいい。そうすれば外国産米の輸入を恐れることはない。一言でいえば規模の違いだろう。日本の農家は1㌶以下の小規模農家が多く、農地は約4割が中山間地にある。大規模化は平地では可能だが、中山間地は難しい。それでも分散している農地を整理すれば10㌶規模の田んぼはできるだろう。100㌶と1㌶では競争にならないが、100㌶と10㌶ならそう大きな違いはない。
農家の中には先祖から受け継いできた農地を手放したくない農家が多い。そのうえ、1つの農家があちこちに農地を持っていて効率が悪い。そうした中で隣の土地と交換、整理して規模拡大に成功している地方も多い。後継者対策にもなる。農業者にしか譲渡できない農地法を改め、農事法人化がのちを所有できるようにして、圃場整備を進めるのが政治の役割だ。
棚田は文化庁所管に
それでも山間地の棚田は集約できない。昔は農地の少ない農家が苦肉の策として棚田を開拓したのだが、量産には適さず生産性は低いからとても競争には耐えられない。今や棚田は日本の田舎を彩る景観の1つになっている。いっそのこと、農水省所管を外して文化庁所管に移し、景観・自然保護の観点から手厚く支援すればいい。
農機具の集約化
もう1つ。小規模営農からくる問題点がコスト高である。小さな農家が各戸ごとにトラクター、耕運機、コンバインを持っていてコスパが極端に悪い。そうした器具を農事法人が一括して管理し、その費用は国が負担すればいい。さらに、種苗代や肥料代も国が負担すればいい。農家は手間賃だけ取ればアメリカ米と対等の金額になるだろう。そうなれば輸入米なんか怖くはない。農家の収入を上げたうえ、消費者のコメ代は安く抑えられる。食料安保のためにはそのくらい負担してもいい。軍備に使うよりずっとコスパがいい。なぜ、そうしないのか。将来を見据えた展望ができる政治家がいないからだ。
コメはなぜ高い 続
コメ問屋が出し惜しみ
コメの棚がいっぱいに
5㌔2000円前後の備蓄米が出回ると、なぜか高いブランド米も続々と出回ってきた。空だったスーパーのコメの棚が埋まるようになった。一体どうなってんだ。
「コメは買ったことがない」と言ってクビになった江藤拓農水大臣の後任に5月21日、小泉進次郎氏が就任し、放出した政府備蓄米を入札から随意契約に替えると、瞬く間に安い備蓄米が出回るようになった。それまで高いコメ対策に3月から4月にかけて出した備蓄米が一向に出回らなかったのに、大臣が変わった途端に出回るようになった。「やればできるじゃないか」というのが多くの国民の感想だろう。コメ不足と高いコメに苦しんでいた国民のことなど少しも考えず、やったふりをしてきたことがばれた。これで内閣支持率が上がってきたのだから、自民党にとって江藤失言は救いの神だったのかもしれない。
コメ問屋の倉庫は満杯なのに
5月24日のブログで「高くして儲けている奴がいる?」と書いたが、それが証明されたようだ。3~4月に出した備蓄米31万㌧のうち落札した全農から出荷されたのは約4割だけ。残り6割は全農の倉庫に保管されたままだ。しかも小売りに出回っているは約2割。何のために備蓄米放出だったのか。
前のブログで指摘したように、流通経費は2倍になっていないのに、なぜ1年前に比べ消費者が買うコメの値段が2倍になったのか。テレビで全農の理事だった人が言っていた。「備蓄米を出荷したくてもお客様の倉庫が満杯で出荷できなかったのです」。この場合に「お客様」というのは消費者ではない。全農と取引のあるコメ問屋のことだ。問屋の倉庫はコメでいっぱいなのに、スーパーのコメの棚は空ということ。誰が値を釣り上げているのかよく分かる。これについてその元理事は「流通の仕組みは全農がとやかく言えない。将来のこともあるし~」と言っていた。全農は消費者がどんなに苦しもうが自分たちのコメを引き取ってくれる業者の方が大事なのだ。これではコメ離れが起きても当たり前。自分で墓穴を掘っているのだ。
流通の仕組みは複雑で、中には5次卸まであるという。そのたびにマージンを取っているからコメが高くなるはずだ。農家から出荷されたコメは中間で行うのは精米と輸送だけ。そんな大きなマージンにはならないはずなのに、小泉大臣は「利益が前年の500%になっている業者もいる」と言っていた。アコギな商売が小売価格を押し上げているのだ。
小売価格と生産者価格は別物
自民党の幹部は「米価が下がりすぎると農家の意欲を削ぐ」と言っている。何を言っているのか。消費者が買うコメが上がっても農家の所得が増えるわけではない。中間で強欲に儲けている奴がいるのだから、消費者の買う価格が下がっても農家の売り渡し価格が下がる訳ではない。そのからくりを暴いて農家からは高く買い取って、消費者には安く売れるようにすればいい。自民党幹部の言葉は消費者価格と農家売り渡し価格をわざと同一にしてコメの高止まりを誘導するための発言だろう。何のためか。
また、日本のコメは異常に高い。これを外国並みに安くすれば外国米と対抗できる。その方法は次回で。
コメはなぜ高い
高くして儲けている奴がいる?
「コメを買ったことがありません」と言ってクビになった江藤拓氏の後任農水大臣になった小泉進次郎氏は5月23日、政府備蓄米を競争入札から随意契約に変え、幅広い業者に安値で売り渡し、6月初旬をメドに小売店で備蓄米を「(5キロ)2000円で店頭に並べる」と述べた。石破茂首相は3000円台に下げると言っていたが、さらに一歩進めた。備蓄米を放出しても値上がりし続けているコメの価格は値下がりに転ずるのだろうか。
入札価格の2倍以上とは
コメはなぜこんなに高いのか。コメの5キロ当たりの価格は1年前約2000円だったのに、今では2倍以上になっている。備蓄米を放出しても価格は上がり続けている。専門家や評論家は、根本はコメ不足だと言っているが、どこかでコメの値上がりを狙って出荷調整しているのではないかと国民は疑っている。
過去3回の備蓄米入札での平均落札価格は2万2477円(5キロ当たり1873円)。政府が備蓄米として2023年産米を買い入れた際の平均価格は約1万3000円(同1083円)だから入札価格は2倍近い。小泉氏は入札をやめ随意契約にして値下がりを狙いうという。
それにしても1873円で入札したコメがなぜ4200円にもなるのか。農水省は流通経費が掛かるからと説明、メディアもそれを垂れ流している。その通りだとすると、流通経費が2000円以上かかったことになる。昨年の消費者への売値2000円なら、元値がゼロになるではないか。政府の買い入れ価格の1083円で売値約2000円なら流通経費が約1000円になる。入札価格がいくらであろうと流通経費はそれほど変わらないとすれば、1873円で仕入れたものは約2800円が妥当な価格ではないか。4200円とすれば、途中で1400円以上くすねた計算になる。
保管料稼ぐ全農
政府備蓄米と言っても全農の倉庫で保管しているのだろう。だから全農が入札してもコメ自体は倉庫から動かず、所有者が政府から全農に移っただけ。出荷しようと思えばいつでも出荷できるのに出荷していない。4月までに3回の入札で放出した備蓄米は約31トンだが、出荷したのはほぼ半分。あとは倉庫に入ったままだ。
全農は保管料を稼いでいる。出荷してしまえば保管料が入らなくなるので、出荷しないのではないかと勘繰りたくなる。
江藤コメ発言
農政のプロパー
「コメを買ったことがありません」と発言して波紋を広げていた江藤拓農水大臣が5月21日、辞任に追い込まれた。事実上の更迭。5月18日に佐賀市での自民党佐賀県連の政治資金パーティーの講演で「(私は米を)買ったことがありません。支援者の方がたくさん下さるのでまさに売るほどある。私の家の食品庫には‥」と発言して顰蹙を買っていた。当初は続投させると言っていた石破茂首相も、参院選を控えて持たないと判断したのだろう。首を切らざるを得なくなった。
コメの価格高騰が内政の重要課題になっいるとき、肝心のトップがなぜこんな頓珍漢な発言をしてしまうのだろう。江藤さんは農水政務官、同副大臣を経て第2次安倍内閣で農水大臣に就任、石破内閣で2度目の農水大臣と生粋の農水族。支援者がいくらでもコメを持ってきてくれるだろう。庶民が5キロ2000円で買おうが4000円で買おうがあまり関係がない。父親の隆美さんも総務長官をやった政治家2世。農政には精通していても庶民感覚は分からなかったに違いない。私は知人のOさん(故人)のことを思い出した。
消費行政の神様
Oさんは旧経済企画庁で消費者行政に携わり、定年後は国民生活センター理事長として消費者行政に精通。メディアからは「消費行政の神様」と言われていた。30年ほど昔のことだが、Oさんは私もメンバーだった異業種交流の会にもよく顔を出していた。パーティーがあると、いつも運転手付きの車でやってきて、その車に乗って帰っていたが、ある会で盛り上がり、運転手を帰して神楽坂でやった2次会まで付き合った。彼は品川に住んでいたから、帰りは飯田橋から電車で帰る。ところが駅で切符の買い方が分からない。自分で切符を買ったことがなかったからだ。
キャリア官僚は官房3課長という課長職のトップになった時から、個室と秘書、専用車が付く特別待遇。通勤はたいてい官用車。日程は公私含めて秘書が管理していて、出張や接待ゴルフなどあれば、机に上に切符や航空券が載っており、出発時には官用車か招待側の車が自宅まで迎えに来る。だから20年くらい自分で切符を買わない生活が続いていたようだ。以前に買っていた時は窓口で「〇〇まで」と言って硬券を買い改札で鋏を入れてもらっていた。だから自動券売機でどうやって切符を買えばいいのか分からなかったようだ。
行政担当者として消費行政には精通しており、国民生活センタ―理事長として消費者と密接なつながりがあったが、自分では切符も買えない人が「消費行政の神様」と呼ばれていた。
ヒサヤ大黒堂
ぼったくりバーか
70年近い痔主である。大学入学した1957(昭和32)年に学生健康保険制度ができたので、大学病院を受診すると、医者は「切る!」と言う。慌てて逃げ帰ってから68年、だましだまし付き合ってきた。私のは脱肛で、初めは時々出るだけだったが、近年は立っている時や歩いている時にも出てしまう。トイレを探して押し込んでいたが、昨年末くらいから痛みも伴ってきた。手術するのがいいのかもしれないが、経験者に聞くと、手術は耐えられないほど痛い上、再発するという。塗り薬でしのいでいたが、ヒサヤ大黒堂の新聞広告を見ると「必ず治ります」と出ていた。試しにやってみようと、1月28日から治療を始めた。
量と回数を増やす
送られてきた治療薬によって8日間の専門治療を行えという。その方法はヒサヤ大黒堂家伝の不思議膏25gを布に貼ってお尻に押し付ける。それを4回張り替える。初めは30分、次が20分、3回目と4回目は10分ずつ。そのあとに、25g入りチューブから挿入用の筒15本に入れ替え肛門内に注入する。1日125gが必要で8日間合計1000g。8日間真面目に実行してみると、痛みとかゆみは緩和され、肛門のしこりも改善したものの、脱肛は治る兆しが見られない。8日間の治療が終わるころに、新しいパンフレットが送られてきた。家伝療法を続けることを勧められた。それによると1回の貼付量を倍の50gにする。1シリーズの薬の合計は2500g。それを3回やってみたが、あまり改善は見られない。すると、今度は4㎏と5㎏のパンフレットが送られてきた。
費用は最初の8日間専門治療が33000円。次の家伝療法が65000円。4㎏は97000円、5㎏だと121000円。すでに22万8千円払った。今までのやり方だと10日間で65000円だが、1回に貼付する枚数を2枚か3枚かにし、張り替えの回数も増やせという。これでは1か月に数十万円、年間数百万円になってしまう。治療に要する時間も長い。準備と後始末を入れると2時間半から3時間もかかる。他の生活時間に大幅に食い込み、就寝時間が遅くなり、睡眠時間も削られる。これは痔にいい訳がない。
この治療法は時間と金銭によほどの余裕がなければ続けられない。こんなことを続けていても完治までの道筋は見えない。何百万円、場合によっては千万円台にもなるが、治らなければ「はい、ソレまでよ」だ。これでは入店時は料金設定を安くしておいて、入店後は多額のドリンク代をとる「ぼったくりバー」の手口ではないか。
この家伝薬は創業者による経験に基づいて開発したもので、科学的には証明しづらいだろうが、パンフレットには完治したという体験談がたくさん載っているので、「治らない」とは言い切れないから、私は詐欺に遭ったとあきらめることにした。
NHKあさイチ
干物食べるのに1年半後の予約?
3,000円のパッフェ
けさ(4月3日)朝食後何気なくNHKの「あさイチ」を観ていたら春の熱海旅をやっていた。熱海の人気が急上昇で目抜き通りは原宿の竹下通り並みだとか。よく観ていたのではないので記憶はいいい加減だが、驚いたのはスイーツの専門店で3,000円のパッフェを出した。食べた女性タレントは「おいしい」と言った。3,000円も出せば当たり前だろう。まずかったら文句を言うべきだ。世の中には時給1,000円の人もまだ多い。3,000円のパッフェを食べるには3時間働かなければならない。
その次に高級干物を紹介していた。大トロの干物で分厚くいかにもうまそうで、店でも食べさせるという。値段は言わなかったが高そうだ。「この干物を食べにきた」という客の声を紹介していた。だが、店では1年半先まで予約がいっぱいだという。ふざけちゃいけない。どんなにいい干物だろうが、干物を食べるのに1年半も待てるか。干物店を予約してから旅館を予約するのか。結構な旅費を払って熱海まで行くのに。そんな奇態な人がいるのか。こんないい加減な紹介を「みなさまのNHK」がやるのか。NHKの予算は国会の承認が必要で、公共放送として特別に優遇されているのにである。
食事はその日の気分で
私は予約がいっぱいで何か月、場合によっては1年先でないと予約が取れないような料理屋にはいかない。だいたい、食事はその日の気分でするものだ。今日は和食が食べたい。今日は西洋料理が食べたい。昼はラーメンが食べたいというのが、人間の自然の姿だろう。その日は西洋料理が食べたいのに1年前に予約したからといって和食を無理やり食べさせられてもうまくない。
だから、行列のできる店にも入らない。メシなんて並んでまで食べたくない。場合によって2時間、3時間待ちという店もある。並んだ店は次の客のためにすぐに追い出される。つけ麺なんて10分で追い出される店もある。そういう店の店主は何を考えているのか。客なんて食わせて金を払わせればいいとでも思っているのか。気持ちよく食べてもらおうなんて考えないのか。人は金もうけの道具に過ぎないのか。
食事は娯楽の一つである。老人ホームでは食事だけが楽しみの人も多い。私は並ぶ店は避けて、隣の並んでない店に入る。入ったらすぐに料理が出てきて、ゆっくり食べた方がずっと気分的にも健康にもいい。