野生動物の救護 Wildlife Rescue | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

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こんにちは。高橋翻訳事務所(http://goo.gl/25cZv)環境翻訳担当のY.M.と申します。

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先日巣立ち前の野鳥のヒナ(nestling)を保護しましたが、これをきっかけに野生動物の救護についていろいろ学ぶことができました。

ヒナはメリーランド州ではどこでもみかけるロビン(North American Robin, Turdus migratorius)。胸が赤茶色で、いつもミミズ(earthworm)を探してぴょんぴょん跳ねている姿が印象的な鳥です。まだ換羽(molting)が始まったばかりのヒナが40℃を超す猛暑の昼下がりに、歩道の脇でうずくまって喘いでおり、近くに親鳥どころか鳥一羽も見当たらなかったため、子供たちにせがまれて保護することになりました。しかしロビンは野鳥のため、勝手に自宅で飼育することは違法とされています。そこで野生動物救護資格を持つ友人(wildlife rehabilitator)のアドバイスに従って、地域の野生動物救護センター、Second Chance Wildlife Centerに引き渡しました。

そこでまず言われたこと:親鳥や巣が付近に見当たらないヒナを見つけたら、餌を与えず、体温が下がらないよう温かくしてすぐにセンターに持ち込むこと。私たちはかわいさあまりに、明日まで明日までとセンター持ち込みを引き延ばし、その間成鳥(adult)の主食(staple)であるミミズをせっせと探して与えたり、インターネットで調べて缶詰のドッグフードを与えたりしていました。しかし、ミミズにはバクテリアが寄生していることが多く、親鳥はかならず噛み砕いて半分消化したものをヒナに与えるため、人間が生きたミミズを与えると病気の原因になるとのこと。その点ドッグフードの方が安全ではあるが、羽にドッグフードがこびりついたりすることで羽の発育を妨げたり、皮膚病を引き起こしたりすることもあるそうです。

つまり、専門家でなければ餌を与えない、さらに、救護が必要と勘違いして野生動物を「捕獲」してしまうケースが多いため、怪我をしていたり、明らかに群れや親から引き離されて衰弱している場合を除いては手を出さないこと、この二つが基本。このアドバイスには子供ともども大変納得しました。

写真:救護センターへの引渡しが遅れ、すっかり大きくなってしまったロビンのヒナ。

ただ一つ心配な点は、このSecond Chance Wildlife Centerが現在Montgomery Countyから借り受けている土地からの立退き請求を受けていることです。引越先はまだみつかっておらず、今後野生動物の救護を続けられるかどうか、全く先が見えないということでした。

助けを必要とする野生動物が駆け込む場所がなくなって困るのはもちろん、私たちのような素人を教育する施設がなくなれば、今後の野生動物保護に影響が出ることは否めません。何とかよい引越先が見つかることを祈るばかりです。

Second Chance Wildlife Centerのホームページはこちら→http://www.scwc.org/index.html


環境翻訳コラム担当者紹介
環境コンサルタントを経て米国でサステイナビリティ研究を行った経験を活かし、環境に絞って翻訳活動を行っております。修士共同研究ではカリフォルニア州道路公団の依頼で景観計画を作成。サステイナブル・コミュニティに関する研究では代替エネルギーから建築、農業、教育まで幅広い分野を統合する試みに携わりました。調査→分析→報告/発表という一連の流れの中で、必要に応じて関連分野の情報収集を行うなど、環境に関わる各分野に適した正確な翻訳を行います。
株式会社高橋翻訳事務所 
環境翻訳  担当:Y.M.