食事は駅前のDeんへ。
Deんはお通しが極めて上質。お通しだけでこの店に来た値打ちがあると言っても過言ではない。
いつものカウンター席へ。ボスや店に立つ皆と喋りながらいただく酒と食事が美味い。
理想の唐揚げに加え、今日は最近すっかり遠野の名産としての地位を確立しつつあるパドロンのフリッター、沿岸から入荷した海宝漬け等がカウンターに並ぶ。ボスはその日入荷した食材で料理を作ってくれるので、ボスに会えば遠野の旬も把握出来る。
野菜も食べないと栄養が偏るので、ジンギスカンの野菜炒めも発注。甘辛のたれが食欲を増進し、幾らでも野菜がおなかに入る。
締めにボスのおむすびも発注。以前の俺ならばひとりで2個くらい平らげていたが……。
このおむすびには独り身の頃の思い出もあり、俺の中では仮におむすびに理想のかたちがあるとするならば、最もその理想に近いおむすびなのだ。
思い出と共におむすびを平らげ、ボスに別れを告げて店を出た。
外の吹雪は益々強くなり、遠野の夜は真っ白に更けて行った。