遠野放浪記 2015.12.26.-10 時間 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

目抜き通りに立ち並ぶ家と家の間に、ただ歩いているだけでは気付かずに通り過ぎてしまうような細い道が延びている。その先には狭い階段があり、街の高台に歩いて上れるようだ。

 

 

地元の住人でさえ、この階段を通る人はそう多くないだろう。芝と土に緩やかに覆われつつある階段は、今日も人知れずこの場所を訪れる人間を高い場所に導いている。

 

 

階段の途中の藪の中に、今も確かに人々がこの道を行き交っている証が眠っていた。

 

 

階段を上り切ると視界が開け、眼下に宮守の街や、遠く迷岡方面が見晴らせる。

空は厚い雲に覆われ始め、今にも雪が降り出しそうだ。この景色も明日には真っ白になっているだろう。

 

 

 

 

 

街の一番高い場所には小学校がある。校門というような校門はなく、休みの日には誰でも自由に校庭に入ることが出来る。

校庭の入り口から街に下りる坂道がある。登下校する子供たちはだいたいはこちらの道を通っているのだろう。

 

 

小学校は街の高台の更に土手の上にあり、一番良い景色が眺められそうだ。

 

 

 

校庭には流石に今日は誰も居ない……かと思いきや、子供が何人か来て野球をやっていた。

 

 

 

以前は都会の小学校でも、休日には自由に校庭に入って遊ぶことが出来ていた。何時の頃からか物騒な事件もあったりで、そのようなことは出来なくなってしまった。しかしまあ、では昭和の時代は平和だったかというとそれはそれでアバウトな時代だっただけだという気もするので、時代の流れだと思えば仕方ないことなのかも知れない。