早池峰郷の鹿踊り、残っている東禅寺しし踊りは、土淵の後に続いて来た。
掲げている幟に「早池峰役しし踊り保存会」と書かれている。これは、早池峰郷の鹿踊りは3団体が毎年交代で(つまり3年に一度)大出の早池峰神社に奉納する慣わしがあり、今年は東禅寺しし踊りの順番だということだ。
東禅寺という寺院は今はなく、附馬牛の片隅に僅かにその痕跡を残すのみだ。石上の麓を通って綾織に抜ける道の途中で、昔の水場の跡などを見たことがある。
かたちがあるものは土に還っても、その上で今を生きる人たちが伝統を引き継ぎ、自然への畏敬を表現し続けている。
東禅寺の後には、鷹鳥屋獅子踊りが来た。
鷹鳥屋は小友地区の中でも中心から外れた山間にある地域だが、何か惹かれるものがあるのか、何組かの移住者も定着している。俺も小友の中心から二日町、綾織へ抜けるのに通ったことがあるが、言葉で表現するのは難しいがとても美しい、数ある小友の集落の中でも一番と言って良い程心に残っている場所だ。
決して「遠野といえばココ!」という程名が知られた土地ではなく、人口も多くはない。しかし今、移住者や若い子供たちが力になり、地域の伝統を未来に紡いでいる。