遠野放浪記 2015.08.16.-12 安堵 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

幾ら夏の盛りとはいえ、19時を回ると流石に空が暗くなって来る。雨は上がり、再び青空が顔を見せているが、その青は濃く、暗くになり、間もなく夜に塗り潰されるだろう。

 

 

街にはひとつふたつと明かりが灯り始め、川の光は今まさに闇に沈もうとしている。

 

 

白河から黒磯に掛けては汽車は深い山の中を走り、街の灯りすら届かない。黒々とした深い森が恐ろしい雰囲気すらあり、背筋をひんやりしたものが通って行くように感じる。

 

 

 

このような山に包まれて暮らす人々は、今いったい何を感じながら、太陽が沈むのを待っているのだろうか。

 

 

汽車は黒磯、宇都宮といった大きな街を通り、やがて東京に辿り着いた。山も森もない街でも、無事に帰って来られると安心する。

我々はさらに乗り換え、自宅の最寄り駅である水道橋で汽車を降りた。

 

 

水道橋駅から10分程歩き、今はなくなってしまった本郷の自宅へ。

少し遅くなってしまったが、我々はまだ晩ごはんを食べていなかったので、自宅の目の前にある烈士洵名というラーメン屋で食事をして行くことにした。

この店は信州の白味噌を使ったラーメンが有名で、個人的には日本で一番美味い味噌ラーメンが食べられると思っている。普通の味噌ラーメンは何度か食べているので、今日は辛味噌のラーメンをいただいて見ることにした。そして、バーターで肉をごはんの上に乗せてから炙る「豚めし」もいただいた。こちらも肉の脂が香ばしく焼き上がり、極めて美味いのだ。

 

 

 

嫁も俺も長野には思い入れがあるので、一日で岩手に遊び、長野の味を楽しめるとはとても嬉しいことだ。

最後にも良い思いをして、初めて誰かと行く遠野の旅が終わった。昨日の夜の天気だけは残念だったが、一応数発の花火も見られたし……また来いということなのだろう。そのような日を楽しみに、暫くは日常の中で生活して行こう。